育 成 メ モ 育 成 理 論

Theory1】アレロパシーによる藻類抑制
〜植物体による藻類抑制の可能性〜



公開 2005.5.21 追記 2005.6.25
改訂 2006.1.14 追記 2008.5.17

藻類発生の仕組

このテキストは旧「育成の科学」に2005年5月21日掲載、同6月25日に加筆訂正を行った「怪論アレロパシー藻類抑制説」を大幅にリライトしたものです。
本テキストの起稿にあたっては素人の私に望むべくも無い大型の水槽をプロとして日々管理されるcarex校長の貴重な体験談に多大なインスパイアを受けています。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

この話は、私が立ち上げた水草水槽が藻類によって崩壊し、通常であればリセットを行う状況となった時に水草のみの力を借りて立て直した実体験をベースに、水草の持つ不思議な力を少しだけ掘り下げたものです。その不思議な力を「アレロパシー」と呼びます。
既出ですが、富栄養化した湖沼に於いて藻類が繁茂すると沈水植物は生育出来なくなります。増殖した藻類はその単純かつ貪欲な構造で、高等植物が利用する水中の二酸化炭素を消費します。この状況では水質は大幅に塩基方向に傾きますが、千葉県の手賀沼で記録されたpH9や霞ヶ浦沿岸部で測定されるpH7〜8の塩基性水質はこれが原因であると考えられています。また藻類、植物プランクトンの増殖は必然的に導電率の上昇を引き起こし沈水植物に致命的なダメージを与えます。薄暗い照明で溶存二酸化炭素の少ない水槽と同じ事ですね。
しかし、このような状況に至る過程で沈水植物が黙って滅びて行くかと言うと実はそうではなく、藻類に対する防衛力を持っていると思われるのです。これが、藻類に対する他感物質を分泌して付着による直接的なダメージを回避するアレロパシーであり、個人的には自然が持つ回復力の一種であると考えています。


アレロパシーは本テキストの本題ですが、その前になぜ藻類が繁茂するのか理由を考えてみたいと思います。
この画像は湧水起源で上流に汚染源が皆無の渓流です。ところが良く見れば水中ところどころに藻類があります。藻類の発生原因が栄養塩であることは疑うべくもありませんが、その栄養塩がどのような傾向にある水質であるかが死滅した水域になるかどうか重要な分岐点であると思われます。
この渓流では汚染源はありませんが、動物や昆虫の遺骸、植物の枯死体などは混入します。これらの微小な言わば自然状態の窒素、リンの量から出現する結果がこの画像です。水槽に置き換えて言うと、どのように換水し管理をしようと多少の藻類は存在するわけです。それどころか、水道水自体が含む栄養塩が藻類の餌になっている可能性も否定出来ません。(*1)
霞ヶ浦水系に於いて最も急務となっているのはアオコの抑制(水生植物のみならず漁業資源に壊滅的な被害をもたらします)であり、家庭用洗剤に含まれるリンの流入防止が大きな命題となっています。(*2)
富栄養化、特にリンの抑制が有効な対策であることを我々は経験的に知っています。逆の言い方をすればリンが過剰の水域が死滅しやすい水域であると言えます。

アレロパシーの働き

水槽育成に於いては、そうは言ってもという部分があります。限られた水量のなかに水草の枯葉や魚・エビの排泄物は絶え間なく放出されており、窒素・リンの蓄積は進みます。脚注にあるように換水する水道水自体にも窒素・リンが含まれています。ただし、「通常の」水草水槽であれば植物を用いてリセットなしに苔を駆逐することが可能です。これがアレロパシーによるものではないか、というのが本稿主題です。
水草水槽の苔(*3)を無くす方法は長年「苔が栄養塩を利用できないように水草の勢力を増やす」事であると信じていました。有名なアクアサイトにもこのように書いてあるところが少なくありません。でもどう考えても栄養塩の吸収スピードは藻類のほうが上なのではないでしょうか?藻類が勢力を拡大するスピードと水草の成長スピードを比べてもそうとしか考えられません。

このような仮説に辿りついた私が成功を収めている方法は、底床中に窒素肥料を施肥することです。特にパールグラスはどんなに苔が酷い状況でも底床肥料の力によって成長し、不思議なことに周辺には苔が寄り付きませんでした。ただしクリプトやアマニアはどうしても駄目でこれは後半述べるもう一つの仮説の根拠となっています。
こうして理論より実践が先行した状態で見つけたのが次のタイトルです。

