植物用語辞典 利助流家元版

ナ行


【二価鉄】にかてつ 【マーチンの鉄仮説】まーちんのてつかせつ
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遷移金属である鉄の表現の一つ。化学式はFe2+。疲れるので以上・・・という訳には行きませんな(汗)。
詳しくは本サイトの記事「特定成分信仰加持祈祷論Part1」をご覧頂くとして、二価鉄は並居る重要な物質をさて置き、微量要素の分際でアクアリウムに於いて篤い信仰を集めるご本尊である。
実態は植物体にとってマイナスの影響しか見えて来ないがなぜか「水草のバイアグラ」といった勢いで語られる。このあたりは本来ヒンドゥーの怒れる破壊神シヴァが大黒様として農家の爺さん並みに親しまれている我が国らしいと言えば、らしい。
私は最近何も反論しないが、それには理由があって「水槽に二価鉄を入れる」「カリを入れる」のは信仰であるからで、信教の自由は憲法で保証されているからである。私如きが文句を垂れる筋合いはない。ご自由にドゾ。

ご自由にぶち込む結果何が起きるか、かなり大規模な実験によって仮説を証明した人がいる。アメリカのマーチンという人で、仮説は窒素やリンが豊富な海域でも藻類や植物プランクトンが発生しない海洋は沿岸部と何が違うのかに着目したもので鉄が制限要因になっている、というものである。
そこで外洋に大量の鉄(硫化鉄)をぶち込んだところ藻類の大発生が見られたことで仮説が証明されたのである。この結果は藻類による炭素固定を促進し二酸化炭素を削減する有力な方法論として注目されている。
ところが鉄は重い元素なので一時は藻類が育っても徐々に沈降してしまい藻類も滅んでしまうことで新たな技術の研究が進められているそうである。

要するに・・・水槽に嬉嬉として二価鉄を投入すると、水草が赤くなる前に藻類で緑色になる方が期待値が高い、ってことだな。

【二次的自然】にじてきしぜん 【撹乱】かくらん
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人間の手付かずの自然環境は原生自然であるが、これに手が加わったものを二次的自然と呼ぶ。手が加わり過ぎた、経済目的の檜や杉の単相林は「人工的自然」である。
二次的自然は具体的には里地・里山などを指し、「撹乱」によって維持されている自然でもある。撹乱とは里山からの肥料、燃料調達のための落葉集め、下枝打ちや用水確保のための水路浚渫、水田の耕起など人間の必要によって行われる行為と落雷による火災、台風による立ち木の倒壊、出水による崖崩れや小規模な洪水など自然の力によるものを併せた概念である。
ただし人間が手を引くと遷移が急速となり撹乱が成立しない状況が現出する。人間が手を引く、とは休耕による水田放棄やインフラ整備による雑木林の放置などで現存する里山では共通の問題となっている。何が問題かと言うと適度な撹乱によって生存している生物が棲めなくなるのである。意外な事に水田や雑木林など人間によって維持、管理された環境に依存する生物は数多い。

里地・里山の二次的自然環境は昨今の地球温暖化、生物多様性、廃棄物処理などの諸問題に於いて注目されており、キーワードとしてよく聞く話に次の2つがある。

・循環型社会、持続可能なライフスタイルの形成
・バイオマスとしての二次的自然の重要性

たしかに雑木林の下草刈や枝打ちによる燃料調達、落葉による堆肥作りなどは化石燃料の燃焼、化学肥料の使用に比べて製造段階から考えれば格段に環境に負荷をかけない。廃棄物も再利用可能であって「循環型社会」「持続可能な社会」が実現できる。しかし、その「時代遅れ」のライフスタイルを里地・里山環境に居住する方に強いるのか、という根本的な問題がある。
バイオマスも生物多様性とリンクした重要性は分かるが、これを標榜するためには上記同様の維持・管理が不可欠となるのである。物事を推進するには「誰がどこで何時、何をどのように」5W1Hが不可欠であるが、この考え方には決定的に「誰が」が抜けている。
考え方を批判するつもりは毛頭ないが、現状では里山維持はNPO等に委ねるしかない。これは自分自身参加しているのでよく分かる。しかしながら我が国で最も広大な二次的自然、里山をNPOだけでは維持できない。早晩カブトムシやクワガタムシも絶滅危惧種となるはずである。影響がいち早く現れる水辺で多くの水草や水棲生物がそうなったように。

【ニッチ】にっち
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ニッチ(niche)は「生態的地位」と訳される。科や属に囚われない、似たような生活史と生態的な地位を持つグルーピングである。
例えば「水田雑草」というカテゴリーがあるが、同じ水生植物でも水田に特化した植物群があり、それらは水田のサイクルに合わせた生活史と生態的地位を持つのである。
また葉緑素を持とうが(植物性)持つまいが(動物性)水中を浮遊するプランクトンは「プランクトン」であり、二枚貝やヒルは同列の表現では「ベントス」である。科属はもちろん目以上の共通性も必要がない概念である。

身近な人間達には、生い立ち、最終学歴、所属企業、業種、企業内地位、年収に関係なく朝夕の電車ではダッシュで席を確保、網棚の新聞雑誌は必ずチェック、手には缶チューハイ、という同様の生態的地位を持つ常磐親父族というニッチを目撃している。

