【C3植物】
光合成には植物によって「型」が存在する。特に(一応水辺の植物サイトなので^^ゞ)水草の場合を言えば、多くは光合成タイプがC3である。C3の光合成タイプの植物を「C3植物」と呼ぶこともある。そもそもC3とは炭素固定反応の生産物が炭素原子3個を含む化合物であることに由来し、二酸化炭素還元回路はカルビン-ベンソン回路のみで、炭素固定に関与する酵素であるRubisCO(リブロース1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ、Ribulose 1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenaseの略称)を使って光合成を行う植物である。
例外的に1981年にアメリカ地質調査所生物資源部門のジョン・キーレイという人がミズニラの一種がCAM植物(Crassulacean Acid Metabolism:ベンケイソウ型有機酸代謝)(*後述)であることを発見し、発表しているが、例外的なケースである。
【C4植物】
C4植物はC3植物から進化したものであると考えられており、カルビン - ベンソン回路以外にC4回路というCO2濃縮のための回路を持つ光合成形態である。C4はC3の由来同様、初期生産物が炭素原子4個を含むことに由来する。カルビン - ベンソン回路同様に発見者の名前からハッチ‐スラック回路と呼ばれることもある。(一般的ではないが)
C4植物は維管束鞘細胞にも葉緑素を持ち、効率的に光合成を行える上に炭素固定量がC3より多いので光合成速度が速く、成長も速い。まさに「進化」である。C3との相違は光呼吸にも関連するが後述。
【CAM植物】
CAMとは簡単に言えば夜間にCO2を取り込み濃縮し、昼間光合成を行う光合成タイプである。カルビン-ベンソン回路も機能するが、複雑なステップを踏むためエネルギー消費が大きい。上記の通りベンケイソウ型有機酸代謝、Crassulacean Acid Metabolismの略称である。
なぜこのような手間がかかりエネルギーを余計に消費するような光合成タイプが存在するのかと言うと、砂漠など過酷な環境では昼間気孔を開いてCO2を取り込むと水分蒸散によって枯死してしまうリスクがあるためで、事実CAM型植物には多肉植物など乾燥した過酷な環境で自生する植物が多い。
このような意味を持つCAM型は水草には無縁であると思われるが上記の通りCAM型光合成を行うミズニラが発見されている。しかしこれは植物生理学的に解釈しようとしても無意味で、進化論的、生態学的に解釈すべき問題である。
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