Carl Zeiss T* Distagon 2.8/28MMJ

◇Profile◇
諧調怪獣Distagonの性能

2005年にカメラ事業から撤退した京セラCONTAXの遺産である。Carl Zeissも分かりにくい紆余曲折の歴史を持ったブランドであるが、1975年からは日本企業である京セラがカメラ事業を引き継ぎ、Zeissブランドのレンズを生産していた。正確には1974年のヤシカとZeissの提携、1983年の京セラによるヤシカ合併など日本側でも紆余曲折がありさらに分かりにくい。
CONTAXの銀塩名機とされるRTSはそんなわけでヤシカが設計、製造したものである。京セラの35mm一眼レフ(CONTAX)もヤシカのマウントを引き継いだので、ヤシカレンズ、Zeissレンズが使える「ヤシカ・コンタックスマウント(Y/C)」と呼ばれる。「ヤシコン」などの略称も中古カメラ店で通じる。

このDistagonはMM(J)、つまり日本製のZeissで年代的には現行のCOSINA製と大差が無い。コーティングもドイツ本国の秘伝T*である。一説によればヤシカ、京セラ、コシナの技術陣にも非公開の技術だそうである。やけにコントラストがあり他の東ドイツZeissと異なり緩さが無い。
好みの類型化というのは意味が無いと思うが日本人の写真の好みは「コントラストくっきり」だそうで、東ドイツZeissより日本人の好みに合っているような気もする。ただ私はやや不満で、この方向を追求するのであれば純正EFレンズでもレンズメーカーの単焦点でも他に正統的な道があるのである。
コントラストと逆光性能は特筆もので、白がすっ飛ぶ逆光の桜など恐るべきことに花びらの諧調が残るのである。それも白トビを抑える機能のあるEOS40Dやオートライティングオプティマイザの付いたEOS KissX2など最新鋭のハードではなく2005年3月発売のEOS KissDigital Nで、である。さすがにレンズカタログに「写真はレンズで決まる」とコピーを入れるレンズである。
くどいようだが私が望む「Zeiss」はそこには無くてモノクロでも撮りたい、と思わせる描写なのでお蔵入りの期間が長いが、桜という格好の被写体があったので久しぶりに引っ張り出して納得したのである。




Carl Zeiss T* Distagon 2.8/28MMJ
焦点距離 28mm
開放F値 1:2.8
レンズ構成 7群7枚
最短撮影距離 25cm

終焉してまだ数年なので中古レンズを扱う店なら大抵は置いてあるはず。ただそこそこ歴史もあるので古いものはM42Zeiss同様、ヘリコイド、絞りリング、カビなどのチェックは必要。

◇Impression◇

【作例】
Camera EOS KissDigital N F5.6,1/1250,ISO800,WB Auto

逆光条件で変な設定であるが、花曇で風が吹いていたのである。手持ちカメラには手振補正は付いていないので「経験と腕」が頼り。
もちろん純正マウントではなく電気接点も無いので撮影ポジションはM、好きなように設定して撮るのである。こんな事ばかりやっているとそれなりに写真の出来に「予測」が付くようになるが稀にAFを使うと、とてつもなく便利な機能に思える。

このアングルでこれに近い画像が撮れるのは手持ちのレンズでは無い。寄れる広角はJenaのFlektogon20があるが、とろりとした描写なので広角マクロ的ではない。Zeissには焦点距離が微妙に違うDistagon25もあるが、プロが「クセ玉」を計算に入れて使うレンズだそうなので私には縁が無いだろう。

今後も頻繁に使う機会が無いとは思うが、白い花を逆光で、とか花畑でパースを強調する、など「作品風」の写真を撮りたいと思った際に使ってみようと思う。


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