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標準和名 | アオヒメタデ | 学名 | Persicaria erectominor var.erectominor f.viridiflora | 分類 | タデ科イヌタデ属 |
育成形態 | 【花】 | 【外】 | 【水】 | カテゴリー | 【浮】 | 【葉】 | 【抽】 | 【湿】 | 【沈】 | 環境省RDB | 記載なし | 自生環境 | 水田 | 湿地 | 湖沼 |
生活型 | 一年草 | 多年草 | 越年草 | 増殖 | 実生 | 地下茎 | 株分け | 挿し芽 | 同定 |
未判定種としても以下に掲載しているが、こちらは渡良瀬遊水地のもので、関係自治体や遊水地の公式資料にも掲載されているので、宮崎県産とは切り離し「渡良瀬遊水地のアオヒメタデ」として掲載させて頂く。もちろん写真も同遊水地のものである。 和名、学名からしてヒメタデの変種、そして解説には「ヒメタデの白緑花種」とあるが、これには渡良瀬遊水地で活動される大和田真澄氏も疑問をお持ちのようである。なにしろ草体がヒメタデに比べて大きすぎる。(葉形はヒメタデに近い) 全体の印象はイヌタデであるが、イヌタデには似たような葉形のホソバイヌタデが存在し、さらには白花種のシロバナイヌタデというものもある。葉形や花色の変異では一概に同定は出来ない。 ただし、水槽水中で長期間生育することからイヌタデとは異なる形質(=遺伝子)は間違いなく持っている模様。このような種こそAPG植物分類体系による種の特定が必要であると思う。 |
標準和名 | アオヒメタデ(タイプ2) | 学名 | Persicaria erectominor var.erectominor f.viridiflora | 分類 | タデ科イヌタデ属 |
育成形態 | 【花】 | 【外】 | 【水】 | カテゴリー | 【浮】 | 【葉】 | 【抽】 | 【湿】 | 【沈】 | 環境省RDB | 記載なし | 自生環境 | 水田 | 湿地 | 湖沼 |
生活型 | 一年草 | 多年草 | 越年草 | 増殖 | 実生 | 地下茎 | 株分け | 挿し芽 | 未判定種 |
頂いた宮崎県産の謎タデとその後発見した(おそらく)ヒメタデ系のタデ科植物である。水中生活にもよく馴染み、やや赤黒い水中葉を展開する。専門機関にも同定を依頼したがいまだに確定していない。 【消去法プロセス】 (1)草姿からほぼイヌタデ属であると思われる (2)「ヌカボ」を名乗るタデの花穂とは形状が異なる (3)ウナギツカミ、ミゾソバ、ヤノネグサ系でもない (4)イヌタデとは花色、葉色、葉形が異なる (5)ヒメタデが最も印象的に「近い」 (6)アオヒメタデ学名に「var.」「f.」があり未知のタデ科として分布、形質が特定できない 要するに、図鑑や既知のイヌタデ属は該当せず、未知の領域はヒメタデ変種、品種である。学名も一緒くたにまとめてあり、明確な産地、形質も示されていないことから「可能性として」最も強い、という消去法をベースにした推論である。 もちろんタデ科の帰化植物も何種類か報告されているので「未知」はキーワードにならないが、少なくても渡良瀬遊水地のフロラとしては存在し、アオヒメタデとして同じ形質の植物が存在する、という点に着目したわけである。 花、種子はほぼ一致しており宮崎県産のものと渡良瀬遊水地産の植物が同種であることは動かないと思うが、葉鞘の縁に付く毛が長い場合(渡良瀬産)と短い場合(宮崎県産)が見られ、形質によるものかどうか断定できないため便宜上宮崎県産を「暫定」とさせて頂いた。 アクアリウム用の水草としては草姿、色とも秀逸でレイアウトにも使いやすい。タデ科にもまだまだ未知の水槽育成可能種があることを想起させてくれる。屋外育成でもよく実生して殖える育てやすい草である。オリーブがかった気中葉には印象的なハート形の臙脂の斑が見られる。(画像のものはやや崩れている) |
標準和名 | アカバナ | 学名 | Epilobium pyrricholophum Franch. et Savat. | 分類 | アカバナ科アカバナ属 |
