◆指標目安としてのpH基礎知識◆
沈水植物のみならず、魚類の飼育に於いても「
pH」という指標がよく出てきます。象徴的なのは南米産の水草を育成するためのマストアイテムと言われているソイル底床。前稿にもある通り陽イオン交換によってKHが下がり連鎖的にpHを下げることが出来ます。しかし、
pHが変わると何が変わるのか?、この点についてはpHやらソイルやらを解説している文献やWebサイトからは見えて来ません。このコンテンツでも一部検証しましたが、表面的に変わるもの、侵食性二酸化炭素や窒素の存在形態などはあっても、果たしてそれが植物に大きな影響を与えているかどうか、ということについては依然として未知です。
そもそもpHとは何でしょうか。アクアリウムの掲示板などを覗いてみると「PH」や「ph」、「Ph」などそれぞれの個性を発揮して好き放題に書いていますが、日本語で書く以上は正しい標記と読み方を遵守すべきですね。これはJIS規格で決められています。
(JIS規格)pH : 読みはピーエイチ
良く発音される「ペーハー」はpHのドイツ語読みですが、ドイツの規格では若干異なり、以下の通りとなります。
(ドイツ式)PH : 読みはペーハー
細かいことですが、pHと記して「ペーハー」という読みは誤り、ということになります。細かいことはどうでも良いという考え方もあり、どちらかと言うと私も似たような立場ですが、自然科学は細かい事実の積み上げに立脚しているので、重箱の隅を突いて行かないとなかなか真実に辿り着けないので仕方がありません。
ちなみにpHのpとHですが、JIS規格の場合p:power、H:Hydrogenで直訳すれば水素の累乗、という意味になります。(後述)ドイツ方式ではP:Potenz、H:Hydrogeniiで意味するところは同じです。
前置きはこの程度にして本題に入ります。
そもそもpHとは水溶液の性質を現すために、水素イオンの存在を使って表現した「
指標の一つ」に過ぎません。
pH=水素イオン指数と訳されることでその性質が分かると思います。しかし水素イオンはその存在数が極めて小さなものであるため、power、すなわち累乗して表現せざるを得ないのです。計算式は色々な文献やWebサイトに出ていますので割愛しますが、累乗ですのでpHが1異なれば水素イオンの量は10倍、2異なれば100倍異なるのです。これほど幅のある指標に何の意味があるのか、というのが本稿を起こすきっかけでした。
さらに水素イオンは水溶液の温度が上がれば水から電離して存在数が増えます。しかし、同時に対である水酸イオンも増えるので、「中性」がpHでは絶対的に示されないことにもなります。相対的に水溶液の温度によって中性が異なるわけです。これをかなりアバウトな表にしてみます。
【水溶液の水温とpHで示される中性】
| 温度(℃) |
0 |
10 |
20 |
24 |
30 |
| 中性(pH) |
7.47 |
7.27 |
7.08 |
7.00 |
6.91 |
この表から何が読み取れますか?pH7.0が中性なのは水温24℃ピタリの時だけだということですね。多くのアクアリストが信奉する25℃ではpH7.0が酸性側にブレている、ということです。それも校正液が古かったり、水槽内に水温のムラがあってそこを計ってしまったり、狂う要素は山ほどあって正確に自分の水槽のpHを計測することは困難だ、という事に気が付かれると思います。
そしてその「誤差」でpHが1違えば前述の通り水素イオンは10倍異なるのです。水質という観点から言えば計り方によってはまったく実態と異なる結果が出てしまうのです。そしてその「誤差」は日常的に発生します。否定はしませんが、pHとはしょせんその程度の「目安」であることを序文代りに書かせて頂きました。
◆指標目安にならないpH基礎知識◆
さて、pHが水素イオンの累乗が示す「指標」であることが分かりました。しかしこれまた
一面真実なのです。言い方を変えればそこに至る様々なプロセスを省略して結果(水素イオン)だけに焦点を当てた見方なのです。(後述しますが正確に言えばこの「水素イオン」も誤りです)