藻類発生防止対策調査(1).藻類プランクトンの増殖に対する水草類によるアレロパシー効果  秋山優

この資料はどこのアーカイブにあるのか見つからず未だに読めていませんが、ある意味タイトルを見るだけで我が意を得たという思いにさせてくれます。また、Webサイトにもこちらのような事例が見つかりました。この研究でホザキノフサモが分泌するアレロパシー物質と抑制効果のある藻類の種類が明確になっています。ちなみにこちらの研究の参考として並んでいる文献・論文は非常に魅力的なものばかりですが入手難で見つかっていません。この分野もより一般化すると良いですね。
さて、以上踏まえて沈水植物には多かれ少なかれ同様のアレロパシーがあるのではないか、というのが第一の仮説です。

陸上の植物ではこの分野の研究が進んでおり様々な事例が報告されています。有名なところでは侵略的帰化種であるセイタカアワダチソウが地下茎からポリアセチレン化合物などのアレロパシーを放出することによって他種を駆逐、単一種による群落を形成する事例です。この事例には落ちがあり、あまりに強力なアレロパシー故に自らの種子の発芽も抑制してしまいます。本種のみの群落であった空き地が年とともにススキなど他種の混生群落に変わって行く変遷は良く見かけます。また、古来から言われる「クルミの木の下には雑草が生えない」という話もクルミのアレロパシーによるものです。
このように傍若無人に見える雑草にも他種のアレロパシーという天敵があり、脚注(*2)のリンク先で書かれているように苔にも窒素を利用するためのリンという制限要因があります。少し脱線しますが、赤潮の制限要因は鉄であるという興味深い研究もあります。(*4)制限要因を上手くコントロール出来れば本当の「苔抑制剤」が出来るかも知れません。不確定要素の多い水槽では難しい面もあるとは思いますが。
本題に戻り、水槽用として用いられる水草のアレロパシーは実際には具体的にどのような働きをするのでしょうか?ここに非常に興味深いcarex校長の体験談があります。

現象

carex校長の体験談とは、プロとして日々管理されている超大型水槽で起きた話です。3mの展示水槽を10のセパレータで分けて管理されているとの事ですが、それぞれのパートで興味深い現象が起きています。(光、水、大磯砂の三点の条件はほぼ同じ)水草小学校掲示板よりcarexさんのコメントを引用します。
【引用】
さて、次にアレロパシーの話です。先ほどアオミドロ類のお話をしましたが、その発生がブースごとに分かれるという現象が起こっています。水草の調子がいい水槽には糸状藻は見られず、逆に悪いブースに発生します。その差が極端なのです。
これが直接何を意味するかと言えば、水中の肥料分が原因で糸状藻類が発生するというのは原因の一端にすぎず、底床肥料や、バクテリア、水草の生育の違いが糸状藻発生の主な原因ではないかということが考えられるのです。ブースごとの水の循環は多く、底床肥料から溶け出す肥料分が原因である可能性も少なく思います。これを裏付けるのにウィローモスのみのブースでの糸状藻発生があります。このブースは全く底床肥料を入れていないのにも関わらず、発生しているのです。すなわち水草の健全な育成が糸状藻の発生抑制に繋がるのではないかと考えられます。水草のアレロパシーの力だと思います。「苔を退治するには底床に肥料を入れる」ということをしたくなる現象です。ただし、一点不可解な点があります。ガラス面の糸状藻です。上記の理論では状態のいいブースでもガラス面に糸状藻が発生すべきなのですが、その兆候は見られません。なぜなのでしょうか?水の循環が見た目以上に多くないということでしょうか?もしくは水草のアレロパシーが葉面だけでなく近くのガラス面まで影響を及ぼしているのでしょうか?


