Canon EF-S10-22mmF3.5-4.5USM

◇Profile◇

広大な風景を広大に撮る、35mmカメラの感覚ではせいぜい24mmで、20mm以下はある意味「キワモノ」的な感覚を持っていたため、最初のデジタル一眼レフのキットレンズのワイ端18mmスタートには驚いた。これはAPS-Cフォーマットの特性を理解しないままデジタル一眼レフを入手したためで今から考えれば恐ろしい話である。
要するにイメージセンサーのサイズが小さいために35mmカメラの50mmレンズの「画角」は50mmレンズを付けても実現できず、キヤノンのAPS-Cデジタル一眼レフの場合80mmレンズの「画角」になってしまうのだ。つまりキットレンズの18mmスタートは28.8mmの画角なのでさほど超広角というわけではないのだ。(よく誤解される表現であるが、焦点距離が伸びるわけではない)24mm以下で本格的又はキワモノ的写真を楽しむためには銀塩乗り換え組には脅威の18mmスタートでもだめなのである。
メーカー側も「超広角写真をデジタルで撮りてぇんだ、何とかしろ」というニーズが分かっていて、デジタル専用としてリリースしたのがこのレンズである。レンズ構成を見ると同社の高級品Lレンズの広角ズームとほぼ同じ、スーパーUDレンズまで組み込まれている。「実質Lレンズ」と呼ばれる描写力も納得だが価格も「実質Lレンズ」なのが痛いところ。



Canon EF-S10-22mmF3.5-4.5USM
焦点距離 10-22mm
開放F値 1:3.5〜1:4.5
レンズ構成 10群13枚
最短撮影距離 24cm
◇Impression◇
【作例】
Camera EOS Kiss Digital N F5.6,1/500,ISO100,WB Auto 12mm

業平橋の浅草寄りからである。12mm時であるので換算19.2mmの画角で、キワモノ写真に近い。諸収差を抑えるスペックに偽り無く頑張っているが街路灯は内側に傾き(タル型収差)広い範囲を無理やり遠くに追いやって収めた、という写真。
実はこういう写真が嫌いではなく(嫌いならこのレンズは買わない)昆虫の顔がアップなのに周囲も写っている海野和男氏の写真などが大好きなのである。それはある種絵画的な強烈なパースペクティブに魅力を感じるからで、綺麗な背景のボケとは対極の写真もまた大好きだからである。

このレンズも使用頻度が高く愛用しているがブログにはほとんど出していない。いくら好きでも「キワモノ」だと認識しているからである。
Webで発表した写真とかぶるのでここには作例を出していないが、Nature Museumの砂模様の写真などを好例として、撮影者の意図がモロに写真に表現されるレンズでもある。砂模様の意図は砂浜に出来た模様を「海浜」だと伝えたい、というもので、他のレンズでは模様をフォーカスすれば画角や被写界深度の問題で海が表現できないのである。模様を写しつつパンフォーカス的に使えるのはこのレンズだけ。
当初は一輪のケシの花に限界まで寄り、花畑全体を背景に写し込むようなイメージでネイチャー写真を想定していたが、それはもはや「ネイチャーの写実」ではなく芸術性を評価される「作品」になってしまう。私は記録が主であって作品は撮らないのでそうした写真は撮っていない。

あるフォトコンの雑誌にヤマユリの花を中心に雑木林の背景を写し込んだ魚眼ズームの作例があったが、評者の言葉は「意図が勝ち過ぎる」というもので非常に納得、であった。その機材を持ってその場に居れば誰でも撮れる写真ではなく、意図は何で、どのように表現したのか、そこまで求められるのが「作品」。ここにこんなのありましたけど、これが記録。この差は大きい。そんな普段考えない事も広角レンズを装着すると思われるのが不思議。


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