利助おじさんの探検絵日記

【その10】葛西臨海公園 水族館編

chapter1 忙中閑有

◆名物最初から余談、凄まじきは「お受験」◆

2008年初頭から我が家長女が中学受験をすることになり、受験前の数ヶ月間に渡り休日毎の非常な忙しさを味わいました。
何が忙しいかと言うと学校説明会、模擬試験、下見、手続きなどです。特に模擬試験は受験予定校で行う、ということで我が家から相当距離のある都心の学校に度々出撃しました。受験生と言えども小学生、「一人で行って来い」とは言えず医療機関で土曜日も働く嫁さんに代わり私が都度付き添いを行いました。

この子が生まれた頃はすでに少子化の流れが始まっており、正直「将来受験するにしてもかなり楽ではないか」と考えていました。ところがどっこい、母数の多い(子供の多い)時代は乱暴な言い方をすれば「受験生10%、普通の子供80%、・・・10%」って具合に「受験するの!?アッタマ良い〜」で済みました。要するに少数のなかで競争すれば良かったのです。
今やこの10%の比率は50%まで上がり、受け皿たる学校の定員、特に難関校の定員がさほど変動していないことで、かえって競争が激化しているのです。そう、二極化している訳ですね。親が何も言わなくても塾通い、受験校の選定などは自然な子供同士の情報交換で出来てしまう時代になったのですね。別に学校なんざどこでもOKですが、子供がやりたいと考えていれば向上心を尊重するのも親の役割、本心は「かなり面倒くせ」ですがあちこち付き合いました。

そんな中で千葉の海浜幕張にある「渋谷教育学園幕張中学」で模擬試験を受けることになり、例によって嫁さんも仕事、下の子が放置になってしまうので一緒に連れて行くことにしました。「試験中、どこかで遊んでいれば」とお墨付きも出、費用も出ました。京葉線沿いと言えば行く場所は決定です。
ちなみに結果的に受験はしませんでしたがこの学校は千葉御三家筆頭、共学校としては首都圏最難関クラスで、娘の塾の友人はこの学校を落として桜蔭(知る人ぞ知る)に合格したほどです。(結果的に受けなくて正解か^^;)こいつらの頭の中はどうなってんだ、とつくづく思いますが、娘自らほざくように「鳶が鷹を産んだ」のでしょう。私は産んでいませんが(汗)。

◆水族館の制覇が望み◆
さらに前置き代わりの余談が続きます。
元々「水辺に寄った自然趣味」の流れで水族館は好きですが、特にこの葛西臨海公園水族館は好きです。屋外の池を横から見られる、という発想の斬新さもありますがそれを実現する水の扱い方のレベルが高いのです。伝説のアクア雑誌「アクア・エントゥ」にもここの事例が紹介されたことがあるほどアクアリウムのヒントがてんこ盛りです。
水族館はそれこそ北海道から沖縄まで旅行の先々で行っておりますが、ベスト3をあげろ、と言われれば必ず葛西が入りますね。残り2つは今のところ沖縄本部の美ら海(ちゅらうみ)と新装なった地元茨城県の大洗です。

海浜幕張から葛西臨海公園駅まで、京葉線で僅かな距離。駅改札を出ればすでに公園の敷地内です。この公園は有料の水族館や観覧車などを除けば無料で、広大な敷地に植栽された四季折々の花々を愛でることが出来ます。写真を撮りに来ている方も多く、散歩やジョギングにも最適。海浜にも出られる、公園としても非常に良い環境ですね。
「東京は緑が無い」と良く言われますが一面真実。我が居住地帯のように空き地、生産緑地、雑木林、放棄水田に無秩序に生い茂る植物を称し「緑が多い」と言えばその通りですが、元都民として言わせて頂ければ「緑を味わいたい」場所が決まっているだけ。代々木公園、新宿御苑、神宮外苑、浜離宮、井の頭、葛西、大規模で整備された空間がいくらでもあるのです。

