植物用語辞典 利助流家元版

ア行


【アオコ】あおこ
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霞ヶ浦や手賀沼でよく見られる(汗)淡水性植物プランクトン。藍藻であるMicrocystis aeruginosaなど数種類が含まれている「総称」である。と言うよりもこやつらが繁殖して緑色になった水域を指すこともある。日向に置いた睡蓮鉢にも発生することがある。水域には大なり小なり住み着いており、条件によって爆発的に繁殖するようである。
条件とは過剰な富栄養化、特にリンの過剰と考えられており下水道未整備地帯が多い霞ヶ浦沿岸では各家庭に「リンを使用した洗剤を使わないようにしましょう」という呼びかけがなされている。(今はどうか知らないが)

アオコが繁殖した水面は遠目には緑色で綺麗だが、様々な害がある。
(1)夜間の呼吸によって酸素を激しく消費し、魚類や沈水植物などを死滅させる
(2)毒素を持っており、人畜に被害を与える
(3)激しく匂う
特に(2)ではブラジルで透析の水に混入し50名以上が死亡するという大惨事を引き起こしている。発癌性もあるらしい。

アオコを除去するために様々な試みが成されており効果の高い評価すべき手法も多いが、緑色の水域にホテイアオイが浮いていたりすると、地獄の血の池に極悪人が浮いているようなおぞましさを感じる。毒は毒をもって制する、目的は手段を正当化する、様々な環境に於ける「タブー」が脳裏に浮かんでしまう。

【亜種】あしゅ 【変種】変種
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植物の三名法上、種の下の概念。種の特定が進むにつれリンネの二名法では収まりきれない「形質の違い」や「形態的変異」が明らかになり制定された歴史的背景を持つ。水性植物では時に重要な概念となっており当Webサイトの記事「ロタラ・インディカはRotala indica?」で触れたキカシグサなどはその好例である。
品種や園芸品種は別に解説しているが、これは亜種、変種と意味合いが自ずと異なると考えるためである。表記上は同列に記され、分けて考えることも一般的ではないのでご承知置き頂きたい。

亜種(Subspecies)略号表記はsubsp.またはssp.
・種と異なるのは微小で重要ではない形態と形質により区分される
・種と異なる地理的分布を持つ
例)タケトアゼナ(Lindernia dubia (L.) Pennell subsp. dubia
*アメリカアゼナの亜種

変種(varietas/variety)略号表記はvar.
・地理的分布に関係のない形態的変異体である
・他の変異体と共通分布する形態的変異(母種と混在する)
例)コナギ(Monochoria vaginalis var. plantaginea) *Monochoria vaginalisというコナギに似た花の形状が異なるミズアオイ科の植物が南アメリカや東南アジアに存在するらしい(現物未確認)。コナギは学名上その「変種」とされる

【荒木田】あらきだ
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荒木田(土)は屋外睡蓮鉢での植物育成に於いて定番となっている用土である。主に水田や河川の堆積土で粘土質、保水性・保肥性が大きい。
園芸でもよく用いられるが単用される事は無く、他の用土の混ぜ込み用として使用されるのが一般的。水生植物用には単用しても何ら問題は無いが、2〜3割川砂などを混ぜ込むと使い易い。(全体的に粘り気を軽減する)

近所のホームセンターで購入した荒木田土をpH7.2(水温18度)の水道水に1:1の割合で浸したところ、意外なことにpHは変化しなかった。粘度が高くイオン交換はしないのか、非常に限定的なのかも知れない。ちなみにpHがかなり偏った指標で、ソイル含めてイオン交換による水質指標を論議する際にはORPを使うべき事は承知の上。

尚、一般的にどの程度水質に対する影響があるのかgoogleで「荒木田土」を検索してみたところ、拙著が筆頭に出ていた(赤面)。もちろん真面目に調べる方が自分の著作を読んでも得るところが無いのは言うまでもない。

【RDB】あーるでぃーびー
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絶滅に瀕した生物を記載することで広く認識を喚起するためのもの。Red Data Bookの頭文字を取った一般呼称。
元々は1966年にIUCN(国際自然保護連合)によって同趣旨で作成されたもので現在では各国が作成を行っている。国内では環境省が作成する「環境省RDB」と都道府県が作成する版がある。
諸々誤解があるようだが、RDBは種別があり、準絶滅危惧(NT)や情報不足(DD)などは記載されても根拠がある状態ではない。度々で恐縮であるが私が茨城県の複数個所で発見しているスズメハコベは環境省RDBでは「絶滅危惧IB類(EN)近い将来に絶滅する危険性が高い種」とされており全国11県で自生記録があるとされているが茨城県は含まれていない。
この例に限らず不備を指摘する声が多く、環境省自身も平成18年度指定動物保護対策検討会(第1回)議事要旨でRDBに関し「データがないものについては予防的原則で規制を行う」などの答弁を行っている。
RDB記載種であるからという理由で採集、取引を制限する法的権源はもちろん無いが、実態としても根拠とするには問題がある。もちろん傾向として把握するための基礎的な資料としての価値を認めるべきであり、条例や法整備された対象に関してはこの限りではない。

RDBに記載されている希少種ということでインターネットオークションで価格を吊り上げようというウマシカ君が横行しているようだが、我が国の一番の絶滅危惧種は「人の良心」である。・・・う〜ん、良いこと言うなあ>おれ

