植物用語辞典 利助流家元版

マ行


【ラムサール条約】らむさーるじょうやく
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一般的に「ラムサール条約」として知られる条約は正式には「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」と呼び、各国が生態系を維持するのに重要な湿地を登録し、維持保全を図ろうというものである。ラムサールはこの条約についてのに国際会議が最初に開催されたのがイランのラムサールという都市である事に由来する。
条約の精神は自然の湿地か人工の湿地かを問わず、湿原、川岸、海岸、干潟、水田に至るまで「湿地」と定義されており、「二次的自然」の捉え方と共通するものである。本条約に関する保護対象湿地は登録制となっているが、同時に「賢明な利用」も謳っており未登録の現存する湿地に対する慎重な取組みが求められる。
近年環境面でなんだかんだ条約や法整備が行なわれているが、戦乱によるメソポタミア湿原の荒廃やミシシッピ川流域湿地の喪失、アマゾンの大規模な森林伐採が全世界的な気候変動や大洪水などの災害との因果関係が明らかにされつつあることによる。他人事ではなく、食糧輸入国である我が国も輸入コストや確保に於いて困難が出始めている。まったく入って来ないという事態を想定すればどれほど重大な影響をもたらすことであるか認識できると思う。

【両性花】りょうせいか 【単性花】たんせいか
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両性花は雄蕊と雌蕊を両方持つ花。被子植物の一般的な形である。雌雄同花とも呼ぶ。ちなみに一つの株に雄蘂だけの花(雄花)と雌蕊だけの花(雌花)を咲かせるのは単性花または雌雄異花(しゆういか)と呼ぶ。株ごとに雄、雌に分かれるのは雌雄異株(しゆういかぶ)。臭い銀杏と臭くない銀杏があるのは雌雄異株だから。
魚には環境によって性転換するのが居るそうで驚きであるが、昨今は人間でもそういう種類がいるらしい。綺麗なお姉さんと飲んで朝までナニだったが、起きてみるとお姉さんの顔にうっすらと髭が・・・。という経験をした同僚がいるが、かなりのトラウマになっていて知らない女性とは一線を引く状態が数年続いている模様(オレじゃないよ)。これは我々専門家から言わせて頂くとトラウマではなくウマシカだと思われる。

【リンネの分類】りんねのぶんるい 【Linn.】【L.】
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リンネ(カール・フォン・リンネ Carolus Von Linnaeus、独、生物学者 1707〜1778)という人が提唱し現在まで主流となっている生物の分類方法。

【リンネの分類を原型とした生物分類】
分類和名 分類英名
Kingdom 動物界、植物界
Phylum/Division(*) 被子植物門、繊毛虫門
Class 双子葉植物綱、単子葉植物綱
Order モクレン目、クスノキ目、スイレン目
Family ヒルムシロ科、リンドウ科、リス科、イヌ科
Genus アサザ属、タヌキモ属、ヒト属、シマリス属
Species Najas marina Linn. Potamogeton Fryeri A.Bennett
(*)動物界はPhylum、植物界、菌界はDivision

以上を基本形とし、分類単位(綱とか属とか)より上位の分類には、大(Megn-)・上(super-)を付加、下位の分類には、亜(sub-)・下(infra-)・小(Parv-)などを付加する中間型分類が存在する。(「亜種」など)
ちなみにヒルムシロは学名がPotamogeton distinctus. Linn.であるが、国際植物命名規約によれば属名+種小名、以下は命名者、命名年などを付加することになっており、ヒルムシロ属の(Potamogeton)種小名は「著しいもの(distinctus)」、命名者がリンネ(Linn.)ってことになる。
何が著しいのかと言うと、綺麗な流線型の浮葉を多数出す代表的なヒルムシロ属の植物、という程度の意味だと思うが国際的に通用する種名なので「エビモの方がヒルムシロ科らしいぞ」とか「ササバモの方がヒルが付いている確率が高いぞ」とか個人的意見の入る余地はない。個人的意見を名前としたければ新種を発見して命名する権利(ネーミングライツ)は誰でもあるはずなので頑張るしかない。

ちなみに学名は属名、種小名、命名者の順に付与されるが、リンネが命名した学名のみLinn.またはL.と言う略称が使用できる。それだけ生物学に大きな影響のあった偉人だと言う事ですな。