育成形態 | 【花】 | 【外】 | 【水】 | カテゴリー | 【浮】 | 【葉】 | 【抽】 | 【湿】 | 【沈】 | 環境省RDB | 記載なし | 自生環境 | 水田 | 湿地 | 湖沼 |
生活型 | 一年草 | 多年草 | 越年草 | 増殖 | 実生 | 地下茎 | 株分け | 挿し芽 | 同定 |
湿地や休耕田に自生するアカバナ属の植物。チョウジタデ属の黄花と異なり薄い紫がかったピンクの花をつける。(画像は開花後、紅葉に向かう姿) アカバナの和名の由来は秋に全草が赤く紅葉することによる。ミズオトギリやタコノアシと並び、秋の湿地のアクセントである。耕作田には見られず、休耕田や自然度の高い湿地のみに自生する傾向があるが、種子生産性、発芽率ともに高く「あるところにはある」植物となっている。 アカバナ属は水中化はしないようであり、完全な沈水状態での育成は無理。2〜3株を鉢植にし、睡蓮鉢に根本が冠水する状態で沈めておけば秋に淡い味わいのある花を多数見ることができる。 休耕田では遷移初期の植物となっているようで、ガマやアシなど大型の植物の影になりひっそりと咲いている。いつの間にか見られなくなるが、休耕直後に現れる。どこから来るのか不思議な植物だ。 |
標準和名 | アキノウナギツカミ | 学名 | Persicaria sieboldii (Meisn.) Ohki. | 分類 | タデ科イヌタデ属 |
育成形態 | 【花】 | 【外】 | 【水】 | カテゴリー | 【浮】 | 【葉】 | 【抽】 | 【湿】 | 【沈】 | 環境省RDB | 記載なし | 自生環境 | 水田 | 湿地 | 湖沼 |
生活型 | 一年草 | 多年草 | 越年草 | 増殖 | 実生 | 地下茎 | 株分け | 挿し芽 | 同定 |
ウナギツカミという名称は茎に逆棘があり、これを用いればウナギでも掴めそうな様子を現した和名である。他にもホソバノウナギツカミ、ナガバノウナギツカミなどがある。この2種が希少であるのに対しアキノウナギツカミは自生域が広く、水田の畦、湿地など広範囲で見る事が出来る。 ホソバノウナギツカミ同様、葉に耳があるがこちらは丸い、角度の無い耳であることから区別出来る。惜しむらくは水中育成に向いていないことで、水槽に投入しても沈水葉を出すことはなかった。ヤノネグサでは可能性があるので条件によっては、とも思うがその条件が分からない。 花はミゾソバやヤノネグサと同じ金平糖形で花穂先端に密集し、その名の通り秋に開花する。素朴な味わいで、派手さはないが水鉢で開花目的で育成しても面白いと思う。 |
標準和名 | アシ | 学名 | Phragmites australis (Cavanilles) Trinius ex Steudel | 分類 | イネ科ヨシ属 |
育成形態 | 【花】 | 【外】 | 【水】 | カテゴリー | 【浮】 | 【葉】 | 【抽】 | 【湿】 | 【沈】 | 環境省RDB | 記載なし | 自生環境 | 水田 | 湿地 | 湖沼 |
生活型 | 一年草 | 多年草 | 越年草 | 増殖 | 実生 | 地下茎 | 株分け | 挿し芽 | 同定 |
湿地や湖沼で普通に見られる大型の抽水植物である。アシは「悪し」に通じるためヨシとも呼ばれ、属名もヨシ属である。ヨシズなど製品の原料にもなる。実はここがこの植物の大きなポイントで、今や栄養吸収による浄化能力によって水辺環境で注目されている植物の一つであるが、適切な刈り取りを行なわなければ栄養分がすべて還って行くのでより一層の富栄養化をもたらしてしまう。 葦の加工品の原料供給などスキームを確立しないと結局は浄化に何ら寄与しない結果となってしまう。もちろん小鳥や小動物の営巣や土壌微生物など、生態系への貢献は別としても。 ヨシズの効果は想像以上で、おしゃれな洋風住宅のカーテンなど物の数ではない。我が家では見かけを気にせず多数使用しているが真夏の日中でも使用/非使用で体感温度は全く違う。消費量が拡大すれば刈り取りも進んで浄化に繋がる。 湿地歩きの際には葦帯は動きが取れず、他に目ぼしい植物が存在する確率も低いのでどちらかと言えば邪魔であるが、生態系のみならず人間の生活とも密着したエコな植物である。 |