【アレロパシー】あれろぱしー 【他感物質】たかんぶっしつ 【フィトンチッド】ふぃとんちっど
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アレロパシー(Allelopathy)は、日本語では「他感物質」と訳されるように、植物が放出し他の動植物に影響を与える物質のことである。しばしば植物に対してはネガティブ、排他的に作用し、クルミの木の周辺に雑草が生えにくい事情やセイタカアワダチソウが版図を拡大するために他種の発芽を抑制する例が示される。概念としては比較的古い時代からあり、1930年代にドイツの植物学者によって提唱されている。
植物は多かれ少なかれ何らかのアレロパシーを放出していると言われているが、同種に対しても作用してしまうらしく、セイタカアワダチソウの群落推移や畑地での連作障害の多くもアレロパシーが原因と言われている。

植物が放出する物質として他にフィトンチッド(Phytoncide)というものがあり、こちらは殺菌効果があると言われており、一時流行となった森林浴はこのフィトンチッドを利用してリフレッシュするというもので、殺菌以外に様々な効果が「臨床的に」報告されている。フィトンチッドに由来するものかどうかは分からない。

森に限らず湿地でも水田でも歩けば一種の爽快感があり、私の場合はストレスコントロールの手段となっているが、別に殺菌効果のみに拠るものとは考えにくい。フィジカル作用よりもメンタルに作用する物質があるような気がするが・・今のところこれは寝言。というかこんなの書いてないでどこか行きたい。

【アントシアン】あんとしあん
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アントシアン、またはアントシアン色素、アントシアン系色素。その名の通り色素であり、水溶性で酸性側で赤、塩基性側で青に変化する特徴を持つ。
植物フェノロジーで一般的な紅葉は、光合成によって葉中で作られた糖類が、気温の低下とともに(落葉に備えて)茎と遮断するために生成されるコルク質のために移動できず赤いアントシアンに転換され、不要となった緑の葉緑素が分解される仕組である。

以下は個人的感慨
一部の水生植物は水中で赤くなるが、光量の低下する水中で過剰な葉緑素を落としアントシアンが目立つ事によって表現されている可能性があると考えられる。二価鉄の投入によってさらに赤みが増すのは、二価鉄の持つ植物体へのダメージによってさらに光合成が阻害されて葉緑素が不要になっている可能性もある。
気中でも赤い草はざらにあるが・・・よく分からん。気中のヤナギタデが赤いのは見たことがないので、水中では真っ赤な顔で耐えているんだろう、きっと。

【飯島博】いいじまひろし
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アサザ基金代表兼わたらせ未来基金代表世話人兼霞ヶ浦・北浦をよくする市民連絡会議事務局長兼ヒシクイ保護基金代表兼牛久の自然を守る会代表
飯島氏の最も優れた点はアサザ基金というおよそNPOとしては最も成功している部類の団体に方向性、思想的バックボーンを与えた点である。「自然を守ろう」「ゴミを減らそう」といった希薄な机上の発想を持った凡百のNPOが機能していない現状と対極である。
それはアサザ基金の発想を得る過程で琵琶湖よりも長い湖岸線250kmを持つ霞ヶ浦を2年間に4回も徒歩で周回し、現状はどうか、問題点は何か、今後どうなるのか、現場の発想として具現化した超人的な努力の賜物であって余人に真似できない輝きであるが所以である。
飯島氏のアサザ基金の発想の原点として「鷲谷論文」の存在がよく語られるが、鷲谷先生も一般的なイメージの研究者としてよりも実践的な活動から研究成果を得るタイプの方で素晴らしい。お二方共編の「よみがえれアサザ咲く水辺」に掲載されたアサザが繁茂する湖面にウェイダー姿で立つ鷲谷先生の姿に美しさを感じるのは私だけだろうか。
巻き込まれたのは鷲谷先生、角野先生といった研究者のみならず、飯島氏が企画(だけではなく、自ら土砂を運び作業する姿も写真に残っているが)したトンボ公園では公園に水を汲み上げるポンプの電気代を建設省が意義に賛同し負担している。昨今の社会保険庁の出鱈目ぶりに比べてどうか。
官民学が協働できるプロジェクトが一個人の発想から生まれる、まだまだ人間も捨てたものではないと思う反面、霞ヶ浦の問題で後手後手に回っている自治体の問題もあるわけで、彼が標榜する100年後の姿に向けて県、県民として未解決の問題が多い点も認識しなければならない。

【イオンチャンネル】いおんちゃんねる
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植物の細胞膜にある膜貫通タンパク質と言われているが、イオンを選択的に透過させる働きを有するものを総称してイオンチャンネルと呼ぶ。選択的とはつまり「Caイオンチャンネル」はCa+を選択して通過(取り込む)させるわけである。
なぜこのような芸当が出来るのかと言うと細胞外とのイオンの濃度差(濃度傾斜)や細胞活動による活動電位の発生をエネルギーとし、受容体機能(レセプター)によってイオンを選択する。一言でいうと良く分からない。(爆)
よく誤解されるようだがイオンチャンネルは植物の内部吸収の話であって「水草が水中から」という話とは直接関係がない。特にCa+やMg+は根からの吸収が圧倒的に多いことが知られている。アクア系はヨタ話が多くて辟易・・(ry

【維管束】いかんそく 【導管】どうかん 【師管】しかん
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植物の内部組織で植物体の全体に渡り内部を貫通する管の集合体。水や栄養素などの運搬と植物体の保持を役割としている。
この構造を持つのはシダ植物と種子植物であり、あわせて維管束植物と呼ぶ。まぁ人間もしょせんは管の集合体なので仲間かも知れないが。
厳密に言うと水や栄養素などの運搬は役割が分かれており、水を吸い上げる機能を導管、ブツを運ぶ機能を師管と呼ぶ(中学理科の授業で習ったはずだが、本稿を書くまで忘れていた)
そう言えば胃観測も管を使いますな。この状態を我々専門家(何の?)は胃カメラと呼ぶが。