たしかに「pH」のみを考えた場合、支配的なのは水素イオンなのですが、この水素イオンを増やす物質があるのです。そしてその物質は水槽内にありがち、と言うよりも常在する性質のものなのです。代表的なものは
リン酸(リン)と
硝酸(窒素)で、アクアリスト諸兄ならあえて解説は必要ありますまい。
ちなみに両者「酸」と名乗っており、酸だから酸性、という単純な見方も成立します。それでも良いのですがちょっと理屈に踏み込んでみると以下の如しです。
*化学式は極力正確を期すために<sub><sup>タグによって表示しています。ほとんどのブラウザで動作するようですが、ご覧になるブラウザの種類、バージョンによっては表示が崩れる可能性もありますのでご了承ください。こうした事態を避けるためにチルダや$マークを使用したWeb表示のルールもあるようですが、よく理解しておりません。
(1)リン酸の変化
リン酸は非常に水溶性が高く、しかも水と反応して電離します。(式A)リン酸は3価であり、この電離によって3つの水素イオンを発生させますのでpHが下がることになります。(実際にはリン酸は3段階に電離しますが、弱酸なので2段階、3段階目はほとんど発生しません。従って式Aは水溶しているリン酸の一部にしか適用できないことは承知の上です)
(A)H3PO4 ⇔ 3H++PO43-
(2)硝酸の電離
硝酸は水溶液中では硝酸イオンと水素イオンに電離します。ただしすべて電離するわけではなく、平衡状態となります。どちらにしても硝酸が増え続ける環境下(水槽)では水素イオンも増加しますのでpHが下がる要因となります。
(B)HNO3 ⇔ H++NO3-
つまり普通に魚が居て餌をやっている水草水槽に於いては(A)と(B)により水素イオンが供給され続ける傾向にあり、pHは常に落ちる傾向にあるということになります。ただしそれは化学的には「水素イオンが増える」という意味しかありません。水素イオンが増えると植物が育つのか、というと多分Noです。因果関係が証明のみならず推測もできません。
そして化学的な側面から見ると、アクアリウムで通用するこの概念も
誤りなのです。酸の定義
(*1)に於いて「水素イオン」というキーワードは現代でも通用しますが、こと
水溶液中という条件下でプロトンたるH
+が単独で存在できない、というのが「化学的な」常識です。水和してオキソニウム(H3O
-)の形で存在します。pHの計算上、便宜的にH
+と看做しているに過ぎません。(イオン積には影響しません)
この状況を整理してみると要するに訳知り顔で解説される「水槽水のpH」という存在は、
(a)実際には存在しない「水素イオン」をベースとしている
(b)計算結果は右肩の数字の逆数、という単なる「目安」で示される
(c)諸々の条件(上記)により、これを正しく測定、判断することが困難
(d)例え正しい結果が出たとしても植物育成上、どういう影響を与えているのか未知
と言えると思います。今まで検証してきた「窒素の存在形態」「侵食性二酸化炭素の量」もpHによる副次的な側面ではありますが、説得力に欠ける事は否めません。(自分で書いておきながらすいません^^ゞ)何が「説得力に欠ける」かと言うと、窒素や二酸化炭素が豊富なら植物は育ちます。しかし無くても一定期間は枯れません。要するに十分条件と必要条件なのです。他の要因も散々検討しましたが決定的なものは見当たりませんでした。
この事実は植物学の実験としてよく例示される「光を遮断した暗箱に植物を閉じ込め、光合成を奪っても相当期間枯死しない」ことと符号します。簡単に言えば植物は一定期間、二酸化炭素が無くても生きて行けるのです。南米産水草を硬度の高い水槽で育成した際の劇的な枯れ方はこの実験結果とは明らかに異なります。(恥ずかしながらやったことがあります>大磯水槽への南米産水草導入)
弱酸性では育ちやすい水草が多い、飼育しやすい魚類、甲殻類が多い。(もちろん逆もあり)これは経験則から受け取れる「結果」であって、その測定手段、精度、理論的背景はこんなものです。要するに何も分かりません。何も分からない状況下、僅かに検証した結果は本コンテンツ
弱酸性環境概論をご参照ください。
