一般的に「ラムサール条約」として知られる条約は正式には「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」と呼び、各国が生態系を維持するのに重要な湿地を登録し、維持保全を図ろうというものである。ラムサールはこの条約についてのに国際会議が最初に開催されたのがイランのラムサールという都市である事に由来する。
条約の精神は自然の湿地か人工の湿地かを問わず、湿原、川岸、海岸、干潟、水田に至るまで「湿地」と定義されており、「二次的自然」の捉え方と共通するものである。本条約に関する保護対象湿地は登録制となっているが、同時に「賢明な利用」も謳っており未登録の現存する湿地に対する慎重な取組みが求められる。
近年環境面でなんだかんだ条約や法整備が行なわれているが、戦乱によるメソポタミア湿原の荒廃やミシシッピ川流域湿地の喪失、アマゾンの大規模な森林伐採が全世界的な気候変動や大洪水などの災害との因果関係が明らかにされつつあることによる。他人事ではなく、食糧輸入国である我が国も輸入コストや確保に於いて困難が出始めている。まったく入って来ないという事態を想定すればどれほど重大な影響をもたらすことであるか認識できると思う。
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