標準和名 | アメリカハンゲショウ | 学名 | Saururus cernuus L. | 分類 | ドクダミ科ハンゲショウ属 |
育成形態 | 【花】 | 【外】 | 【水】 | カテゴリー | 【浮】 | 【葉】 | 【抽】 | 【湿】 | 【沈】 | 帰化植物 | 現状指定なし | 自生環境 | 水田 | 湿地 | 湖沼 |
生活型 | 一年草 | 多年草 | 越年草 | 増殖 | 実生 | 地下茎 | 株分け | 挿し芽 | 同定 |
帰化していると言われているが、それほど多くの場所では見かず被害実態も把握できない。所謂アクアリウムにおける北米原産の「サウルルス」である。 近似種のハンゲショウは葉が白くなるが、こちらは白くならない。葉形も微妙に異なる。自然下では沈水状態で自生することはまず無いと思うが、ドクダミ、ハンゲショウより水槽生活に向いているような気がする。 最近ではビオトープ植物として販売されており、今後広範な地域に帰化する危険性もあると思われる。水槽用の水草としてならともかく、屋外で育成するのは危険。 花穂は長く先が垂れ下がる。北米のWebサイトでは学名後に「リザードテール」と付与されているが、元々属名Saururusは爬虫類由来であり、学名ではなくインヴォイスではないかと思われる。 ちなみに国内の文献では属名・種小名のみ学名として記してあり、海外サイトにのみ命名者の表現があったのでこちらを転記した。 |
標準和名 | イ | 学名 | Juncus effusus L.var.decipiens Buchen. | 分類 | イグサ科イグサ属 |
育成形態 | 【花】 | 【外】 | 【水】 | カテゴリー | 【浮】 | 【葉】 | 【抽】 | 【湿】 | 【沈】 | 環境省RDB | 記載なし | 自生環境 | 水田 | 湿地 | 湖沼 |
生活型 | 一年草 | 多年草 | 越年草 | 増殖 | 実生 | 地下茎 | 株分け | 挿し芽 | 同定 |
湿地植物としては最も有用な植物の一つで、畳表の材料となるイグサである。関東ではなかなか見かけないが西日本ではイグサ専用の水田もあるそうで栽培も成されている。野草であるが立派な農作物である。 標準和名は「イ」であるが言い難く「イグサ」と表記されることも多い。科名属名もイグサである。水辺のみならずわりと広範に自生する。かなり大型になる草で、似たような草姿のカヤツリグサ科カンガレイとは葉の断面(カンガレイは三角形、イは円)、花が咲いていれば花の形状で区別する。実はより簡単な同定法があり、茎を千切ってかいでみると仄かに畳の臭いがするのである。 余談であるが、最近畳替えを行った我が家の畳はイグサではなく材質は和紙である。丈夫で安価ということであるが、畳に寝そべった時に、あの太陽の香りが無いのはやや寂しい。 個人で育成するような手軽な植物ではないが水辺園芸用としてはイと同種と言われ、ユニークな形を持つ園芸植物のラセンイなどが出回っている。草体の形状、大きさがあまりにも異なるので変種かどうかは分からない。葉が螺旋状に回るので、この手の植物お約束のSpiralis(スピラリス)を名乗っている。 |
標準和名 | イヌゴマ | 学名 | Stachys riederi Chamisso var. intermedia (Kudo) Kitam. | 分類 | シソ科イヌゴマ属 |
育成形態 | 【花】 | 【外】 | 【水】 | カテゴリー | 【浮】 | 【葉】 | 【抽】 | 【湿】 | 【沈】 | 環境省RDB | 記載なし | 自生環境 | 水田 | 湿地 | 湖沼 |
生活型 | 一年草 | 多年草 | 越年草 | 増殖 | 実生 | 地下茎 | 株分け | 挿し芽 | 同定 |