他の方の意見を引用したりリンクを貼って自分の意見の補完ないし根拠とする、非常に貧弱な精神の成せる業と考えておりますのであえてしませんが、アクアリストのなかでも「正面からモノを見る」方のWebサイトには「
pHに振り回されるな」とか「
pH以上に重要な水質指標が多々ある」てなことが必ず書いてあります。もちろん私のようにクドクドと文章や化学式を連ねて読みにくいテキストで仰る方は少ないのですが、思うところは同じでございます。
(*1)酸の定義
酸とはなにか、という定義が提唱されたのはわりと古く、皆さんが大好きなリービッヒ(1803-1873)を嚆矢とする。リービッヒの定義では
酸は水素の化合物で、金属イオンで置換される水素イオンを持つ
とされている。本質はその通りで現代でも通用する。その後、アレーニウス(1859-1927、スウェーデン)が水溶した時にプロトン(H+)を出す物質と再定義を行いその他の化学者によっても様々な定義が成されている。しかし今日に至るまで生きているのは「水素イオン」というキーワードである。
|
◆Acidity & Alkalinity◆
何も分からない、と言いつつ「概ね」正しい測定を行えば酸性傾向なのか「アルカリ性」傾向なのかは分かります。本論に入る前に度々ですが、よく用いられるこの「アルカリ」という言葉も大きな誤謬がありますので考え直したい、と思います。
こんな事はどうでも良いと半ば思いますが、湖沼環境分野で付き合いのある友人達とpHの話題になった際、私が不用意に「アルカリ性」という用語を使用したところ、厳しい指摘がありました。メールや掲示板ではなく口頭で、です。
湖沼の水質という化学分野の会話をしているのに「アルカリ性」という表現はかなり馬鹿っぽい。水質を語る上では「塩基性」または「還元傾向」と用いるべきだ。
という指摘でした。前項で述べた通り、また水素イオンと水酸イオンのイオン積の構成が動く時には塩基の存在がポイントとなりますし、酸化傾向の反対は還元傾向で環境関係のテキストにもこのような表現が一般的です。では化学分野でどうか、というところを調べてみると「アルカリ」は
アルカリ金属(Li Na K Rb Cs Fr)と
アルカリ土類金属(Ca Sr Ba Ra(Be)(Mg)*ベリリウムとマグネシウムは文献により)のことで、その性質は1価の陽イオンになりやすく酸化されやすい(アルカリ金属)、同じく2価の陽イオンになりやすく酸化されやすい(アルカリ土類金属)で、「アルカリ性」には間違いありません。しかし言ってみれば「その傾向にあること」と「その原因」を一緒に表現していることになり、たしかに「
馬鹿っぽい」ですね。
よく遊びで子供にボールを投げて打たせます。子供はこれが大好きで「野球をやる」と言います。しかし用語としての「野球」は9人でやるもの。バットとボールを使う2人の遊びが「野球」ではないですね。子供とのやりとりでは通用しても用語としての正確性はない、言ってみればこれと同じことだと思います。
残念なことに義務教育課程にある子供達がこの分野のかなり初期の教育として受けるリトマス試験紙を使用した実験では「アルカリ性」という用語が用いられています。たしかに小学生に「塩基性」とか「還元傾向」と言っても難しいでしょうし、広く通用する用語なので問題もないでしょう。しかし湖沼でも水槽でも水質を語る際に本質を失うような、あるいは誤らせるような用語は用いるべきではありません。この「ややデフォルメされた」知識を大人になっても引きずっている方が多い、ということなのでしょう。誰の責任でもなく「教育が悪い」というのはこのような場合にこそ言うべきですね。
ついでに、ですがこの無償で支給される教科書の知識の修正は費用を費やして調べています。もちろん個人の支出です。便利な世の中、ネットで調べれば無料という甘い果実もありますが、本サイト「
ロタラ・インディカはRotala indica?」で述べた通り、ウィキペディアに載っていようが、googleで当たろうが間違っているものは間違っています。そして脱力系のしょうもない記事が上位に来ていたりします。試しにgoogleで「荒木田土」を検索してみてください(汗)。損な性格の私は調べ物は図書館、無い場合は書籍購入と、時間と身銭を切っているわけです。(余計な話ですね)
