利助おじさんの探検絵日記 【その19】近所の水田2 ワンダーランド編 |
◆水田宝島◆以下2005.8.6追記 7月の最終日、水田では稲が開花していました。非常に地味ですが、この開花が多くの命を支えていると思うと厳粛な気持ちにさせられます。 稲の開花期前後には水田雑草後発組の姿を見ることが出来ます。この時期から生育するものは田んぼ水草好きにとっては価値の高いものが多く、熱射病寸前となりながらも探査に我を忘れてしまいがちです。 用水路沿いのハッカは枝分かれし、早くも蕾を付けて開花準備に入っています。植生の濃い水田には他では見られない草々が特徴ある草姿を見せています。熱を帯びた草いきれと時折水田を渡ってくる涼風。 新米の蛙、イナゴ、大型のトノサマバッタ、ショウリョウバッタ。生存競争の末に残ったアメリカザリガニは心なしかそれなりの面構えです。何年たっても変わらない夏の水田風景。松岡直也の「夏の旅」が聞えて来そうな風景です。こんな場所が徒歩圏にあるのは最高ですね。 今回は追記として後期発生型の希少植物を中心に少しご紹介をさせて頂きます。 ◇ミズネコノオ◇ 昨年は開花した株を見つけましたが、今年は発芽後の株を狙っていました。狙い通りです。 最初に発見した株はやや斜めに生えており最初はスブタかと思いましたが、しっかりした茎がありミズネコノオそのものでした。こうして上から見ると葉に分裂の無いキクモ、という佇まいです。キクモと混生すると発見は困難ですね。 去年までオランダプラント同様の大型の水中葉しか知りませんでしたが意外に小型の水上株です。小さいながらも細い葉が輪生した姿は豪華で、見つけた瞬間は心拍数が上がりました。 早速水槽に投入しましたが、花も見たかったので数株採集し、庭の田んぼビオトープにも植栽しました。昨年のホシクサやヤノネグサ同様、開花結実して翌年勝手に生えてきてくれれば最高です。 昨年も随分自然度の高い湿地を歩きましたがミズネコノオは見つかりませんでした。水田雑草なのか、湿地植物なのか本籍が謎ですが、こういう姿を見ていると本来水田雑草なのかも知れませんね。逆にミズトラノオは湿地にしか生えないようなので湿地植物なのでしょう。 山と渓谷社「野に咲く花」のミズトラノオの撮影地でもある市内の湿地ではついに見つかりませんでしたが、ミズトラノオも野生の姿をぜひ見てみたいものです。 ◇サワトウガラシ◇ これも長らく「憧れの植物」でした。未見のマルバノサワトウガラシという希少種もありますが、特徴的な草姿なので発見出来るとすればこちらの方が先ではないかと思っていました。 あっさりと見つかりました。それも今回ご紹介するミズネコノオ、ホシクサ、スズメハコベ、アブノメと同じ水田で。まだまだ何か見つかりそうな素晴らしい水田です。これだけ濃い水田が一枚だけなのも残念ですが、10mの違いで道路工事を外れたのを幸運と思うしかないですね。 かなり小型の植物ですが、葉の形が特徴的で自己主張の強い草姿です。昨年sonsiさんに頂いた宮崎県産株は水槽で長期維持しようと思い水中育成しましたが失敗しています。今回はミズネコノオ同様開花結実狙いで田んぼビオトープに植栽しました。世代交代してくれると良いのですが。 水上株はなかなか硬質で真っ直ぐ育って行きます。水草になればかなり面白いと思うのですが決定的な育成方法が見つかりません。このあたりは同じ環境に生えていても草毎にかなり違うようで、そこがまた面白いのも事実なのですが。 シソクサ、ミズネコノオ、ホシクサ、スズメハコベ、アゼナが割りと容易、マルバノサワトウガラシ、アブノメ、キカシグサがやや難、そしてこのサワトウガラシはかなり難、というイメージなので「シソ科だから」「ゴマノハグサ科は」という話でも無さそうです。 ◇ホシクサ◇ お仲間のヒロハイヌノヒゲがやや太くまばらな葉を展開するのに対して、こちらはまさに「水田のウニ」です。固そうな印象の草ですがsonsiさんの「ホシクサの栽培管理 Ver1.2」にもある通り、かなり壊れやすい草です。根本から根や草体を痛めないように土と一緒に採集するようにします。 実はこれまであまり興味を感じませんでしたが、水中生活に馴染む個体がある、という自分の仮説の証明のために力を入れて探しました(笑)。もちろん開花してしまっては水槽導入できませんので、採集するなら今のうちです。家にも昨年の種や頂き物の種から発芽した株がありますが、マツバイやアオミドロ(汗)と絡み合ってうまく株が引き抜けないので(^^; 去年確認した水田でしたが、秋に耕起されて一面にあったヒロハイヌノヒゲやホシクサは滅茶苦茶になっていました。こうなる前に落とした種が発芽、生育しているのでしょうね。水田に生きる植物の逞しさを感じます。 この植物は種小名をキネレウム(cinereum R. Br.)と言いますが、略称で「キネ」とか、草姿を評して「ウニ」などと呼ばれることもあるようです。でも・・・ちゃんと呼んであげましょうよ、たった四文字なんですから。 ◇アブノメ◇ 漢字で書けば「虻の目」で丸く小さな果実を虻の目に見立てた命名です。最近アブの幼虫が水田で生活している事も教えて頂きましたが、まさにそんな幼虫が泳ぎまわる水田に生えていそうな草です。 見かけの割りに軟質の植物で、茎を押しつぶすと簡単につぶれ、中の気体がパチパチ音をたてて出てきます。この様子から「パチパチ草」の異名もあるようです。 この草は茎以外がすべて小さく、花、果実、葉が小ぶりです。特に葉は発芽直後のみ人並み?で後は申し訳程度のものが疎らに出るだけです。とても不思議な印象、言ってみれば新芽を毛虫に喰われて茎だけ残っているようなイメージの草です。 この草は水槽育成やや難、ですがある程度の長期維持は可能です。ただし最後は根本が溶けて浮き上がってしまうようで、完全な馴化が難しいのかも知れません。昨年はヒル他虫の混入を避けるために必要以上に根を切って導入してしまったのでその影響かも知れません。同じゴマノハグサ科でもスズメハコベのように挿し戻しが容易なものもあるのですが、このへんも「科属による共通性」は無いようですね。 ◇スズメハコベ◇ 市内2カ所目の発見ですが、密度はけっして高くありません。1ヶ所目は、何回でも書きますが無意味な工事(資金が尽きたか計画が見直しか会社が倒産か知りませんが2年間中断中)のおかげで絶えてしまいました。絶えた自生地の密度は凄かった・・・。 ここも風前の灯で、自生を確認した2枚の水田のうち1枚は道路工事の土砂の下です。この道路も要らないと思います。いまだにバブルの名残か利権か、意味不明な工事が多いのも田舎の特徴です。近隣牛久の歩道橋なども雑誌でとりあげられた事もあります。 さて、そんな事はともかく、この植物は本県には自生の記録がありません。小さな目立たない植物で自生地が限られればフロラやRDBからバンバン落ちてしまい、人知れず絶滅するのも仕方が無いのでしょう。せめてここに書いておきます。茨城県にスズメハコベが自生しています。 これから昨年の謎ミソハギ科(暫定ヒメキカシグサ)、ジャンボキカシグサ(暫定ミズキカシグサ)も探さなければ。まだまだ宝が待っているワンダーランドのトレジャーハンティングはライフワークになりつつあります。 |
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