湿 地 の 科 学


Archives】1 環境NPOのあり方

〜水辺伝言板談話録〜

◇認識と見識の狭間◇

テーマの深さ、発言者のレベルが揃うと掲示板スレッドの質が飛躍的に上がり後々読んでも再発見がある非常に貴重なナレッジとなります。
私が管理するBlogで環境NPOについてのやりとりがありましたが、これは「貴重なナレッジ」に該当すると思いますのでここに再録させて頂きます。
私もそうですが、ここをご覧になっている方のなかにもcarexさんなど実際に環境NPOに関係されている方がいらっしゃると思います。時にはニヤリとされるでしょうし、なかに居ると気が付かない事実、自分達の絶対的正義は一般的に必ずしもそうではないこと、等に気が付かれる事と思います。
特に青森男さん、いたちむしさんという専門分野に造詣の深いお二方のご発言はそのような貴重な情報がいたるところに含まれています。今更ながらお二方の知己を得て過分に思います。

本発言集は「水辺伝言板」の2005年2月24日の記事「文字大杉」に対する皆様のコメントの一部です。
ご発言の著作権は各々発言者に帰属します。

◇珠玉のコメント集◇

Blog本文と本文に対するレスは植物に必要な元素をテーマとしており、本題には無関係ですので前半部他を省略させて頂きます。レスを下さったcarexさん、いたちむしさん、NAKAさん有難うございました。


青 森男 at 2005-03-14 01:14
お久しぶりです、青森在住の青 森男です。
遅ればせながら新サイト開設おめでとうございます。で、いきなり重い話をするのも何なんですが、雑文集の記述を読んで黙っていられなくなりました。

私などが言うまでもないことですが、世間はどうも論文の内容をどんな場所にでも当てはめようとしすぎている気がしてなりません。判断基準が他にないから、というのもまあ納得できるんですが、それでいて偉そうになモノ言いをする人が多すぎるように思えます。

特に私が毛嫌いしているのが、自然環境をどうこうしようと言っているNPO団体などで、少なすぎる情報(=論文)でなんでも片付けようとして、話がものすごく強引な印象を受けます。そんなことやる前に、もっと自分自身がバリバリフィールドワークこなして、情報を収集した上で論文書いてみろ!それからでなければ偉そうに人にモノ言うな!!というのが私の意見です。

利助さんは個人で論文を執筆しておられるということですが、私も個人データを元に論文を書きつづけていますので、いつかどこかの学会でお会いできる日を楽しみにしております。

それでは失礼いたします。


利助 at 2005-03-14 23:44
こちらこそご無沙汰しております。
青さん節、健在ですね(^^;久しぶりで嬉しいです。

NPOの話は耳が痛いです。たしかにそういう面もありますからね。でもみんな無償なだけに純粋な部分がありますよ。幸いなことに参加しているNPOは会議やセミナーってのはほとんど無くてフィールド活動中心のところばかりなのでそういう面では恵まれているかな。

論文のほうはすでにそういうNPOの会報などに何本か発表しています。青さんは私の名前もご存知ですのでどこかで見られているかも(汗)
最近ちょっと訳ありで大学とは距離を置こうと思っています。特に昆虫の廣瀬誠先生と出会ってからは在野の研究の方が柔軟性に富んでいるという思いが強いですね。車軸藻の森嶋先生もそうですしね。
どこかでお会いした時にはこちらこそ宜しくお願いします。


青 森男 at 2005-03-17 03:50
いきなりの弾けた話題で失礼しました。今回も突っ込んだ話で、アクアリウムとはかけ離れてしまってますが・・・

環境NPOに関しては、まさに玉石混合の状態なんだと思います(個人的には玉がものすごーく少ないように思えますが)。しかし、純粋なだけにRDBなどの情報をなんの疑いもなく信じちゃってる人が多いのも事実じゃないでしょうか。いうまでもなく、あんなものはただのガイドラインみたいなものなのに、アセスメントでも「希少種一覧表」みたいなものがやたらと出回ってるし・・・植生が対象ならば、群落単位で把握して、それが成立する要因とはなんなのかを追及しなければ、永続的な保全など不可能だというのに。

それから、モニタリング調査をしていて前年よりも個体数が少なくなったりすると、すぐに絶滅のおそれが・・・と言いたがるような印象も受けます。種の消長をあまりにも短いスパンで捉えすぎているのではないでしょうか。