【異形葉】いけいよう 戻る

異形葉は植物の進化における道筋を示す重要な概念となるもので、最新の学説であるエピジェネティクスやネオトニーでも例示される現象である。
植物の葉形は発生初期と成長後に違う形状のものが多く、さらに生育環境によっても差異が見られる場合が多い。一般的にはこの状態を「異形葉」と呼ぶ。
環境に起因する変異についてエピジェネティクスでは「環境因子による遺伝的形質の発現」とされ、もともと持っていた遺伝子かつメチル基が付加されて使用されなくなった遺伝子が環境因子によって発現したものと考えられる。
また、時として発生直後の葉形のまま成熟し有性生殖を行なう植物体はネオトニー(幼形成熟)の概念で、進化論上「退化」という逆ベクトルも進化そのものであることを証明する事例として提示されることが多い。

私がよく水槽水中で育てていたシロバナサクラタデ(Persicaria japonica (Meisn.) H. Gross)は水中でかなり小型の異形葉を付けるが、撮影してみるとクチクラの反射としか思えないハレーションを起こすので、完全な「水中葉」と呼ぶには抵抗がある。水中という環境因子による異形葉と考えればすっきり納得できる。この場合もちろん栄養吸収、光合成における植物生理は「水草」とは異なるはずである。

人間の場合歴史的に「異形」は畏怖の対象となっていたらしく、かの柳田國男翁は名作「一つ目小僧」で、片目を失う確率の高い職業、鍛冶の人々が炎に炙られた形相、飛び散る鉄片で隻眼となった姿で各地を廻る姿が「タタラ」と呼ばれ、何とかダタラとか一つ目小僧とか民間伝承の妖怪の起源になった可能性が高いと指摘されている。
戦国時代の伝説的武将前田慶次郎利益(1543-1612、生没年は不詳)はそのいでたちから「歌舞伎者」と呼ばれ、戦場では一際異形ぶりを発揮していたと言われる。各種の文献を見るに実際の強さよりも装いが伝説のベースとなっていると思われる。古来より「異形」は畏怖であり、「好奇心」は「奇」を好む。
少し変わった葉形や模様程度で有難がって高値が付く文化は伝統のものなのだネ。

【イチゴ状果】いちごじょうか 【キイチゴ状果】きいちごじょうか 戻る

一つの花から複数の果実が集合した形状の果実が生じる(集合果)ものの一形態。花床が肉質になって膨らみ、外側に痩果が並ぶ。簡単に言うとイチゴの外側のツブツブが「実」であって美味しい部分は果実ではない。同じイチゴでも「おいしい部分」=核果が集まった形はキイチゴ状果と呼ぶ。
どちらにしても獣や鳥に喰われて種を運んでもらうための深謀遠慮で、こういう戦略を考える度に「なぜ植物は獣や鳥が存在することを知っているのだろう」という神の領域に思考が及んでしまう。及んでしまっても神ではないので解答は得られない。
と言うか考えながら苺を食っても美味しくないので素直に頂こう。そろそろ千葉県房総の温暖な地域で苺狩が始まるはず。成東あたりはアクセスも良いし料金もさほどではないのでまた行ってみたいが庶民なので帰りの車中「1000円分食えたかどうか」という点に話題が集中するのが寂しい(汗)。

【イチジク状花序】いちじくじょう花序 【隠頭花序】いんとうかじょ 【イチジク状果】いちじくじょうか 戻る

イチジク状花序は隠頭花序とも呼ばれる、花嚢(花の集合体のようなもの)の内壁に小さな花が多数あるが外からは見えない構造となっている。クワ科イチジク属に多く見られる。
イチジクの果実は複果の一種、イチジク状果と呼ばれ、果皮に見える部位は花托と花序が肉質化したものであり、内部に果実の構造がある壺状で多肉質の果序のことを指す。イチジク状花序の構造を見ればこれに由来するものであることが理解できる。
書いている途中に懐かしくなってイチジクの木を探してみたが近所の畑の一角に一本だけあった。昔は私の実家にも植えてあったし普通に見られたが、あまり美味いものではないので最近は流行らないのかな?実家ではイチジクを好むキボシカミキリが実より多く付いていたが、これが原因で枯れてしまい、以来30年以上口にしていない。
そう言えばキボシカミキリや桑の木に付くクワカミキリも長年見ていない。彼らも繁殖に必要な木が減ってしまって数を減らしたのか、タコが自分の足を喰う結果となったのか、どちらも寂しいことですな。

【一日花】いちにちばな 戻る

開花した花がその日のうちに萎んでしまい、二日目以降開花しないもの。水生植物ではアサザなどが該当する。アサザは蕾を多く付けるので毎日咲いている花が同じものに見えるかも知れないが実は別の蕾から開花したものである。
黄色いフリルの付いた美しいアサザは一日で多くの虫を呼び寄せ受粉を終わらせる自信があるのだろう。実生が非常に複雑な条件を持っているので多くの実を作り子孫を残す確率を上げる、という進化の方向性とも思えるが実生の条件を簡単にした方が合理的な進化じゃん、と思った。まあアサザにはアサザの都合もあるのだろう。
通勤電車で鏡を見つつ化粧している女性が居るが、開始当初は正直「何塗ったくっても無駄な気が・・」と思うが、完了後はそこそこ見られるようになってしまうので不思議。まさに「顔を作る」ということが実感できる。製造過程を観察することが物の本質の理解に繋がる事も多々あるネ。本質を掴めない虫共がこういう一日花に群がり受粉させてしまうのだろう。くわばら、くわばら。

【一年生植物】いちねんせいしょくぶつ 【一年草】いちねんそう
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同一の暦年内(ここがポイント)に種子から発芽・生長し、開花・結実して枯死する草。
一年草に同意であって、木本は基本的に多年生であるので通常は草本を指す言葉である。
で、一年生だがピカピカではない・・・とあえてベタなところに行ってみる。

