利助おじさんの探検絵日記

【その17】奇跡のドブ川探検 Part1


◆奇跡の光景◆


遥か昔は夢のような水路だったのでしょう。汚染が進んで手を入れるとかぶれる程の水質ですが、これだけの水生植物が残っているところを見ると。上流には下水道普及率の低い巨大な団地があり、比較的短距離を流れて利根川に合流する、いわゆるドブですが不思議なことに市内でミズハコベが見られるのはここだけです。
以前から通って水草採ったり田んぼで遊んだり、夏にはカブトムシやクワガタ採って遊ぶ場所なのですが、2005年5月22日に行ってみました。女房が近くの病院に保険証忘れてきたので取りに行くのと、子供達が田んぼで生き物観察したいとの事で家族全員でズブズブ(汗)。
去年見られなかった二つの植物に気が付きました。一つはミズハコベ。昨年は発芽は確認しましたがその後繁茂せずに群落が消えていたのですが復活していました。二つ目はミクリ。以前からありましたが抽水状態のみでした。なんと水中化していました!ミクリの水中葉は湧水起源など水温が低値安定、清浄な水質というイメージがあったのですが、水温どころかCODも高値安定、ヒルやミズミミズの聖地とも称される水路でアオミドロと混生しているとは!ある意味植物学的な常識を覆す画像がこの画像だと思います。

ミズハコベにしても水槽導入すると夏場の高水温で溶けますので、冷水性の水草のはずですがここで繁茂していることは常識に反しますよね。先入観から見て断じてはいけない植物の不思議がここにある、という思いでした。それどころか、昨年発芽後枯死したのは水質が限界を超えてしまったため、と考え寂しい思いをしていましたのでとても嬉しくなりました。家族が一緒であるにも関わらず大きな声で「ミズハコベだ!」と叫んでしまいました(笑)。

このような光景はいかに自然が残されていると言われる茨城県でも数少ないものです。上流部の生活排水や下流部で始まった大規模な工事(2年ほど中断していますが)など、止められるものであれば止めて欲しい、というパブリックオピニオンを出してみようと思います。市の方針が「緑との共存」なので聞く耳が少しはあると信じたいですね。こんな意見を出すのは11万市民のなかで私一人でしょうが、市内で見られなくなったミズトラノオ、ヒメハッカなどの湿地植物への思いも去来して居たたまれなくなりました。(と言いながら多忙中にさらに仕事を増やしてしまう私でした)


◆ヘラオモダカの不思議◆


この水路で不思議なことはもう一つあって、ご覧のようにヘラオモダカがあることです。「何でもないじゃん」と言われそうですが、水路の両脇の休耕田、水田にはまったく見られず、オモダカが優先種なのです。オモダカが水田、休耕田を生育場所に選び、ヘラオモダカが水路を選んだという事なのでしょうか?いくら調べてもオモダカ科同士の競合についてはデータが無いので何とも言えませんが、同属同士のアレロパシーなどがあったら面白いですね。近所では見られないサジオモダカもあるところには他種を圧倒してありますし。

オモダカのなかでは「やたらでかくなる」ヘラオモダカですが、花芽は水路の底から1.5m付近の地表をはるかに越えて開花します。この時期の葉も色艶が良く、この環境を「肥料分豊富」としてポジティブ(笑)に捉えているのでしょう。
「水辺の植物図鑑」にも書きましたが、これを見ていると本当にエキノの一種ではないかと思ってしまいますね。水槽に入れてみたくなる気がします。

◆水路の状況◆


生物ではヒル、ミズミミズ、スネール、プラナリアなど迷惑系キャラと、意外なことにメダカの大群が泳ぎ回っています。メダカが水質の悪化には意外に強いことが伺えます。余談ですがRDBにエントリーされる程各地で減少しているのは護岸と産卵できる水草の減少が主原因のような気がしますね。水草の減少もここを見ていると一概に水質の悪化、と言い切れない気もします。
水路自体は三面護岸されていますが、水田よりも低い位置に掘り下げられていることが幸いし、土砂の堆積があります。このために植生が存在できる条件が何とか維持できたものと思われます。画像の奥、道路の下から暗渠になり利根川の河原に出て行きます。どういう訳か付近の水田も植生が濃く、シソクサ、アブノメ、シャジクモ、フタバムグラなどが一帯で観察出来ます。
やや下流の湿地帯は以前スズメハコベの発見と人為的な絶滅を経験し、喜びと悲しみを味わった場所でもあります。失ったものを嘆かず今残っているものを大事にする、座右の銘でもあるのですが最近の湿地を歩いていると実感する機会が多いですね。
さて、話はさらに周辺の水田地帯へと続きます。(続く





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