前回に引き続き大変失礼な内容で申し訳ありませんでした。


利助 at 2005-03-17 23:22
青さん
いえいえ、アクアリウムのサイトとは思っていませんので(汗
そういうのは他にたくさんありますし、他と同じ内容なら自分でWebサイトを公開する意味は無い、と考えていますからご遠慮なく。

NPOは玉石というよりも私は温度差と考えています。書き出すと長くなるので、いずれサイトの方で意思は表明しようと思います。
モニタリング調査については異論があります。行政事業で予算のついた調査は別として自主的に調査するものが大半なので、公開するのは「単なる事実」なんです。
群落だと高さとか植被率など単なる数値なのです。これをどう読むかというのは読み手側の判断に委ねるのが基本です。
群落の増減傾向によって「希少」「RDBが」などの話は読み手側である行政や大学などから出る話でしょ?それを盾に騒いでいるNPOっていうのは少なくても私は聞いたことがないですが、他の地域ではあるかも知れませんね。
そういう発言が出るようになっただけでも方向性はともかく「残されたモノを守らないといけない」という認識が定着しつつあるという点を評価できると思います。
ご存知の通りこういうレベルの話は大好きですから全然失礼じゃないですよ。


いたちむし at 2005-03-18 18:29
世の中、イヌやネコが大好きな人は多いのですが、生き物自体が大好きな人は、案外少なく、寂しい想いをする事もあります。大学の生物研究者の中にも、研究対象外の生物には無関心という人がけっこういるのには閉口した時期もありました。

話が脱線しますが、在野の研究者の方が柔軟性に富んでいると言うのは、在野の研究者に生き物自体が好きな人が多いと言うことでしょうか。

話を戻しますと、当初、研究範囲の生物だけに詳しい人は、マニュアルな物を頼って生物を研究しているのではないかと一方的に感じていたのです。


いたちむし at 2005-03-18 18:41
しかし、『ファーブルの生涯』と言う本の中で、「ファーブルとパスツールの出会い話」を読んだ時、その考えは慢心的なのだと感じるようになりました。パスツールは、当時のヨーロッパでカイコがウィルスによって大量に死滅する謎を解明するヒントをもらおうとファーブルにカイコの生態を教えてもらおうと訪ねたのでした。その時、ファーブルはパスツールの事を『カイコの事を何も知らない』と呆れました。しかし、その後、パスツールはカイコの大量死の謎を解明し、養蚕業を救ったのです。

それから、その人の特定生物へのひたむきさに心をうたれたり、その人はパスツール的才能の人かも知れないと感じるようになりました。

バカの壁が一つ取り去られた思いです。

環境NPOにも、生物自体が好きな人が少なく、別の観点にやりがいを感じている人が多そう。パスツール的な人が、今後、増えてくれるように願います。


いたちむし at 2005-03-18 18:45
以前、1人でトムラウシ山付近の湿地帯にナガバノモウセンゴケを探しに行き、雪渓を夕方に歩いていたときに霧につつまれ、道が分からなくなり、ハイマツ帯でビバーグしたときは恐怖でした。しかし、西丸震哉先生が聞いたら、『へなちょこめー』と一蹴されそうですが(苦笑)。


利助 at 2005-03-18 23:44
在野の研究者は生活のため、教授になる、論文締め切り、などから開放されていますので(笑)。
廣瀬誠先生はヒヌマイトトンボを発見されたぐらいの昆虫好きですが、フィールドでは自然に対する愛が全身から感じられますね。蚊柱が重要な研究対象になる、と子供達に熱弁をふるうお姿は嬉しくて笑ってしまいます。分かります?嬉しくて笑うってこと!