【陰花植物】いんかしょくぶつ 【顕花植物】けんかしょくぶつ
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開花・結実を行わず胞子で繁殖する植物と菌類を総称する用語。分類学上の言葉ではない。
念のためであるがアタワルパやフランシスコ・ピサロは一切関係がない・・・と、このネタが分かる方は教養レベルが高いですね。(汗)
隠花植物に対応するのは顕花植物で、隠花植物以外で花を持つ植物全般を指すが、裸子植物で胞子葉と区別が付きにくいものがあり、被子植物のみを顕花植物とする考え方もある。

【インヴォイス】いんぼいす
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インヴォイス(invoice)は元々物流用語であり、請求書を意味する。商品の輸出入に於いて約定品(輸出入対象の商品)の伝票(明細書、計算書、請求書兼)の意として用いられるので、単なる請求書ではなく出荷売上伝票を兼ねた請求明細書、といったニュアンス。基本的には売主が買主宛に発行する。
配送手段や目的による呼称もあって紛らわしいが、Shipping、Commercial、Customs、Proformaなどを冠して使用されることが多い。このうちCustoms Invoiceという通関用のインヴォイスが植物の種を特定する上で非常な障害となってしまっている。

通関対策で「何をどのぐらいどの仕向けで」が書いてあればOKであり、暫定的な記載でも通ってしまうそうで、新種の水草が日本に入ってくる時点で名称がアバウトな原因となっている。
困ってしまうのはインヴォイスに国際植物命名規約で決められた学名もどきが使われていることで、もちろん通関用であるため学名付与ではなく厳密に運用されるはずもない。形が似ていても意味も運用も規定もまるで違っているわけである。
よく用いる例で恐縮であるが、イエローアマニア(インボイス)はアマニア属ではなくネサエア属、ラージナヤスはナヤス(イバラモ属)ではなく正体不明、トニナsp.はsp.ではなく記載されているトニナ属の植物、など非常に誤謬が多いネーミングが含まれている。

アクアリウムは趣味の世界であって「綺麗に育てばいいじゃん」で問題もないし種を特定することに情熱を持つ方は少数派であるが、帰化の可能性を論議する上での種の特定の重要性、そして何より育成技術を確立する上での種の特定の重要性は言うまでも無く、育成難種と言われた幾多の植物が種を特定し類似種、同属植物の育成技術を応用することで技術が確立されたことに留意が必要である。要するに何でもsp.付けて売れば終わり、はやめてくれってこと。

それと・・・言いにくいが詐欺の温床になる可能性が高いと思う。5cmの切れ端が100円〜300円で取引されているindian Crassulaが実はMicrocarpaea minima (Koenig) Merrillであったら私なんざ田んぼを一回りするだけで大金持ちである。

【ウェットランド】うぇっとらんど
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直訳すれば「湿った土地」であるが、湖沼河川はもちろん、本来的な意味での「湿地」や湛水期の水田、増水や洪水などで一時的に出現した水湿地までを含む幅広い概念である。ウェットランドはすべての生物多様性の原点として認識、重要視されており、国際条約であるラムサール条約でもその意義が謳われ、登録保護されているグローバルな概念でもある。
我が家の睡蓮鉢群がウェットランドかどうか悩ましいが、イトトンボやヤンマが産卵してヤゴが孵化したりメジロが水を飲んだり生態系の一部として機能している部分もあるので、人工物かどうかを問わず〜の精神から言うと立派なウェットランドなのかも知れない。

しかし・・いい歳こいてメダカや水草を飽きずに眺める図はウェットランドよりネバーランドかも知れないネ。

【浮葉(植物)】うきば(しょくぶつ) 【浮上葉】ふじょうよう
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根を土中に張り水面に葉(浮葉)を浮かせる植物の総称。(浮葉植物)ヒツジグサ、ジュンサイ、トチカガミなどが代表種であるが、水中葉も持つヒルムシロ、ミズハコベ等も含める場合がある。
子供の頃、オオオニバスの浮葉に人が乗るのをTVで見て、近くの池で普通のハスの浮葉に乗ろうとして沈した者がいた模様である。この時、底にあったガラス片で足を切り傷跡はいまだに残っている。こういう状態を富山では「だら」、名古屋では「たわけ」、茨城では「ごじゃっぺ」と呼ぶ。

【羽状複葉】うじょうふくよう
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葉の分裂が一枚の葉のように見える葉(小葉)が(何書いているか自分でも分からん)鳥の羽のように並ぶ葉のこと。具体的に言うと葉軸先端に小葉がある奇数羽状複葉(ゲンゲなど)、葉軸先端に小葉が無い偶数羽状複葉(オジギソウなど)、葉軸自体が羽状に分裂しこれに小葉が羽状に付く2回羽状複葉(ネムノキなど)のタイプがある。
本項は「絵で書けばすぐ分かるが、文章にすると相当分かりにくい」という例として提示した。(大嘘)
簡単に「実はオジギソウの葉って本当は1枚だけど、分裂して羽のように見えるので羽状複葉って言うんだよ」と書けばいいかな?(汗)
羽状複葉にはそのオジギソウのように葉軸先端に小葉を持たない(全体で小葉が偶数)偶数羽状複葉と先端に小葉を1枚持ち全体で奇数となる奇数羽状複葉がある。
さらに細かい事を言えば葉軸が羽状に分かれ小葉が羽状に付く様を称し(2小葉が向かい合わせ(対生のように2枚)に複数付く)偶数2回羽状複葉、同様に奇数羽状複葉を奇数3回羽状複葉と称する場合もある。