【レジーム・シフト】れじーむ・しふと
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本来は数十年単位の気候変動を示す用語であるが、生態系との関わりに於いて様々な影響が見られる。漁業資源の観点はよくニュース等で取り上げられており周知だと思うが、沖合の海水温以外にも身近な場所で生態系への影響が見られる。
熱帯植物であるはずのホテイアオイが日本国内で越冬能力を身に付けた話は有名であるが、これほど目立つ植物でなくても熱帯植物が帰化(世代交代は確認していないので正確には違う)している姿を見かけることがあり驚かされる。最近のトピックはシマミソハギ(Ammannia baccifera L. 熱帯アジア原産)とアメリカキカシグサ(Rotala ramoisior (L.) Koehne. 亜熱帯〜熱帯アメリカ)を確認したことで、特に後者はアクアリウムプランツの「アルアナの夕焼け」そのものではないか、という説もあり逸出の可能性もある。

【濾過バクテリア】ろかばくてりあ
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多くのアクアリストが自分の水槽やフィルターに住んでいると信じている想像上の生物。なにしろ「濾過バクテリア」なんて名前のバクテリアはいませんから残念(古いか^^;)。この点では水槽に妖精が住んでいるというに等しい。
多少知恵が付いた連中は「ニトロソモナス」なんて言葉を使うがそれも間違い。ニトロソモナス=Nitrosomonasは多種類の「アンモニアを酸化することでエネルギーを得る」微生物の一つの「属名」である。他にもNitrosococcus属、Nitrosospira属、Nitrosolobus属など多種類の微生物がこの役割を持っている。
結果的にこれらの微生物の「糞」として亜硝酸イオン(NO2-)が出来るが、こいつを「食う」とされる「ニトロバクター」も同様に誤りである。亜硝酸イオンを酸化してエネルギーを得ている微生物であり、この役割を持つのはNitrobacter属のみならずNitrococcus属、Nitrospira属が知られており、総称するなら「亜硝酸酸化細菌」である。
根本的な疑問であるが、知られているだけで相当種類の微生物が存在するなかで、Nitrosomonas属とNitrobacter属が水槽内に居ると特定している根拠は何か?どこを探しても見当たらないのだが?

以下は推論であるが日頃不満に思っている事を整理してみたい。
アクアリウムはある意味「敷居の低い」趣味で、程度問題は別として「魚を飼う」のは誰でも出来る。そんな事は熱帯魚のWebサイトに集まる小中学生から高年齢層まで幅広い人種を見れば容易に想像が付く。情報提供者側も正確な情報を「思いっきりデフォルメ」して伝えなければ理解されないという事情によるものではないか。
しかし「思いっきりデフォルメ」しているのか本当に知らないのか区別が付かない点がこの世界に跳梁跋扈する教えたがり君の存在を許容しているような気がする。pHと水温によるNH3とNH4+の分離比率をpHだけで談じ、終いにはNH3が害が少ない、などと言い切ってしまう者も居て考えさせられてしまう。

一方、他の趣味でも同じ事が起きているのかと言うとそうでもなくて、日曜日に体育館で自作飛行機を飛ばしているインドアプレインのお爺さん達は農家、公務員、会社員、商店主などで大学の流体力学研究室はもちろんロッキード社やエアバス社とも縁もゆかりも無い方々だが航空力学の基礎、応用知識が正確かつ豊富で空気抵抗などたちどころに暗算で出して見せる。基本的には自作であるので翼に使う樹脂なども自力で作る化学知識もある。
要するに趣味に「深み」があるので飽きない、正確で共有できる知識が豊富なのでやればやるだけ進歩できる、趣味のあるべき姿なのだ。趣味世界の衰退と隆盛はこんなところに要因があるのかも知れないネ。

【ロゼット】ろぜっと 【座葉】ざよう
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短茎から葉が重なり出て、地表面近くに円形状に広がった草姿を指す。日本語では座葉という表現を使う。具体的にはタンポポやタネツケバナなど。越冬のためにロゼットを作る越年草、多年草も数多い。春から夏にかけてはまったく別の草姿となる場合もある。
もともとこの用語はバラの花(rose)から来ていて、花弁が折り重なって開花するイメージを想起すればどんなものか分かると思う。
よく「ロゼッタ」と間違われるが、ロゼッタはストーンなので間違わないでね。変な造語の達人アクア界では「ロゼット型植物」なんてやっているがそんな分類も無い。もう一方の分類は「有茎草」だが、ロゼットも短茎があるので立派に有茎草だね。
と言うか水草と言っても普通の植物であって、特殊な世界に引き篭もって変な分類していると笑われるだけなのでいい加減気が付けよ、と思った。

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