早朝の試験開始後すぐに移動して来たので水族館はまだオープン時間前、仕方がないので園内をぶらぶら見物することにしました。これまでにも何回か来ていますが水族館以外を歩くのは初めてです。しかし花々を愛で歩くだけでは小学生の長男もすぐに飽きてしまい、何だかんだぐずり出す頃、やっと開園時間になりました。


chapter2 水族館

◆展示の妙◆

大抵の水族館は暗い通路を順路に従って進み、壁際の展示を見て歩く方式ですが、ここでは基本形は踏襲しながらも来場者を飽きさせない工夫が随所に見られました。正直魚の展示はどこも似たりよったりなので暗がりを歩いて見物するだけならものの5分で「もういいやっ」という気分になってしまうのです。
一通り展示を見て飽き加減のころに順路が屋外に出るのです。そこに喫煙所やら椅子があって休憩できる上に、疲れたお父さんが一服している間、好奇心全開の子供達は「ふれあいコーナー」で海の生物と戯れることが出来るのです。これは子供を持つ親、特に父親の立場を100%理解した設計ですね。おそらく似たような立場の方が設計したと思いますが、後半出てくるビオトープ以上に拍手を贈りたいところです。
そして順路は再び館内に、また展示に飽きたなぁと思う頃にレストラン&売店が出現します。お小遣いを貰い、買う気満々の子供にはまさに「配置の妙」。流れのなかで利益もしっかり上げる配置には親として拍手できませんが子供は釘付けとなり下敷きが、シールが、と値段を見比べ夢中になりました。

「下敷きなんか何枚も持っているだろ」
「シールはどうせ使わないよ」

と、いちいち無駄遣い方向に流れ行く子供に文句を付けているうちに「レンズなんか何本も持っているじゃん」「何台もカメラがあっても使わないでしょ」と同じ観点で日々諌められる我が身が思われ、好きにさせることにしました。と言うか彼の行動を見て「俺は子供の発想のまま大人になったのか?俺だけか?俺だけなのか?」と真剣に考えてしまいました(笑)。「男はみんな子供」の言葉を信じ、世のお父さん方はみんな同じだと信じましょう。

◆巨大水槽◆

展示の方は実際に見て頂くなりそれなりのWebサイトで確認して頂くなりで、あえて詳しくご紹介いたしませんが、この巨大水槽は凄いな、と来るたびに思います。
圧倒的な大きさもさることながら、この水槽のなかにエスカレータを通すという着想が素晴らしいですね。今でこそ八景島や品川にも似たような設備がありますが、ここはかなり早い時期にこのような「わくわくする」設計を取り入れたと記憶しています。
配置の妙、そして後半に続くビオトープも含めて、全般的によく考えられた水族館だと思います。「楽しいアトラクション」をどう楽しいと思うか、これは個人毎に千差万別だと思いますが、私は葛西の千葉県側対岸、ネズミのキャラクターが出迎えてくれる某外資系巨大集金システムより余程楽しいと感じます。「とっつあん」は何だか暗闇の中を猛スピードで走るジェットコースターのために2時間も並べないのです。

さてこの巨大水槽、野生では凄まじいスピードで外洋を回遊するマグロが泳いでおります。魚河岸勤務でもなければ普段目にする機会もない、しかも生きているマグロは滅多に見られません。この素晴らしい展示を実現したのは実は日本の技術、しかもアクリルガラスの職人業だそうです。60cm水槽程度の水量でもガラスにかかる水圧はあって、真横から水槽のガラスを見ると外側に湾曲(極端なものではなくmm単位ですが)しているのが見られます。この途方も無い水圧を受け止める技術がどんなものなのか想像も出来ません。これを実現しようとした「意思」も凄いと思います。
もちろんマグロだけではなく他の魚種も豊富にいますが、サメなど肉食性の魚には日頃たっぷりと餌を与えることで他の魚への襲撃を防止しているそうです。自然界は仲良しクラブではないので、ある程度忠実に再現しようという姿勢もポイントが高いですね。
てなわけで、魚種植物種はもちろん、展示する技術、裏に隠された最先端の濾過技術など知識が及べば及ぶほど「楽しめる」のが水族館です。


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Vol.10 東京都江戸川区 2007.9.23(Sun)
photo Canon EOS KissDigital N/SIGMA17-70F2.8-4.5MACRO



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