【羽状脈】うじょうみゃく 【掌状脈】しょうじょうみゃく
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葉脈が中央にある主脈から支脈が左右に広がる様を鳥の羽に見立てた用語。
私事ながら体調不良により低血圧が続いているが、図らずも医者が脈をとった際に「鳥の羽の脈をとっているようだ」とのたまわった。(筆者注:圧が弱くて脈をさぐりにくい、の意)立派な羽状脈である。不整脈はなかった模様。
それは置いといて(汗)、対する語は掌状脈で読んで字の如く葉脈が葉柄先端から放射状に伸びている様を示す。

【羽状裂】うじょうれつ 【羽状浅裂】うじょうせんれつ 【羽状中裂】うじょうちゅうれつ 【羽状深裂】うじょうしんれつ
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上記羽状脈を持った葉の裂け方を指す。アザミが代表的であるが、同じ羽状裂でも切れ込みの深浅により、キクアザミなど浅いものを羽状浅裂と呼び、ノアザミなど中間のものを羽状中裂、タンポポなど深いものを羽状深裂と呼ぶ。
ちなみにアザミは羽状とは言え固めの刺々しい葉なのでうっかり触ると怪我をする。言わば鋸状掌裂である。湿地にも進出しており探査の際には蝮、ヤマカガシ、スズメバチと並んで注意が必要。(意外と傷が深いヨ)
蓼喰う虫も〜と言うが、タンポポを喰う虫もいるようで複雑な羽状深裂をさらに複雑な形に喰い荒らされた姿をよく見かける。我々専門家はこの状態を北斗百裂と呼んでいる(全くのウソ)。

【ウリ状果】うりじょうか 【液果】えきか
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液果は乾果に対する果実の形状を示す用語で、ウリ状果は外果皮は堅く内部に水分の多い液質組織がある形状のものである。まさにウリが該当する。
液果には他にナシ状果、ミカン状果、核果があるが果皮の構造や分化によって区分されている。だからどうした、という範疇の代表的な知識であり、一般的な果実の区分としては「美味い、まずい」で十分実用に耐えると思われる。
2006年に小笠原父島在住のなつき女史に頂戴したマンゴーは素晴らしく、微妙な味わいとむっちり感がまさに王様フルーツであった。マンゴーはウルシの仲間で「人によってかぶれる」そうだが、悪い方の「人による」は必ず該当してしまう嫁さんがかぶれてしまった。種を植えて実らせたかったが日本では亜熱帯島嶼部や宮崎県などでしか結実しないらしく残念至極。

【頴】えい 【頴果】えいか 戻る

カヤツリグサ科やイネ科に見られる、花を包む苞葉または鱗片葉のこと。稲の籾(もみ)は小穂であるが、果実である玄米を中心に内頴(ないえい)と外頴(がいえい)が並ぶ。 外頴の先端に延びる突起状の物体が芒(のぎ)である。日本人には重要なお米であるが、品種により微妙に異なる米粒の形は内頴と外頴の形で決る、という説がありタイ米などは事実コシヒカリやササニシキと頴の形状が異なる。 タイ米と言えば、実際にタイで食したタイ米は永谷園のお茶漬けや納豆で食うのには向かないが、チャーハン、タイ風の汁飯(何とか言ったが忘れた^^ゞ)は絶妙で多くの日本人が苦手なナンプラーで味付けしてあった日にゃ、それはそれは美味しゅうございました。
頴果は穀果とも言い、心皮が複数で一つの種子を含む。果皮と種子が癒合し頴で覆われる。まさにイネ科の種子のことである。

【栄養葉】えいようよう 【胞子葉】ほうしよう 戻る

生殖器官を分化しない葉を総称し、生殖の機能を有する胞子葉が対となる概念である。と言っては普通の植物用語解説なので、ワラビやミクロソラムで葉に見られるブツブツ(胞子)が出来るのが胞子葉で、胞子を生ぜず光合成によってひたすら栄養を生産するのが栄養葉である。しかしシダ類でも栄養葉と胞子葉が明確に区分されないものがあるので注意。
水槽でミクロソラムを育成していると胞子が出来るのを植物の病気と勘違いする方がいるが正常な生命活動なので心配はない。顔や手足にブツブツが出来た場合は少なくても胞子ではないので病院に行ったほうが良いと思われる。と言うか顔に胞子が出来たら病院でもお手上げだと思うが(汗)。

【腋花】えきか 戻る

葉の付根(葉腋、'ようえき')に付く花のこと。水生植物ではハッカが代表的。下手すれば自分の葉の影になってしまう位置にあえて花を付ける意味は不明。それなりの事情があるのだろう。同じハッカの仲間でもヒメハッカやマルバハッカは腋花ではないので属の形質ではなく、種によるものである。
ハッカは国産自生種であるが花色と言い形と言いカンパニュラのようなイメージがあって洋風である。この状態を我々専門家は「欧米花」と呼ぶ。(大嘘)

【ssp.】えすえすぴー 【sp.】えすぴー 【spp.】えすぴーぴー
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【ssp.】亜種を示す。属名+種小名の後に付与される。イタリックでは書かない。(subspeciesの略)
【sp.】 学名が付けられていない生物を示す。分類されると予想される属名のみに付与される。(speciesの略)
【spp.】sp.の複数形、つまり「種」として複数が含まれている(かも知れない)場合に付与される。

これらは植物の場合、国際植物命名規約の下に定められ付与されているもので日本の水生植物の場合これらが付与されている学名のものはほぼ無い。流通名称に「sp.」が付けられている場合は「学名が付けられていない」という意味ではなく、多くの場合「あんたが知らんだけやろ」という意味である。
ちなみにアクアリウム用で流通するインヴォイス名に「sp.」とあった場合多くは「special、特別でっせお買い得でっせ」という意味である。時として「スーパー」とか「プレミアム」とか名乗る植物も出回るが、その手のものと同じである。