湿地や湿り気のある陸上に自生する多年草。北関東ではやや分布が薄い。種子がゴマに似ることで「ゴマ」と名乗るがシソ科であり、もちろん食用にならない。また地下茎が正月料理のチョロギ(幼虫のような、巻貝のような食物)に似ているのでチョロギダマシとも呼ばれる。役に立たない「イヌ」を冠し別名も本家ではない「〜ダマシ」が付いているが、花は十分に観賞価値がある。トキワハゼやカキドオシに似たピンクの形の良い花を多数付け花期も長い。 茎はシソ科らしい四角柱で稜に逆棘がある。休耕田などにもまれに見かけるが、里山北向き斜面などじめじめした場所でも見かけるので環境適応範囲は広いのではないか。 日陰になっていれば庭植えでも行けるようで、この辺はミソハギなどに近い。植えっぱなしでも毎年開花するので手間も要らない。魅力的な湿地植物であると思う。 |
標準和名 | イヌタデ | 学名 | Persicaria longiseta (De Bruyn) Kitag. | 分類 | タデ科イヌタデ属 |
育成形態 | 【花】 | 【外】 | 【水】 | カテゴリー | 【浮】 | 【葉】 | 【抽】 | 【湿】 | 【沈】 | 環境省RDB | 記載なし | 自生環境 | 水田 | 湿地 | 湖沼 |
生活型 | 一年草 | 多年草 | 越年草 | 増殖 | 実生 | 地下茎 | 株分け | 挿し芽 | 同定 |
夏の終わりから秋にかけて、水田脇や湿地などで開花するタデ。その名の示す通り普通種でありふれており、特に有用な植物でもない。この草は多少湿気のあるところなら自生するようで、完全な陸上にもよく生えている。反面完全に水没する環境では見た事が無い。 ここは非常に興味深いところで、水中生活が可能なタイプ(ホソバノウナギツカミ、シロバナサクラタデなど)、やや条件が厳しいが水中生活可能なタイプ(ヤノネグサ、ヤナギタデなど)、陸上向きのタイプ(イヌタデ、オオイヌタデなど)と、同じイヌタデ属でグルーピングすることが出来る。 この植物は水田脇などで時に大きな群落を形成するが、一斉に開花する様は見事で観賞価値という観点からはけっして「イヌ」ではない。 |
標準和名 | オオイヌタデ | 学名 | Persicaria lapathifoliua (L.) S. F. Gray | 分類 | タデ科イヌタデ属 |
育成形態 | 【花】 | 【外】 | 【水】 | カテゴリー | 【浮】 | 【葉】 | 【抽】 | 【湿】 | 【沈】 | 環境省RDB | 記載なし | 自生環境 | 水田 | 湿地 | 湖沼 |
生活型 | 一年草 | 多年草 | 越年草 | 増殖 | 実生 | 地下茎 | 株分け | 挿し芽 | 同定 |
その名の通りイヌタデを巨大にしたようなタデ科植物。湿地にもあるが、道路工事などの際に一時的に土砂を積み上げたような荒地、つまり遷移環境でも目立つ。草丈がMAX2mと大きくなるが一年草である。葉や茎もそれなりに立派であるが花は地味で観賞価値があるとは言い難い。白花と赤花があるが種として区別はされていない。 葉はやや硬質であるが、大きな分、食害する虫も大きく種類は不明であるが巨大な芋虫が付いているのを見かけることがある。蓼喰う虫でも最強クラス(笑)。 尚、学名をPersicaria lapathifolia ssp. nodosaとする説もある。花色をもってssp.(亜種)としているのかどうか不明。ごく一般的な植物であるが、この辺りになると極端に情報が少ない。 花色、草姿、私が見た限りでは特に地理的なクラインや分布の傾向があるとは思えない。従ってssp.説は参考情報として記しておく。 |
標準和名 | オオカワヂシャ | 学名 | Veronica anagallis-aquatica L. | 分類 | ゴマノハグサ科クワガタソウ属 |
育成形態 | 【花】 | 【外】 | 【水】 | カテゴリー | 【浮】 | 【葉】 | 【抽】 | 【湿】 | 【沈】 | 帰化植物 | 特定外来生物 | 自生環境 | 水田 | 湿地 | 湖沼 |
生活型 | 一年草 | 多年草 | 越年草 | 増殖 | 実生 | 地下茎 | 株分け | 挿し芽 | 同定 |
