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利助おじさんの探検絵日記 【その1】手賀沼北岸 【新版】 |
千葉県我孫子市と柏市(一部連続性の無い水域が印西市、白井市にかかる)にまたがる小さな沼、面積6.5Km2の手賀沼は、ある意味我が国で最も有名な「沼」かも知れません。
名著大滝末男先生の「水草の観察と研究」には豊穣な時代の手賀沼の様子が書かれていますが、当時の面影はもちろんありません。特に沈水植物はほぼ絶滅状態です。最悪の時代はpH9も測定されたという事ですので、もはやこの海水状態で生き残る水草は無いでしょう。
北岸東部湖岸には手賀沼ビオトープがあります。手賀沼からの水を引き入れ、いくつかの池と水路を通す事で植生による浄化を行うためのものです。周辺にある植物群落とともにちょっとした緑地になっていますが、最初に見た際には愕然としました。なにしろ帰化種と園芸種が多すぎます。
皮肉なことに最も絶滅に近い水草が最も汚れた水域で一時的に復活するという奇跡が起きました。2002年に手賀川でガシャモクが復活したのです。これは埋土種子が発芽したものと考えられていますが、もちろん一時的なものであって放置すれば再び絶えてしまいます。| ◆排水と水質◆ 河川湖沼の汚染原因として排水の流入は最も影響度の大きな要因です。排水には主な発生源として生活、農業、工業があります。それぞれ「出さなければ良い」という非常にシンプルかつ攻撃的な解決方法がありますが、事はそう簡単ではありません。 工業事業者については法整備(水質汚濁防止法 下水道法)やISO14001によって今や環境に負荷をかけるほどの垂れ流しは少ないと思いますが、いまだに大きな負荷を与えているのは農業排水と生活排水です。 農業地帯は集落の特性からまだ農業集落排水事業が完全とは言えず、さらに水田肥料(特に窒素、リン)が短期間の湛水、乾田化技術によって凄まじい勢いで周辺の水域に流出しています。水田地帯の排水路をご覧になったことがありますか?さして汚染源の無い稲作地帯の水路でも悲惨な状態となっています。この手賀沼周辺の水路を探索すると、汚染の総本山である本湖よりも悪臭とヘドロが甚だしく、子供が網を使うと手賀沼の水で洗わなければならない程です。 水田浄化法という新しい考え方もあります。ただ数値化される部分は施肥によるプラス分が抜けていたり、ヘドロ混じりの悪臭漂うような水を使って米の品質は大丈夫なのか、農家はこの点を許容しているのか、など個人的には疑問を抱いています。 生活排水はひとえに下水道整備率がモノを言います。では行政によるインフラ整備に責任があるかと言うとそうではなく、ここ手賀沼の場合は流入河川の大堀川流域(柏市)の人口増がインフラ整備の計画を遥かに上回るものであった事が原因です。読みが甘いと言ってしまえばそれまでですが、行政が既存の計画を見直し新たに計画を組むのは想像以上に時間がかかります。私の家は旧農村地帯にありますが、どう考えても人口が増えるような場所ではありませんでした。ところが分譲が始まり家が建ち始めるとスーパーやマンションが出来たり、急速に都市化されてきました。このような状態になってから下水道が通るのに10年以上かかりました。 首都圏(境界線上ですが)の実情は似たようなものです。逆に都心部は下水道整備率が高く、神田川他、豊かな生物相が見られる場所が多く、自然破壊のドーナッツ現象も起きています。 *より詳しい解説は拙作「異論弱酸性国土説<改訂版>」をご覧ください |
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