ご明察の通りで特に異論もありません。私なりに疑問点にお答えさせて頂くと、アレロパシーと言っても摩訶不思議な物質ではなく化学式を持つ物質ですので如何なる化学変化かは不明ですが時間とともに遷移してしまう可能性が考えられます。放出されたアレロパシーが同一ブース内程度であれば影響力を持っている事は十分考えられますね。
もう一点、「苔を退治するには底床に肥料を入れる」部分ですが、これは元々私が結論のみ発言してしまった素人理論ですが、この場をお借りして補足させて頂くと、アレロパシー物質の生成という本来植物の成長と関係ない部分にエネルギーを消費するのは、健全に成長してこそという思考があったためです。事実成長のはかばかしくない水草には藻類が付着します。先に述べたように水中にある栄養塩の利用順位は高等植物より藻類のほうが高いのではないか、という仮説と水草に合致するかどうか証明はされていませんが高等植物に於いて窒素の吸収量は根:葉面が80:1という説もあるためです。

しかし「水草」というカテゴリーの植物であればすべてアレロパシーを放出するのでしょうか?この点を考慮しないと調子の良い水草水槽でも植物に時折付着する藻類について説明できないと思います。そこで第二の仮説です。

第二の仮説

第二の仮説は「水草」と呼ばれる植物の、植物としての特性に関する話です。この話も前出「水草小学校」のコンテンツ「水草と水槽用植物」に大きくインスパイアされた部分です。
アクアリウムの世界では水槽に沈めて育成できる植物はすべて「水草」として扱われています。発想がすべて「水草」からとなっています。批判するわけではありませんが、「水上葉」という表現(正しくは「気中葉」)は水中にあったものが水上に出て異形葉を形成したニュアンスが伝わって来ますが本当にそうなのでしょうか?
2005年の夏に訪問したマレーシアでは予想に反しクリプトコリネの自生を見ることが出来ませんでしたが、山岳部の河川付近でロタラ(草姿からRotala rotundifolia と思われる)の群生は見ることが出来ました。自生状態ですが、水中でゆらめいていたかと言うとそうではなく、すべて気中葉の状態でした。完全な湿地植物です。湿地植物が河川や湖沼が増水した際に生き延びられるように水中生活能力を持つ、というのが正しい解釈だと思います。いわば緊急避難的な水中生活能力を、完全沈水植物(真の意味での水草)と区別せずに水草と呼称しているのが実態ではないかと考えます。
マレーシアまで行かなくてもロタラは国内の田んぼで見られます。Rotala indica という学名を持つキカシグサは田んぼで普通に見られますが、水中に生えて開花する際に気中に出るのでしょうか?事実はまったく違います。同じミソハギ科のアマニアはどうでしょうか。ミソハギ、ヒメミソハギ、ホソバヒメミソハギ、すべて草体は気中にありますね。オランダプラントの地域変種と言われるシソ科のミズネコノオも然り、タデ科ポリゴヌムも同じ・・・。carexさんに拠ればアヌビアスも「渓流沿い植物」だそうです。このように考えれば「水草」として扱われている植物のなかに、本来湿地や浅水域で草体の大部分を気中に出して生活している植物が数多く含まれていることがご理解いただけると思います。
このような自生形態、私は「常態」という言葉を使いますが、常態が湿地植物で緊急避難的な生活として水中に在る植物については完全沈水植物と生理が異なることは間違いないと思います。被子、裸子植物どちらであろうと植物である以上開花、結実しなければならないからです。上記の植物は水中ではこの機能は働きません。この点一つとっても水中で結実するトリゲモやマツモと進化の深度が異なることは明らかです。加えて言えば、湿地性植物は水中で発芽、成長しようとも開花・結実のために早晩気中に出なければなりません。気中に出れば二酸化炭素、太陽光によって光合成エネルギーはふんだんに得られますのであえて水中で勢力争いをする必要が無いのではないか、と考えています。

以上踏まえて、第二の仮説は「湿地植物が常態である植物は水中では藻類に対するアレロパシーを分泌しない」です。
クリプトコリネ、エキノドルス等はグレーゾーンかも知れませんが、調子の良い水槽でもアマニアの下葉やアヌビアス類には藻類が付着しやすい傾向があります。前出carexさんの体験談「ガラス面に付着すべきだが兆候が見られない」という状況に照らし合わせれば、自ら藻類に対するアレロパシーを放出しないまでも影響下には置かれているはずです。私はこの現象を完全沈水植物と湿地性で水中生活可能な植物の水槽内の比率ではないかと考えました。完全沈水植物の放出する藻類に対するアレロパシーが飽和であれば水中にある湿地植物も守られる、という理屈です。
実はこの考え方はここ何年か試行した自分の水槽で現象面としては確証を得ています。アクアリウムの世界でも「マツモなど栄養吸収の盛んな水草を増やして苔を防止する」という維持方法があります。私の説では「栄養吸収」の部分は間違っていると考えますが、結果としては正解であると思われます。残念なのはアレロパシーの量とそれぞれの植物がどの藻類に対して影響力を持つのか分からないために、維持方法が手探りとなってしまう点です。