【越夏芽】えっかが 【越冬芽】えっとうが 【殖芽】しょくが
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この三語については非常に混同されて使用されているが、正確な定義となる表現は見たことがない。従ってあくまで感覚的な解説であることをご了承いただきたい。
殖芽」は植物体の一部に栄養分を蓄え、翌生長期に成長基点として活用するためのもので栄養繁殖(増殖)の一形態である。この季節が夏であれば「越夏芽」であるが、これに該当する殖芽を形成する植物はエビモぐらいしか知らないし、あまり一般的な用語ではない。
対して「越冬芽」は多年草の多くの植物が形成し、土中、茎、根本などに見られるやや一般的な用語である。ただし、越冬芽は冬芽(とうが)とも呼ばれることがあるが、この場合は冬季に休眠状態に入った芽を指し、殖芽とはややニュアンスが異なる。
水生植物的にはヒルムシロ、エビモなどが有名で分かりやすいと思う。ちなみにヒシが形成するものは擬越冬芽(ぎえっとうが)と呼ばれ越冬芽に見えて実はそうではない、というハナアブ的まやかしである。

以前ヒルムシロを水槽で育成していたが、いつの間にか消えてしまった。しばらくして底床を掃除していたら鳥の足というか悪魔の手のような殖芽が出て来て驚いたことがある。とても植物には見えず、動き出したらどうしようと思ったことがある。

【濁度関連用語】
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水の濁り度(濁度)を表現する単位のうちの一部である。

【濁度の指標】
ポリスチレン濁度標準
平成15年に厚生労働省が水道法水質基準に関する省令改正(101号)で濁度標準に採用した5種混合ポリスチレン系粒子懸濁液を用いた標準。測定単位は「度」。
カオリン濁度標準
カオリンを精製した物質を調整した濁度標準液。測定単位はカオリン濁度(mg/L(度))
名称は懸濁測定用標準液中の物質の主成分がシリカ、アルミナによって形成される粘土で、産地が中国江西省の高嶺(カオリン)であることによる。表記すればクァオリンか。
ホルマジン濁度標準
ホルマジンは化学物質であるポリマー粒子が均一で安定した濁度標準液とされている。このポリマジンポリマーを使用した際の濁度で、単位はホルマジン濁度、NTUまたはFTU(度)である。
*NTU:Nephelometric Turbidity Units *FTU:Formazin Turbidity Units

濁度単位の「度」であるが、以前はppm、parts per millionで表現されていたが、最近の傾向ではほぼmg/Lとなっている。これは分析方法の実態を忠実に示しているから、という理由らしい。
さらに浮遊物質Suspended SolidをベースとしたSSという単位もあるが濁度が上記物質による光学的な観点で示されているのに対し、あまり相関関係が無いような記述も見られるのでとりあえずスルーの方向で。

てなわけで書いている本人もいまいち分かっていないし、植物の水中育成時には「導電率」という指標もあるので、カオリンとか可愛らしい女の子のような名前が出てきたら「水の濁り度のことだな」という程度の知識で充分ではないだろうか。ナニ?なら書くなと?・・その通りです。

【越年生】えつねんせい 【二年生】にねんせい
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発芽から開花・結実し枯死するまで暦年をまたぐ植物。田んぼではタネツケバナなどが代表例。
ベタなところだが・・・落第生のことではない。高校の頃同じクラスに留年こいた人が落ちてきて、タメ口か敬語か悩んで変な口調で会話していた記憶がある。「お前一緒に弁当食いますか?」「サッカーのメンバー足りないんですけど、やる?」
大学に入ると二浪とか三浪とかツワモノも居て困ったが、会社に入ると二浪の上に二年留年なんてのもいて(実話)同期だが年は4つ上、先輩社員のインストラクターも年下なんてことも。・・・ナニ?関係ない?そうだネ。

【APG植物分類体系】えーぴーじーしょくぶつぶんるいたいけい 【クロンキスト体系】くろんきすとたいけい 【新エングラー体系】しんえんぐらーたいけい 【ストロピロイド説】すとろぴろいどせつ
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系統だてた植物の分類体系のうち最も古いものはリンネの形態分類であるが、その後花の構造の進化に着目した新エングラー体系が長らくスタンダードとして用いられてきた。現在でも植物図鑑の大部分はこの分類に拠っている。
1980年代になり、Arthur Cronquist(1919-1991、米国)が提唱したクロンキスト体系は新エングラー体系が単純な花の構造を出発点として進化の観点から分類したのに対し、両性花を出発点として被子植物が進化、分化してきたとするストロビロイド説という説を中核にしている。この説は次のAPG植物分類体系が1990年代に登場したことにより短命に終わった「旧説」だと見られがちであるが、いまだに標準としている文献も多い。
そのAPG植物分類体系はAngiosperm Phylogeny Group、被子植物系統発生グループという研究者グループが提唱したもので、その頭文字を取っている。従前の分類体系が「進化」といういまだに確証がない理論を前提とした仮説的な分類であったのに対し、遺伝子を解析するという手法をとっている。その結果、馴染み深い植物がまったく異なる科属に転じたりしている。ちなみに現在は改訂版としてAPG II 2003という体系が標準となっている。

