湿 地 植 物 概 説 【Outline of water plants】Vol.3 一年草の壁 〜育成難種というカテゴリーその2〜 |
chapter1 育成難易度とは? |
chapter2 一年草と多年草 |
chapter3 進化上の謎(序説) |
chapter4 フェノロジーの問題 |
【欄外黒板】ナッツクラッカーの進化 進化の方向性の話が出たついでにげっ歯類の進化について。欄外のコラムですので学術的な話ではなく、飼育してみて感じた彼らの驚異の生態についての話です。テーマは「眠り」。 今までに飼ったげっ歯類のうち、キムタクのカメラのCFのように「凄ぇ」「ホ・ン・モ・ノ」「やっぱNikonだぜ」(それは関係ない^^;)と思ったのは「眠り」の合理的な仕組です。まずは今では外来生物法によって新たな飼育が不可能なタイリクモモンガ。良く知られているようにモモンガやムササビは夜行性で昼間は巣で寝ています。彼らを捕食する猛禽類は梟を除き昼行性ですので危険を避けているのでしょうが、凄いのはオシッコの生理なのです。 オシッコは臭いによって肉食獣が獲物を探す有力な手がかりになってしまいます。しかし、動物たるもの寝ていても生命活動がありますのでオシッコが溜まります。我慢していると膀胱炎になったり腎臓を傷めたりしてしまいます。実はタイリクモモンガは寝ている間にオシッコをしなくても良いように、毒素を凝縮して持っているそうなのです。そして夕方起きて外に出た際に発射するのです。 凝縮したものを一撃で発射しますので強烈に匂います。しかも、1箇所でお行儀良くいたすわけではなく、飛びながら撒き散らします。まぁこれも天敵に居場所を特定されないための「生活の知恵」なのでしょうけど。飼育していると、すぐゲージが臭くなる、周りに強烈な尿が飛び散る、という非常にやっかいなペットであることに気がつきます。タイリクモモンガの小次郎と付き合った5年間は天然素材の消臭剤と新聞紙の消費量は凄まじいものがありました。女房には「臭い箱を新聞で囲って置いてあるだけ」と言われましたが、外に出せば「小次郎、小次郎」と可愛がるのですから勝手なものです。 もう1種、現在も主(ぬし)としてご存命のチョウセンシマリスです。夜は普通に寝ますが、寒くなるとプチ冬眠をするのです。ただ完全に冬眠して春まで目覚めないということではなく、時々起きて来て餌を食べます。自然下では雪の下の穴のなかで溜め込んだ餌を寝ながら食うという引き篭もりですが、引き篭もるために10月頃から猛烈な勢いで餌を集めます。一説にはその運搬のために頬袋が付いていると言われています。10月頃から餌をあげるとすぐには食べず、頬に詰め込んで巣箱に運びはじめます。頬が膨らみすぎて巣箱の入口を通過できない、なんてことも。その辺をぐるりと1周して再チャレンジしたりしますが事態はもちろん改善していません。「少しずつ運べ」というアドバイスもリスなので分かりません。 こういう愛らしい姿は見ているだけで和みますが、困った事に「猛烈に餌を集める」時期は猛烈に気が荒くなるのです。昨日まで手の上で眠るほど馴染んでいたのが、ある日を境に向かってくるようになります。うっかり噛まれればシマリスと言えどもドングリやクリをかち割る力がありますので痛いですし血が出ます。これも考えてみれば餌の少ない針葉樹の多い亜寒帯で「やぁどうも、お先に団栗をどうぞ」なんて事をやっていたら自分が餓死してしまうので当然と言えば当然なのかも知れませんが。 それはそれとして季節によって愛らしいペットを飼っている時期(約9ヶ月)と寝てばかりで起きると猛獣の時期(約3ヶ月)とダブルフェイスのミニマルはこいつしかおりますまい。まったく面白い一粒で二度おいしいペットです。 タイリクモモンガやチョウセンシマリスがどういう環境でこのような能力を進化させて来たのか興味深いところですが、生息域がかぶる2種のげっ歯類が2様に進化しているのを見ると「環境に拠る形質獲得」も画一化した概念ではないことが強く覗えます。 この部分は常々申し上げる「神の意思」を感じる部分なのですが、どんな意思なのかと言うとタイリクモモンガやチョウセンシマリスの進化を神が司ったということではなくて、「全部分かってしまったらつまらんだろ?」という意思なのです(汗)。 |
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