本論ですが、この酸性と塩基性、何が違うのでしょうか。もちろん化学上の定義、物質の動きはこれまで記した通りですが、本稿は化学のテキストではなく植物育成上のヒントを探る「メモ」ですのでこれで終わってしまっては公開する価値も無くなってしまいます(^^;
今までに分かったこと、自然科学の異ジャンルからのアプローチでやや光が見えたことがあります。もちろん個人的な推論ですが栄養吸収という植物生理学的なアプローチと、多くの双子葉植物とは異なる環境で育成可能な単子葉植物という進化論的アプローチが化学的アプローチで分かる事実を凌駕していると思います。一つ覚えに「pHが」「水素イオンが」とやっているよりも余程本質に踏み込んだ「水槽の科学」だと考えています。
◆フィールドからのアプローチ◆
Acidity & Alkalinity、植物の生育上何が異なるのか、この点に関して今回は少し逆の見方をしてみました。非常に狭い閉じられた環境である水槽からの発想ではなくフィールドからのアプローチです。
霞ヶ浦水系の湖沼河川は主に水質汚染によって塩基化が進んで来ました。(本コンテンツ内
異論弱酸性国土説<改訂版>参照)そこでこれこれの水草が滅んで見られなくなった、という話ではなく、見られる水草の話からです。霞ヶ浦水系の汚染で有名なのは何と言っても手賀沼でしょう。最悪の時期にはpHで言えば9以上という海水並みの塩基性を記録しています。ここまで行かなくても概して同傾向です。
概ねの水草、特に沈水植物は弱酸性環境下で生育する、間違いではありません。導電率の上昇や農地からの除草剤流入など他の要因も多々あることを認識しつつ、大きな要因としての塩基化により多くの水草は滅んでいきました。ただこの環境でも見られる水草があるのです。侵略的帰化種として要注意外来生物となっているコカナダモ、オオカナダモ、在来種としてはセキショウモ、クロモなどが生き残っています。エビモやヤナギモなど少数派の他科を除けば量的にはトチカガミ科(
Hydrocharitaceae)が圧倒的です。科名植物で浮遊植物のトチカガミを加えれば、最も発見しやすい水草がトチカガミ科であると言っても過言ではありません。
なぜトチカガミ科の水草はこの環境でも生き残る事が出来るのか、この理由を生態学的なマクロ視点ではなく植物生理学的なミクロ視点から考えてみると酸性と塩基性が水草に与える影響がおぼろげに見えてくる気がします。その推論を出す前にこれまでに知り得た前提を2つ、整理します。
【CO2の調達】
本コンテンツ内「二酸化炭素添加概説」にて解説した通り、塩基性の水溶液中では植物の生育に必要な二酸化炭素である侵食性遊離炭酸はほぼ存在しない。光合成を行い生長エネルギーを得ていることは間違いなく、もう一つ遊離炭酸である従属性遊離炭酸から二酸化炭素を得ていることが推測される。
トチカガミではないが、水田で生育するシャジクモが従属性遊離炭酸から二酸化炭素を調達している非常に有力な状況証拠がある。当Webサイト「湿地の科学」の車軸藻帯の喪失にまとめてあるが、次のような反応を行っていると推測される。
CaCO3+CO2+H2O ⇔ Ca(HCO3)2
状況証拠としてはシャジクモに付着する炭酸カルシウム(式左辺、CO2を分離した後の析出)と炭酸カルシウムを求める、と思われるシャジクモ付近のカイミジンコの密度の2点である。この機能がトチカガミ科に備わっているかどうかは文献資料上では見つかっていない。この点に於いて状況証拠、である。
|
【根なし草の栄養調達】
上記したトチカガミ科の植物は着床して生育するものが無い。つまり土壌に栄養分を求めていないことが推測される。水中に於ける草体からの栄養吸収は現状の植物分類体系では「進化形」とされる単子葉植物のトチカガミ科が獲得した形質ではないか、という見方も成立する。従来からトチカガミ科の送粉機構は水媒花の進化に於いて注目すべき形質とされており、進化との関連に於いてこの形質を考えることに無理は無いと思われる。