西丸震哉さん、私も好きです。「山小屋作った」シリーズは愛読書です。イラストが独特でいいですね。


いたちむし at 2005-03-19 18:57
そういう時、目頭が熱くなる時もありますよね! こんな素晴らしい人と、今、場を共存しているのだと言う感動。 なんか親友が出来るときと似てる(爆)。


青 森男 at 2005-03-20 01:30
>利助さん
アクアリウムサイトと思っていないとのお言葉、安心しました(笑)
NPOに関してですが、野鳥関連の方々は「絶滅危惧種」を振り回している方がたくさんいらっしゃいます。おかげで「生態系の保全」から「特定種の保護」に話が移ってしまい、ヒステリックな印象を受けています。

利助さんがおっしゃっている「単なる事実」についてですが、私の知っているNPOは、調査結果を内輪で発表するだけで、その中で「希少」「RDB」それから「絶滅」という単語を濫発してます。単なる事実だと思うなら、
団体の中の会報だけでなく、学術論文に投稿したらどうなんだ!!と思わずにいられません。


青 森男 at 2005-03-20 01:48
連続投稿申し訳ありません。
「群落単位」という言葉についてですが、私が言いたかったのは「特定の生物種」に目を向けすぎなのではないか、ということです。特定種を保護するにしても、それが生息しているのがどのような場所で、何がその場所を成立せしめているのか、その条件を見極めなければいけない、ということを言いたかったのです。

在野の研究者に関してはほぼ同意見ですが、私は個人の興味が先行し、調査結果を公のものにしようとしないという印象が強いですね。そのために論文というものがあるのに。


利助 at 2005-03-20 22:24
なるほど鳥!鳥はたしかに評判悪い(笑)
植物系なので気がつかんかった。

幸いなことに参加しているところは全てゾーンディフェンスが基本です。里山丸ごと、とか。雑木林の保水力など色々教えて下さいました。

>団体の中の会報だけでなく、学術論文に投稿したらどうなんだ
中に居ると気が付かないと思いますが、大きな障壁があるのですよ。素人に負けてたまるか!っていう。そのなかでもT大は凄えです。ワシなんぞ「人にあらず」ってところで、30年前に頭割れるほど勉強して入っとけば良かったと一瞬..。


青 森男 at 2005-03-21 07:11
なるほど。利助さんが参加されているNPOはそうなんですね。青森で環境NPOっつたら、ほぼ野鳥オンリーですよ・・・そうか、これが「温度差」ってわけですね。一人で勝手に納得!

論文に関してですが、べつに大学に関わらんでも書けますよ。私が学術論文にこだわるのは、そうでもしないと、いくら貴重な情報でも検索システムに引っかかることもなく、結局は一部の人間の間だけのものになってしまうことを実感しているからです。

勝手な話ですが、水草研究会報に投稿されてはいかがですか?学術雑誌ですし、投稿論文が少なくて発行が遅れているようですし・・・私も当然書きますよ。6年間のデータをまとめて。


いたちむし at 2005-03-21 20:22
工夫は無限にありって、松下幸之助でしたっけ?
環境NPOで投稿し続けて、いきなり本と言う手も強力そう(元警視庁科捜研の小田部家邦(おたべくにいえ)さん系いきなりパワー)。
エジソン、宮本武蔵、牧野富太郎パワーでも、学者が吹っ飛びそう。


いたちむし at 2005-03-21 21:03
ブレーンストーミング的荒らし完了しました(爆)ファーブル的表現力とパスツール的表現力の両面を持った人は現代に存在するのかと言う命題を抱えて、戦線離脱します。利助さん、うちのホームページでも、今後、難問期待しております。
では!


利助 at 2005-03-21 22:02
う〜む、頭割れそうです...。 ネットで寝言ほざくのと活字は重みが違いますよ。
プ、プランクトンは勉強しておきます。(汗)

>投稿論文が少なくて発行が遅れているようですし
これだ!ワシの論文人気があって引き合いが多いと思ってたじょ。
水草研究会ですね、了解しました。角野先生を「あっ」と言わせてみせましょう。



コメントを頂いた青森男さん、いたちむしさんありがとうございました。ご発言は改行など原文を尊重して掲載させて頂きました。不都合等ございましたらご連絡下さい。
また、非常に長いスレッドになってしまった関係上、環境NPO関連以外のご発言については誠に遺憾ながら割愛させて頂きました。ご発言を頂いた皆様に重ねてお詫び申し上げます。

このスレッドは自分自身のスタンスを考える良い契機となりました。また、ファーブルとパスツールの逸話など実に知的で興味深く、いつか容量を超えて流されてしまうのが惜しく、その前にHTML化し、再録させて頂きました。



SEO [PR]  紅葉めぐり 転職支援 わけあり商品 無料レンタルサーバー ブログ SEO