【ニトロソモナス】にとろそもなす 【ニトロバクター】にとろばくたー
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「濾過バクテリア」を卒業し真実の扉に近づいたチャレンジャーが決って口にする呪文。この呪文によってHPの少ない初心者はクリティカルヒットを受ける。
「濾過バクテリア」という名前の生物がいないように「ニトロソモナス」「ニトロバクター」という名前の生物はいない。もちろん「類」や「群」を付けても同じであり、実態は「属」である。
詳細はアップしたての(2007年4月7日)水草水槽濾過信仰論に詳述してあるので興味があればそちらを参照して頂きたい。「ニトロソモナス」はアンモニア酸化菌のNitrosomonas属、「ニトロバクター」は亜硝酸酸化細菌のNitrobacter属に他ならない。
不思議なのはアンモニア酸化菌の多くの属のうちNitrosomonas属を、同様に亜硝酸酸化細菌のNitrobacter属をなぜピンポイントで「水槽に(フィルターに)いる」と断言できているかということである。しかも見たこともない他人の水槽にいるとかいないとか仰せになられていやがるので、こんな事を言っているのは神ではないかと思う。座右の銘は「触らぬ神に祟りなし」なので触らないようにしませう。くわばらくわばら。

【ニューストン】にゅーすとん 【ネクトン】ねくとん 【プランクトン】ぷらんくとん 【ベントス】べんとす
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水生生物の生活型によるカテゴリーで、生活の場がどこであるかに注目した区分が成されている。有名なプランクトンはこの区分けの一つである。

分類 小分類 生活型 含まれる生物
ニューストン エピニューストン 水面上 アメンボ
プリューストン カツオノエボシ(一部水面)
ハイポニューストン 一部の藻類(水面直下)
ネクトン   水中(遊泳) 魚類一般、甲殻類の一部
プランクトン   水中(浮遊) 動物性、植物性、クラゲ
ベントス エピベントス 水底 貝類、ヒル(水底表層)
ヘミエンドベントス 水草、エラミミズ(半基質中)
エンドベントス 微生物(底泥中)

【二輪生】にりんせい
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二輪生=対生。正確には「輪生」は1節に3枚以上の葉が付く、とされているので便宜的かつ限定的な使用方法の用語であろう。
対生その他葉の付き方については当用語辞典内を参照。口の中の歯の付き方はお近くの歯科医で確認。

【ネオトニー】ねおとにー
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ネオトニーまたはネオテニー、英語表記はneoteny、幼形成熟と訳される。動物が性的に成熟した状態(繁殖能力を持つ状態)なのに生殖器官以外に未成熟な性質が残る現象を表現する。
有名な例ではウーパールーパーというとぼけた顔の生き物がまさにそれで、メキシコサラマンダーという両生類のネオトニーである。axolotl(アホロートル)は本来メキシコサラマンダーが属するアンビストマ科のネオテニーの総称で、他にメキシコサンショウウオなども含まれる。アホなロートルのことではない(汗)。
直接植物には関係ない概念であるが、非人為的な矮性種が繁殖能力を持っている点で、ネオトニーと進化論の議論が植物にも適用できるのではないか、と個人的に考えている。

人類はネオトニーの賜物という説もあるが、野生のまま今日に至っていれば体力的にはゴリラと互角に争い、狼を一撃で殴り殺す筋力を身に付けていたかも知れず、頭脳の発達によって成熟不要となった諸々の可能性が思われる。エピジェネティクスから考えれば「成熟不要」は場合によって発現、つまり成熟することもあって、マサイ族の視力7.0なんてのは人類としての能力の成熟形ですな。羨ましいというか凄いというか。

頭脳を発達させ現代人の身体になったのは進化の賜物かも知れないが、頭脳もネオトニーの野郎がいて笑ってしまう場合も多々あり。ネットの株取引やオークションの駆け引きなどに長けているが一般常識が無い引き篭もり・・(以下略)

【稔性】ねんせい 【不稔性】ふねんせい 【雌性不稔性】しせいふねんせい 【雄性不稔性】ゆうせいふねんせい 【中間不稔性】ちゅうかんふねんせい 【自家不稔性】じかふねんせい
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稔性は簡単に言えば受粉して種子が形成されることである。不稔性は種子が形成されないこと。
原因を示した用語が雄性不稔性、雌性不稔性、中間不稔性で、雄性は雄器官である雄蕊や花粉に異常があって受粉できないこと、雌性は雌器官である雌蕊が無いか異常がある、中間は雄と雌の両方の機能がなく、花は装飾花なので増殖が無性生殖によるものしかない。
自家不稔性は機能は正常ながら雌雄異花、雌雄異株なので自己完結で種子が形成できない状態である。

なんだかこういう用語を解説していると「簡単なことを色々な言い方で難しく表現しているなぁ」と思うが私が決めたわけではないので仕方がないな。個人的には種が出来る、雄と雌を植えなければ種ができない、って感じで十分だと思うが。
もっと難解なのは「不燃性」で分別は一通りしているが、「燃やせるビニール」や「自然分解プラスティック」なんてのはどっちだ?という局面がよくある。環境に優しい性格なのではなく、町内会で持ち回りでゴミ置場の管理をしているので不燃性が燃えるゴミに紛れ込むと再分別をしなければならないのだ。分別ある大人なのでスルーすると大変なことが良く分かっているのである。後ほど市役所から町内会にクレームが入ると「あそこの家は・・」と言われてしまうのである。植物用語よりも切実なのである。

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