水中の浮遊という同様の生活史を持つマツモやヒンジモなどは収斂進化、と見れば理解できる。逆に考えれば着床して育つ他科の水草がこの「進化した」形質、水中からの栄養調達機能を持っているかどうか、極めて疑問である。
|
この前提(多分に状況証拠による推察も含みますが)とアクアリウムサイドで良く話題となる、「バリスネリア(セキショウモ)がソイル(=低pH)では育たない」を考えてみると、pHの本質が見えてくると思います。しかし、同じ塩基性傾向の水域でもトチカガミ科が見られない場合が多々あります。もちろん水槽内というある意味植物にとって「恵まれた」環境とは異なりますので同次元で議論することは不可能ですが、ここには「pHで何が分かるか」という命題に対して以下の解が出せると思います。前回推論の内容強化版です。
・溶存する侵食性遊離炭酸の量
弱酸性で育つ水草は二酸化炭素の調達を侵食性遊離炭酸に頼っている。「進化した」トチカガミ科の植物は従属性遊離炭酸から炭酸カルシウムと水を分離して二酸化炭素を調達できるが、逆に従属性遊離炭酸の無い環境(弱酸性)では二酸化炭素を調達しにくい
・水中からの栄養調達
すでに前稿で問題提起させて頂いた通り、弱酸性を好む水草のマストアイテムであるソイルは、草体からの栄養吸収がほとんどない沈水植物の根からの栄養吸収を活性化するために、陽イオン交換で土壌に各種物質を集積する。この状態では水中から直接吸収を行うトチカガミ科の植物は生育することができない
フィールドから見た「pHで何が分かるか」というテーマとトチカガミ科「以外」の水草の生育条件を並べてみると興味深い結果が見えて来ます。
(A)
二酸化炭素の過不足は直ちに枯死に繋がらず、多数の水草は水中から侵食性遊離炭酸の形で調達する。ただし絶対条件ではない
→この部分のみ「pH」が関係する
(B)
水中からの栄養調達に関連し、陽イオンが交換されずに存在する環境(結果的に低pH)ではトチカガミ科の根無し草は弱い
→ただし低pHは「結果」に過ぎず、水素イオン(オキソニウム)は全く関連性がない
(C)
逆に陽イオン交換で各種元素が底床に集積される場合に特化して育成できる南米産を代表とする水草がある
→この場合、栄養素の一つとしての意味以外に水素イオンは関連性がない。二酸化炭素は(A)の通り
(D)
(C)の環境ではトチカガミ科は弱い
→水素イオン(pH)の関連性はなく、経験上分かるのはアルカリ土類金属、特にマグネシウム欠乏症の症状が見られる
ここまで書いてくれば自ずと結論がご理解頂けると思いますが、どうもpHは結果であって原因ではないような気がします。二酸化炭素の十分条件が崩れたと仮定(著者本人は確信していますが)すれば、水素イオンも水酸イオンも植物の生育上何ら十分条件になっていないのです。ここで注目すべきは、トチカガミ科の栄枯盛衰で類推したように、
水素イオン以外の陽イオンの動きです。これは確実にpHではありません。言わば水槽の
酸化還元電位(ORP)です。
酸化還元電位はもちろん水中の溶存物質の質量とは直接的に結びつきませんが、バクテリアの活動(これも植物の根からの栄養吸収に深く関連します)と電位に大きな関係があり、二次的に関係が深いと言っても過言ではないと考えます。かなりクドクド書いてきましたが、以上をもって「育成環境」としてのpH、ソイルを次のように結論付けたいと考えます。
【従来の通説】
低pHでは侵食性遊離炭素の溶存比率が増加、ソイルの陽イオン交換によって水中のMg+とCa+を交換し、KHを下げることで相対的にpHを下げ、この環境を実現している
【アンチテーゼ】
陽イオン交換によって根元(底床)に集められたアルカリ金属、アルカリ土類金属により植物が活発に生育できる。副次的にpHの低下により侵食性遊離炭酸が増加し、電位の増加によりバクテリア(総称)が活性化する。しかしこの動きの本質はpHではなくORPである
|
|
Risuke's Wetland Explorer
Copyright(C) Risuke All rights reserved.
Reproduction in whole or in part without permission is prohibited.
|