藻類の発生しにくい水槽の維持

以上で考え方の話は終わりです。最後に具体的に「藻類が発生しにくい水槽」をどのように維持しているのか、この理屈を実践している例をご紹介いたします。私が現在維持している水草水槽は立上時に失敗しています。実に多種多様な藻類に覆われ完全に崩壊しました。現在は藻類の発生しにくい水槽として機能していますがリセットやフィルターの清掃は立上げ以来7年以上行っておりません。どのようなステップで立ち直ったのかご紹介いたします。

(1)多種類の沈水植物を植栽していれば藻類に覆われても成長し、藻類を寄せ付けないポイントが必ず見つかると思います。その水槽の藻類に有効なアレロパシーを放出しているのはそのポイントの植物です。まずはその植物を見つける事です。
(2)その植物を殖やして下さい。周辺の藻類は極力手作業で排除し、光量を確保するのと同時に窒素分豊富な底床肥料を施肥します。液肥では水草が利用する前に藻類に利用されてしまうのと、根周りの窒素分により底床バクテリア・微生物が活性化して発育が良くなるためです。
(3)生き残った植物が水槽の半分を占めるようになればかなり藻類は減少しているはずです。この辺りから好きな水草を導入しても大丈夫だと思います。ただし依然として液肥の使用は禁止です。

底床肥料の種類ですが、窒素吸収によるリン除去のため極力窒素分が含まれているものを選択します。この段階で「カリが足りない」と考えてはいけません。これも以前掲載していた記事に書いたことですが収拾がつかない事態となります。換水の水道水に含まれる分で十分、と考えましょう。具体的な肥料の種類ですが現在入手できるものとしてはアクアフローラが最も効果がありました。この肥料は輸入開始時に園芸肥料としての認可を受けており、保証成分も分かっています。
立上時の「肥料」として有名なイニシャルスティックですが、これはカリの塊で単用できない、と考えます。ダッチ特有の有機物の併用とセットで考えられた商品です。商品が悪いのではなく使い方が間違って紹介されています。

色々と書いてまいりましたが、基本的に植物の持つ力を利用し、力を最大限に引き出せるように養分を与える、という至ってシンプルな維持方法です。誰でも出来ると思いますので藻類に悩まされている方はぜひお試し下さい。
おまけにTipsを一つ。前項で「残念なのはアレロパシーの量とそれぞれの植物がどの藻類に対して影響力を持つのか分からない」と書きましたが、私はセンサーとしてアヌビアス・ナナを一株水槽に入れています。自らアレロパシーを分泌することが無いと思われるこの渓流沿い植物に藻類が付着するようであれば水槽全体のアレロパシーが飽和になっていないという判断基準になりますから。

アップに先立ち本稿を、ことらさんにご覧頂いたところ、採集した不明種の苔が他の藻類に覆われることなく成長している、と情報を頂きました。
文献を当たったところ、藻類や植物プランクトンも勢力を拡大するためにアレロパシーを利用している、とありました。ことらさん、アドバイスたいへんありがとうございました。

水草や藻類にはまだまだ知られていない側面がありますね。一年草でありながら栄養増殖して数年生き延びるホシクサやミソハギ科、シソ科の湿地植物。草体を溶かすクリプトコリネ、成長点が縮れるアマニアやオランダプラント。こういったテーマも今後扱って行きたいと思います。

フィトンチッドでヒドラ退治

アレロパシーと似て非なる物質概念に「フィトンチッド」というものがあります。少し昔に森林浴というものがブームになり、その効能の中心物質とされたものがフィトンチッドです。フィトンチッドは用語としてはビオトープ同様、意味を持った2つの単語から合成された造語です。すなわちギリシャ語のPhyto(植物)とcide(殺す)です。植物も生命体である以上、様々な細菌性の病気になりますが自己防衛手段として殺菌を行うということは進化論的にも合理性がある話です。
フィトンチッドは1930年にソ連(当時)レニングラード大学のボリス・トーキン博士が発見、発表した概念ですが樹木が出す揮発性物質と位置づけられます。アレロパシーは他感作用とされますので揮発物質も包括しており、概念的にはフィトンチッド<アレロパシー、です。しかし厳密に定義されるものではない事に留意が必要です。