【エピジェネティクス】えぴじぇねてぃくす
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物の本には、塩基配列の変化を伴わない遺伝子発現の活性化または不活性化を行なう後生的修飾とある。非常に難解な概念であるが同時に従来の進化論諸説の瑕疵を明らかにし不備を埋める考え方として脚光を浴びている。
つまり遺伝子情報そのものである塩基配列は変わらないのに、後天的に遺伝子として持っている形質が出現したりしなかったりすることがあって、これを司っているのがエピジェネティクスというわけである。言い方を替えれば進化の過程で獲得した「形質」は遺伝子情報としては持っており、環境因子その他の要因により「発現」するわけである。
突然変異という概念はエピジェネティクスから考えた場合「突然」ではない場合も多々あり、不思議なホシクサの栄養増殖も過去そのような増殖をしていた時期があり遺伝子として持っていたものが水槽水中など異常な環境によって発現したと考えればすっきり理解できると思う。

同じ人間という種の遺伝子を考えた場合、マサイ族の視力やアスリートの身体能力は遺伝情報として元々人間等しく持っているものと考えられる。普通の人間は怠惰な生活や事務仕事、インターネットやゲームや化学物質やら環境因子が多すぎて何が原因でダメ人間になっているのか分からないのが悲しい。

【F1】えふわん 【F2】えふつー
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草花の種を購入すると袋に「F1」と書かれていることがあるが、シューマッハが栽培して採種したわけではない。これは形質が安定した品種や系統間で交配した雑種の第一世代を指す。
植物に限らず動物でも「雑種強勢」という概念があり、交雑種には遺伝的に両親の強い形質、良い形質が現れるために園芸草花では人為的に作られることが多い。(綺麗な花壇が望ましいですからネ)F1雑種同士でも交配して結実する場合があり、これを「F2」と呼ぶ。
しかしながらF2雑種は今度は逆に劣勢遺伝が強く発現するためにショボイ姿となってしまうのが普通。これで「去年綺麗に咲いたパンジーから採った種からしょぼくれたスミレが出た」謎が解けましたな。

さて、やっかいなのは園芸界の一部では系統間で「選抜」した個体を掛け合わせたものも「F1」と呼ぶことで、この場合は同種同士、すなわち交雑ではないので「F2」も形質を継承する。定義に照らし合わせば間違いではないのだが紛らわしい。水生植物ではこうした選抜による美種と繁殖しない美種が両者「F1」なので注意が必要。特にクリプトが・・・以下自粛の方向で(汗)。

【エライオソーム】えらいおそーむ 【アリ散布植物】ありさんぷしょくぶつ
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エライオソーム(elaiosome)は脂肪酸、アミノ酸、糖で構成される物質で、蟻を誘因する。種子の胎座付近に形成される。
この物質によって誘因された蟻は種子を巣に運び、エライオソームのみを食べる。その後蟻の巣の中や外に捨てられたものが発芽するという、一種の共生関係が成立している。 エライオソームを使って蟻の力により種子の散布を行なうわけで、特にこのような植物をアリ散布植物と呼ぶ。
代表的なのはスミレ属やカタクリ属などであるが、約200種程度あるとされており意外に多い。

会社でオフィスのレイアウト変更などがあると引越し予定先が作業中だったり荷物用エレベータが混んでいたりするが、時間の精密なシェアリングで見事にコントロールされている。この状態を「偉いよ総務」と・・・(汗)

【園芸品種】えんげいひんしゅ 【栽培品種】さいばいひんしゅ
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人為的に改良を行なった「種」であって栽培品種とも呼ばれる。国際栽培植物命名規約というものがあり、園芸品種ないし栽培品種にも学名が付与されるようになっているが、最新の規約では属名、種小名の後に' 'で品種名を追加するように決められている。
従って水草ショップで見られる表記、Echinodorus "Rubin"というような表記、明らかな改良品種に付けられたEchinodorus sp.、品種名の無いEchinodorus Orientalはいずれも誤りである。エキノドルスに限らずクリプトコリネやロタラなどファミリーが多いグループでも同じような誤りが見受けられる。
半端に学名使って間違えるぐらいなら最初から愛称でも付ければ良いと思うが、横文字で書くと箔が付いて高く売れるとでも思ってるのかしらん。

最近のパンジーはネーミングがぶっ飛んでいて「まいちゃん」「虹色パンジー」などファンタジーでアヴァンギャルドでエクセレントで、何が何だか分からない我々おじさんsp.にはミステリアスでアンビリーバボーでワンダラスであるが、「尤もらしい」水草よりははるかにマシだなと思った。

【円錐花序】えんすいかじょ
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花序の枝がさらに枝分かれし、花序全体が円錐状になるもので、エノコログサが代表的。
某国家試験ネタであるが、こういうのが出題されるので始末が悪く、ひっかけ選択肢としてヌマトラノオがある。形は円錐状なので素直に選んだ受験者がいたのは秘密だ。ヌマトラノオは実は総状花序なので出題者の意図通り見事に引っ掛かったわけである。快哉を叫ぶ声が聞こえてきそうであるが、相手に花を持たせる心、騙すより騙される人間でありたいと思う心を大事にしたい・・・かなり違うな(汗)。

【ORP】おーあーるぴー 【マイナスイオン】まいなすいおん 【クラスター】くらすたー
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ORPは水の酸化(力)と還元(力)を示す指標で、Oxidation-reduction Potentialの頭文字を取ったもの。要するにpHと似たようなものであるが、pHが水素イオンによって傾向を示しているのに対し、ORPは酸化還元に影響する全てのイオンの電位によって示している。単位はmV(ミリボルト)である。
ORPとの関連で説明される事が多いマイナスイオンであるが、酸化はすなわち老化で還元は老化防止、活性酸素の抑制ということなのでおおよその理屈は分かるがメカニズムはまったく分からない。ORP値が還元傾向の水を作ってミストにしてそれを人間が吸い込めば云々・・感想は「はぁそうすか」しかない。ミストだけに煙に撒かれないようによく理解するように努めたい。