同属オオイヌノフグリとそっくりの花を付ける大型の湿地植物。オオイヌノフグリ同様本種はヨーロッパ〜アジア北部原産の帰化種である。分布に濃淡があり北関東ではあまり見る機会が無いが、東京都や千葉県では多くの場所で猛威を奮う姿を目撃している。 自生環境はカワヂシャと同様であるが、カワヂシャを駆逐する上に両者の交雑種であるホナガカワヂシャという種も存在するらしい。交雑種だけあって種子を形成することは稀なようであるが、カワヂシャとの戻し交配(再交配)によってカワヂシャ自体が変質してしまう危険性も指摘されている。群生して開花する様は美しいが、上記の危険性を考えれば禍々しい風景に見えてしまう。 特定外来生物であり採集するだけで罰則の対象になるが、近似種カワヂシャとの相違点は草体の大きさや花色以外に、明瞭な鋸歯(カワヂシャ)、ほぼ全縁(オオカワヂシャ)と葉によって同定が可能である。 罰則付きの法律で規制される植物でもあり、類似の植物を採集される機会がある方は環境省の同定情報を熟読されることをお勧めする。 |
標準和名 | オオサンカクイ | 学名 | Schoenoplectus grossus Palla | 分類 | カヤツリグサ科ホタルイ属 |
育成形態 | 【花】 | 【外】 | 【水】 | カテゴリー | 【浮】 | 【葉】 | 【抽】 | 【湿】 | 【沈】 | 環境省RDB | 絶滅危惧II類(VU) | 自生環境 | 水田 | 湿地 | 湖沼 |
生活型 | 一年草 | 多年草 | 越年草 | 増殖 | 実生 | 地下茎 | 株分け | 挿し芽 | 特殊 |
絶滅危惧II類(VU)という実態と乖離したランクであるが、現在日本本土には残存しない植物である。繊維を取るために移植された小笠原諸島の母島にのみ残っている。 もちろん小笠原固有種ではないし亜熱帯植物でもない。一般に入手する機会も無いし採集もするべきではないと思うが、記録のために当図鑑に載せておくことにする。「本土から消滅」と言ってもどこか人目に触れない湿地で生き残っている可能性は排除できないしシードバンクからの発芽の可能性もあると思う。 本土からなぜ消滅したのか。これは様々な情報をあたってみても確たる理由が分からない。カヤツリグサ科の絶滅危惧種他種を調べてみると自生地が限られ独立している場合が多いので、元々自生が限られ、しかもその自生地が消滅したためではないか、とも考えられる。 画像から見る草体の印象は、茎が3稜している様子はサンカクイと同様であるが、自重で垂れ下がったり折れている葉が多いことから軟質のようで、しなやかな繊維を目的として栽培されたという話が納得できる。 サンカクイと近似種ではないという印象を受けるが、葉の形状に加え叢生している点、花穂の形状が大幅に異なる点に拠る。 自生地には「池」と名前が付いているが画像では(7月撮影)水が枯れている。サンカクイの自生は抽水が多いのと異なる点である。 おそらくこの植物に関してまとまったテキストは存在しないはずなので実態は不明であるが、もしこの「池」が遷移の最終段階に近いのであればオオサンカクイの絶滅もそう遠く無いような気がする。 固有種の多い小笠原諸島への植物の持ち込み、持ち出しは厳に慎むべきであるが、本種に関しては元々本土の植物であり、種子等の方法で早めに保全措置を講じた方が賢明であると思う。もちろん公的機関が主導して、である。 (*)本画像は私が植物関係のあるプレゼンテーションを行うために利用目的を明らかにした上で父島在住のなつきさんにお願いし、母島担当の東京都自然保護員の方に撮影して頂いたものである。 【画像提供】 なつきさん経由母島の東京都自然保護員(レンジャー)さん 【参考文献】 レッドデータプランツ 山と渓谷社 |
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標準和名 | オニスゲ | 学名 | Carex dickinsii Franch. et Savat. | 分類 | カヤツリグサ科スゲ属 |
育成形態 | 【花】 | 【外】 | 【水】 | カテゴリー | 【浮】 | 【葉】 | 【抽】 | 【湿】 | 【沈】 | 環境省RDB | 記載なし | 自生環境 | 水田 | 湿地 | 湖沼 |
生活型 | 一年草 | 多年草 | 越年草 | 増殖 | 実生 | 地下茎 | 株分け | 挿し芽 | 同定 |