と、堅い話はさておき、80年も前に発見された物質ですが、我々日本人のご先祖様はとうの昔にご承知で、笹団子、竹の皮に包んだお握り、山葵を用いた生魚(刺身)、笹を使った寿司(鱒のすし)など食文化のなかに殺菌作用を持つ揮発物質と、それを放出する植物を巧みに取り込んでいました。
このフィトンチッドを調べるために下記参考文献にもある講談社ブルーバックス「植物の不思議な力=フィトンチッド」を再読したところ、アクアリウム的に非常に面白い話がありましたのでご紹介いたします。

面白い話とはヒドラ(Hydra属またはPelmatohydra属、種は不明)が特定植物の揮発性物質により壊滅する、というものです。具体的にはレモン果汁の水溶液にヒドラを入れると、濃度により比例関係はありますが例外なく死滅するという実験でした。結果によればヒドラは細胞レベルまで溶けてしまうので再生の可能性もありません。
レモンの果汁にも何らかのフィトンチッドが存在する、ということを証明するための実験ですが、ヒドラに悩むアクアリストには朗報、そうか!レモンを搾って水槽に入れればヒドラが全滅・・・すると思いますが、ちょっと待てよ、です。「レモンにヒドラに作用して壊滅させるフィトンチッドが含まれる」これは実験結果から真ですが「ヒドラ以外の生物には影響を与えない」これは偽というか?です。論理学の話ではなく常識的判断です。
このWebサイトにもあちこちに書いてあると思いますが、水槽の生態系は水草や魚という目に見えるものよりも、底床中の微生物など目に見えないものの方が重要です。そしてそれはニトロソモナスがうんたらかんたら、という単純な図式のものではありません。もちろん細菌類や原生動物に分類される生命体も重要な役割を果たしています。これらの生物のうちレモンのフィトンチッドに殺されるものがどれとどれで、その結果何が起きるか、という点について未知なのです。
現実的な対応としては流木や石などヒドラが付着したものを取り出し、レモンの水溶液に付け、戻す際にはよく水洗いする、という用い方ですね。無責任なようですが現在水槽もヒドラもありませんのでどなたかチャレンジャーが居られたら結果を教えて下さい(汗)。

脚注
(*1)水道水に含まれる栄養塩
換水に使用する水道水にも結構な量の栄養塩が含まれており「藻類対策としての換水」はこのデータを見る限り疑問です。ただし基準は法的な権原の下に制定されており人体に害が無いと判断された範囲内です。「水道水が危ない」という話、これだけ浄水器が売れている事実はまた別の話。
(*2)アオコとリンの関係
アオコの発生原因は窒素とリンの過多ですが、リンの抑制によってアオコの発生を抑えられるという興味深い研究があります。こちらをご参照ください。
(*3)藻類と苔
解説が不要な程に「苔」は用語として誤っていますが、原文がアクアリウムの乗りで書いてありますのでここはアクアリスト的に区別しません(^▽^;
(*4)赤潮の制限要因
植物プランクトンがいかに精緻なシステムで鉄を取り込んでいるか、面白い論文です。短いのでぜひご一読下さい。水槽に意図的に鉄分を供給する危険性については以前指摘させて頂きましたが、植物プランクトンの増殖、導電率の上昇の危険性もあるわけですね。
赤潮生物の増殖制限要因となりうる鉄を通した赤潮発生メカニズム 内藤佳奈子・今井一郎

参考
【Webサイト】
東京都水道局
社団法人 日本下水道協会
社団法人 電力土木技術協会
国土交通省関東地方整備局 霞ヶ浦河川事務所

【文献】
●植物の不思議な力=フィトンチッド 神山恵三、B.P.トーキン 1980講談社
●アレロパシー、他感物質の作用と利用 藤井義晴 2000農文協
●植物生理学入門 桜井英博 2001培風館
●美しい水草の育て方 ゲルハルト・ブリュンナー、ペーター・ベック 1981ワーナーランバート
●Allelopathy(2nd. Ed.) by Elroy L. Rice, 1984

【協力】
carexさん from水草小学校
ことらさん from小笠原日記


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