もう一丁、水関連の理論でクラスターというものがあり、水の分子、H2Oが結びついている単位とされている。クラスターが小さい水は浸透力に優れ、ご飯を炊いても煮物をしても食材によく吸収され、食べれば血はサラサラ、新陳代謝が目覚しく・・・これも正直よく分からない(汗)。
アクアリウム関連製品で水のクラスターを自在に操り、植物や魚によい影響があるものがあるそうだが、使った事はない。使えばクラスター砲で撃たれたような衝撃の効果があることだろう。蛇足ながら「クラスター砲」とは車軸藻の森嶋先生も愛読する手塚治虫画伯原作のPLUTOに出てくる、あまりの破壊力によって使用が禁止されている兵器である。

どちらにしても植物の水中育成に於いて水についての結論は「水道水そのままで育ちますが何か?」だと思う。

【オーキシン】おーきしん
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数ある植物ホルモン中、最も古くから知られていたものでインドール酢酸やナフタレン酢酸などの総称である。ギリシャ語で成長を意味するauxoに由来する語であり、その名の通り細胞の伸長、発根促進、細胞分裂の促進に関与する。
働きの一つに頂芽で生成されるオーキシンが腋芽の形成を抑制するというものがある一方、カルス形成を引き起こす働きも知られており、カルスから発芽するのが不定芽であるという複雑さもある。
カルスとは植物組織として「一定の秩序」ある形質を示さず不定形の塊となって増殖することで、用語としてはこの不定形の細胞の塊の事を指す。人為的に培養したものもカルスと呼ぶ。上記の通りカルスから発芽するのが不定芽であり、ホシクサの花付近から発芽する芽を不定芽と呼ぶかどうかカルスらしき組織は視認したことが無いので個人的には疑問である。

オーキシンが成長すると大オーキシンとなり様々な弊害を撒き散らし問題となる。この状態を我々専門家はダイオキシンと呼んでいる・・・全くのウソです(汗)

【大滝末男】おおたきすえお
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在野の水草研究家にしてかの名著「日本水生植物図鑑」(絶版中)や「水草の観察と研究」の著者。2005年1月9日に逝去された。享年84歳。
本業は教職で都立両国高校や淑徳女子短大等で教鞭をとられていた。アマチュアとしてあれだけの業績を残したのであるから立派なもので、尊敬すべき人物である。大滝先生からは野にあるが故の発想の自由と趣味性が強いが故に読んでいてワクワクする文章を著作を通じて教えて頂いた。
天皇陛下は植物の研究家としても有名だが、皇太子時代に水草について1年間ご進講を行なったのは大滝先生である。在野の研究者にして昭和天皇に粘菌のご進講を行なった南方熊楠を想起させられるエピソードで、ますます尊敬の念を禁じえない。
日頃ゴルフ、酒、麻雀、パチンコ、競馬、仕事などを趣味にする同僚達(残念ながら私は仕事以外嗜まないが)を見慣れているので、趣味が昇華している方を見ると心が洗われる。森嶋秀治先生も教職にありながら車軸藻について数々の事蹟を顕しておられるが、先頃日本植物学会のシンポジウムで講演をされた。頭がくらくらする程素晴らしいことで、心から拍手を贈りたいと思う。

【雄蕊】おしべ 【雌蕊】めしべ 【雄花】おばな 【雌花】めばな
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オシベである。知らない人はあまり居ないとと思うが、以下は意外と知らない人が多い。
雄蕊雌蕊があるのはご存知かと思うが、両者兼ね備えるのは両性花で一つの花で生殖ができるタイプである。種によっては単性花というものがあり、雄蕊のみ発達させた雄花と雌蕊のみ発達させた雌花を持つ。さらに雄花だけを付ける株、雌花だけを付ける株に分化したものが雌雄異株で花は分化させているが同じ株に両方付けるのが雌雄同株である。ややこしい。

小さなげっ歯類のリスも繁殖期になると玉袋が黒々と目立つようになるが、彼らは純粋に種の存続のために一定時期のみ繁殖OKなわけで、異性に幻想を持たない点、チョコレートだキャンディーだ「マンドクセ」トッピングが無い点は人間より立派なもので見習いたい(爆)。

【帯状分布】おびじょうぶんぷ【ゾーネーション】ぞーねーしょん
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ある種または複数の植物が帯状に分布する様を帯状分布、ゾーネーションと呼ぶ。と言ってもイメージがわきにくいので湖沼に続く湿地の地形と植生を考えてみることで解説する。

・湿地 地面が常時湿っている、地下水位が高い地形にはヌマトラノオ、タコノアシ、サクラタデなどの湿性植物
・ごく浅い沿岸域 抽水を好むアシ、浮葉植物のアサザ、ガガブタ、コウホネなどが生育
・やや水深のある沿岸域 沈水植物のエビモ、リュウノヒゲモ、ササバモ、深い水域の抽水植物のマコモなどが生育
・深い水域 ぎりぎりの光で光合成を行う車軸藻類(車軸藻帯)

実際にはこのように綺麗に分かれることは少ないが、これらの「生息域」が岸から見れば横に広がる帯状のゾーンになることから呼ばれる用語である。文献の用語の解説では必ずと言ってよいほど水辺の断面図に植物のイラストが書かれているが、概ねそんなものだとお考え頂きたい。
水が満ちて来ればヌマトラノオ、タコノアシは抽水で生きて行けるし、アサザやササバモは「陸生型」としても生きて行ける。何事にも例外がつきものだが、こと水辺植物に関しては護岸やら浚渫やら余計なお世話が多過ぎて安定して生きて行ける環境が少なく、残存している植物達も本来の自生環境ではない環境にしがみついている場合が多い。


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