育 成 メ モ 育 成 理 論

Theory8】ムジナモの栽培管理 Ver1.0



謝辞


本テキストはブログ「水辺伝言板」の記事「帰国しました」にお寄せ頂いたムジナモ育成についての話題を自分なりにまとめさせて頂いたものです。
ムジナモ(Aldrovanda vesiculosa Linn.)はモウセンゴケ科ムジナモ属の食虫植物でタヌキモと同じ生育形態、すなわち浮遊生活をおくります。
独特な草姿で人気も高く、育成されている方も多い水草ですが、非常に難しい水草でもあり、導入後に弱って枯れてしまったり越冬芽が枯死してしまったりと泣かされます。
野生でも元々自生地が少なく、日本で最後の自生地、羽生水郷公園の宝蔵寺沼でも野生絶滅し、現在では植生回復を目指して努力が続けられているようです。
こんな貴重な水草ですが、同じく野生絶滅寸前もしくは絶滅のヒルムシロ科ガシャモク(Potamogeton dentatus Hagstr.)とともに何故かアクアリストや園芸家の間で流通しています。
この現象はオオクワガタと同じ、商業ベースで流通しハイレベルアマチュアの間で育成が成されているからです。ある意味専門の研究機関よりも発想が自由である分、育成については的を得た方法論もあると思います。 今回はそんなハイレベルアマチュアのお一人であるHOUさんの貴重なご教授を頂き、まとめてみました。

*本編の著作権は其々の発言者に帰属いたします。
*ムジナモの開花画像はHOUさんよりお借りしております。著作権はHOUさんにあります。

2005.9.24 利助

ムジナモの栽培


ムジナモの栽培環境は最低限屋外育成環境が必要です。昨年ご提供頂いた際に水槽が好調だったこともあり、水槽育成してみました。HOUさんには「チャレンジャーですね」と言われてしまいました(汗)。
そんな素人同然の私が皆様のご発言から頂いたヒントをまとめてみました。

【1.餌としてミジンコが必要?】
ムジナモは言うまでも無く食虫植物で、プランクトンなどを餌としていますが栽培環境下でミジンコ等を与える必要はあるのでしょうか?

■いつかはムジナモ、という気持ちもあって、ミジンコを湧かす努力をしていた(mizuhoさん)
■ブラインシュリンプを沸かしています(ミジンコの状態がこころもとないので)(mizuhoさん)
■エビ用の顆粒飼料を捕虫嚢に取り込んで消化しているのを見ました(fumirisuさん)
■ミジンコも今では全くやってないです。環境作りが一番大事ですね(HOUさん)

私は以前、ムジナモがスネールを捕食していたのを目撃したことがあります。ミジンコ、ブラインシュリンプ、エビの餌、スネールなどその場で調達できる餌を食べる、ということですね。それよりも環境を整えることが大事である、と。

【2.ムジナモ寂しがり説】

■ムジナモですが「ムジナモは寂しがり」(中略)数本(5本程度?)を一つの水槽に入れると励まし合って?成長するような気がします(fumirisuさん)

fumirisuさんの説は味があります。ベテランアクアリストらしい、ご自分の体験から来る維持技術をデフォルメして「さらり」と語る奥行を感じます。
「水草に感情があるかよ!」と思った方は修行が足りません。私流に補足させて頂きます。
以前苔を寄せ付けないアレロパシーの話をこのサイトで発表させて頂き、武さんのスペルチェックなど結構な突っ込みを・・・じゃなくて、植物のネガティブな他感作用を解説いたしましたが、同種間でポジティブな影響を与えるアレロパシーがあるかも知れない、という事ですね。まだまだ研究が進んでいないジャンルですので、研究者ならぬ育成家が現象から直感的に得る感触が意外に正鵠を得ている場合が多いということです。
他の方からも同様の感想がありました。

■1本だけの時よりも纏まっている方は生長早い気がしますね(HOUさん)
■「さみしがりや」説は、他の水草にも当てはまると思いますので、なるほどなー、と思います(mizuhoさん)

【3.アオミドロ対策】
ムジナモの大敵はアオミドロです。夏季は絡みつかれて光合成を阻害され弱ったり、冬眠明けに沈んでいた越冬芽が浮上出来ずに枯死したり(このパターン、くらいました)とにかくアオミドロを発生させないことが大きなポイントとなるようです。

■無くても出来ますが藁を入れるの忘れていました。海外では販売もされているのでインチキでは無いようですが、理由は分からないけどコケ防止になるそうです(HOUさん)

この方法は他では見られないHOUさん独自のノウハウで、HOUさんのサイトの「ムジナモ・タヌキモ 屋外栽培方法 2」に詳しく載っています。ぜひ達人の維持方法をご参照ください。藁の入手についてもアドバイスを頂戴いたしました。

■藁は、園芸用品で売ってないでしょうか(HOUさん)
■HOU さんのおっしゃるとおり、園芸コーナーで藁を購入できました(mizuhoさん)
■稲藁(いちおう農家の孫)とは違うようなので、麦藁なのでしょうか。
■麦わらはなかなか無いと思います。たぶん稲藁だと思います。コケ防止には麦藁の方が効果有ります。麦だったらラッキーですよ

苔防止には藁が効果を発揮する、そして稲藁より麦藁のほうが効果が高い、ということですね。貴重なノウハウです。

【4.容器について】

■ムジナモは高温が好きだけど、鉢全部高温だとバクテリア何かも駄目になるので、真夏に突然駄目になります(HOUさん)
■容器を土に埋めた方が上手く行きます(HOUさん)

ムジナモは高温が好きなのですね!意外でした。

【5.理想の環境】

■大きめの発泡スチロール箱(プラや陶器なら側部が日に当たらないように土に埋める)。ハナショウブ(アシにしたら最強)10センチ間隔で植える、タヌキモ 赤玉土、これで水深15cmに成る位にセットしてハナショウブは年々弱るけど肥料無し(それでも、申し訳無さそうに少し咲く)。やる事はコケとタヌキモの駆除と足し水。土の濁りが取れたらムジナモ放流(HOUさん)

ぜひ参考にさせて頂きたいと思います。

もともとは帰国報告記事でしたが(汗)、実はこういう展開が好きです。話の流れでいろいろな話題が出るのって楽しいじゃないですか!私自身も「スレ違い」とか「質問に答えろ」とかケツの穴の小さい事言われると妙に緊張してよそ行きのレスになってしまうので。ご発言頂いた皆様、誠にありがとうございました。
*ご発言はなるべく原文を尊重させて頂きました。ご不都合がございましたらご連絡下さい。


【育成にあたり参考になるサイト】
クリスタルレッド繁殖に挑戦 管理者HOUさん
狢藻栽培録 管理者ばよんばさん
水草と湿原 管理者加古いいんりじ長さん


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