湿地に広く自生するスゲ。実の形状から別名ミクリスゲとも呼ばれる。草体は大型のミクリに比べてかなり小型。同定の難しいスゲ属にあって実の形状から簡単に判別できる種のひとつ。 地域のRDBにエントリーされている場合もあるが、水辺で目にする機会は多い。むしろ水辺環境の喪失がRDBに繋がっているはずであり、この点は他の「意外なRDBの」湿地植物と同じである。 水中からでも立ち上がるが、全草を水中に没して生育することはない。余談ながら私はこのような雑草然とした水辺植物が大好きで、大型の睡蓮鉢で後景の雰囲気を作るには最適だと考えている。多年草であり、特にメンテナンスの手間もない。 本種は不思議な事に水田では稀で、川沿いの湿地などで目にする機会が多い。水田際に集まる多くのカヤツリグサ科とは自生形態もやや異なる印象がある。 |
標準和名 | オランダカイウ | 学名 | Zantedeschia aethiopica Spreng. | 分類 | サトイモ科オランダカイウ属 |
育成形態 | 【花】 | 【外】 | 【水】 | カテゴリー | 【浮】 | 【葉】 | 【抽】 | 【湿】 | 【沈】 | 帰化植物 | 指定なし | 自生環境 | 水田 | 湿地 | 湖沼 |
生活型 | 一年草 | 多年草 | 越年草 | 増殖 | 実生 | 地下茎 | 株分け | 挿し芽 | 同定 |
オランダを冠するが南アフリカ原産の帰化植物、と言うより園芸、生花で用いられる事の多い湿地性の植物である。主要な品種とされる「エチオピカ種」は本来湿地性であるが庭植えにも耐える点はミソハギ、ワスレナグサと同様。 草姿、花(仏炎苞)ともクリプトコリネを巨大化させたような姿で、同じサトイモ科の植物である。画像は原種と思われる白花のものであるが、園芸用に改良が進みピンク、黄など様々な花色の他に葉に美しい白の斑が入るものもある。陸生の種から改良されたものもあり、一見しただけでは原種の特定は不可能。 抽水でも育つが庭でも鉢でも育つので特に環境に配慮する必要もない。分球により旺盛な繁殖力を示す。本来常緑のようであるが日本では冬に地上部が枯れ、春に新芽が出る。 別名カラー、カラーリリーで園芸関係の書籍ではこの名称で紹介されているものも多い。全体を小型にしたようなヒメカイウ(Calla palustris L. )という湿地性の自生種もある。 |
標準和名 | オランダガラシ | 学名 | Nasturtium officinale R. Br. | 分類 | アブラナ科オランダガラシ属 |
育成形態 | 【花】 | 【外】 | 【水】 | カテゴリー | 【浮】 | 【葉】 | 【抽】 | 【湿】 | 【沈】 | 帰化植物 | 要注意外来生物 | 自生環境 | 水田 | 湿地 | 湖沼 |
生活型 | 一年草 | 多年草 | 越年草 | 増殖 | 実生 | 地下茎 | 株分け | 挿し芽 | 同定 |
いわゆるクレソン。おそらくは食材、野菜屑の投棄などから逸出したと思われる帰化植物。繁殖力は凄まじく、湿地に侵入すると他種を圧迫するほどの大群落を形成する。 自生域も広く、平地のかなり汚れた用水路や湿地から渓流域まで確認されている。渓流域においてはキャンプ場からの逸出の可能性が強く指摘されており安易なアウトドアブームの遺産とも言うべき状況となっている。 もともと食材であり各種ビタミンが豊富なこともあり、健康食品である。微力ながらフィールドで見かけた際には食用に持ち帰るようにしているが無力さを思い知らされる繁殖ぶりで、ある意味最も湿地への影響が懸念される植物である。 反面水中生活には適していないらしく、同属のタネツケバナとともに水槽では育成が困難であるが、渓流河川水中では沈水で育つようである。 肉にも魚にも合い、油炒めでも副食の一品となる便利な野菜。環境への負荷は別として個人的にはレタスの栽培を外来生物、と騒いでいるような印象も受ける。野生化したものは全力で防除すべきだが、特に外来生物法に権源を求める必要はないと思う。 |
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