利助おじさんの探検絵日記

【その26】ペナンで脱力 Part6


◆出会い◆


最終回は個人的に今回の旅で一番思い出に残った「人との出会い」を。写真があって出来事を書いておけば忘れないでしょう。個人HPなんてそんなもの(笑)。
何回でも書きますが本当にマレー人は勤勉です。そう思ったビーチボーイの事は最後に大切に書きたいと思いますが、まずは釣りに行った際に漁船の船頭を務めたこの少年。
どうですか、この笑顔。どう見てもまだ10代の少年ですが、漁船の操船と釣場ポイントを熟知しています。我々が魚を釣り上げるとまたこの笑顔で喜んでくれます。いいよなぁこういうの。
イルカの出現ポイントも知っていてドルフィンダンスを見せてくれました。写真を撮る間は船を静かに止めて待っていてくれました。日本の釣り船の船頭さんの帝王の如き振る舞いとはえらい違いです。「はい、釣って」「はい、上げて」それはいいんだけどさぁ、客だよね俺たち・・・
あんまり嬉しかったので帰りにポンと肩たたいて50RMぐらいそっと握らせたかったのですが、そういうのが駄目にするんだよな、きっと。気分よかった、本当。

海外に行くと日本のイヤな面がはっきりして、いわゆる「海外かぶれ」になると言いますが、私はこの少年の笑顔で考えてしまいました。
私も含めてですが、こんな笑顔で労働している人間が身の回りに何人いるでしょう?特にこの少年と同世代の日本の若い衆は街中でも電車でも下向いて無表情に携帯いじってますな。こいつらが心が貧しいとは言いませんが、少なくてもこの笑顔は心の豊かさが表れていますね。
中国系の方によれば、多少軽蔑を込めた口調で「マレー人は足ることを知る民族」と言います。言われてみると多少きつい仕事でも勤勉に黙々とこなしているのはマレー人が多いような気がしました。足ることを知る、何と素晴らしい!不満や不安は現状に満足できないから出るわけで、出れば出たで自分も周りの人々も不幸にしますわ。向上心とは別な次元で「足るを知る」、重要なことだと思います。
少年が笑顔ひとつでおじさんに教えることが出来るとは、マレー人恐るべし!


◆無国籍軍◆


ホテルでのプールバレーの光景。その場に居合わせた国籍人種年齢性別関係ない人々が適当に分かれてバレーボール。審判はマレー人、私がセンターで両脇に海兵隊上がりのUSAと黒いチャドルから目だけを出した奥さんを連れたアラブの若いの。後衛は子供やら何やら。(余談ですがアラブの奥さんは目だけでしたが震えるほどの美人でした)
さてアラブの兄ちゃんはやたら張り切っています。オンライン(水面なので線はありませんが^^;)微妙なボールは自陣では「OUT!」敵陣では「IN!」と親指使ってマレー人の審判にアピールします。最初のうちこそ海兵隊と顔見合わせて

USMC「Did he eat something the bad one?(こいつ何か悪いもの喰ったのか)」
Risuke「Well The hotel carpet had been torn off.(そういやフロントの絨毯が欠けてたぜ)」
USMC「Jesus!(なんてこった)」

とアホ言ってましたがそのうち全員が引っ張られて「IN!」「OUT!」と叫ぶようになっていました。
イスラムは戒律でギャンブルが禁止となっているため、こういうたわいも無い遊びでも熱く勝負したいのですね。アラブにサッカーの強国が多いのが分かる気がします。
アラブとアメリカが一体となって熱中するってのはある意味凄い事です。個人個人は本当にいい奴らなんだなと心から思いました。
アメリカで思い出しましたがマレーシアで通じる英語は相当アクが強く、ある意味日本人向きです。ガーデンレストランで伝票にサイン忘れて部屋に帰った時に電話があって(部屋番号は記入)、いきなり「ユーノーサイントゥビル」と来ました。そりゃ意味は分かるけどさぁ、なんだこの野郎と思い、意地悪してやれと「ジャパニーズプリーズ」と言ってやりました。「わかりませ〜ん」と返ってきました(笑)。
こういう国なのでアメリカ人と話をするとほっとするというか、久しぶりに母国語を使ったような妙な気分でした。

さて、ここで親父ギャグマイスターのワタクシが開発した国際的に通じるとっておきのギャグを。
東南アジアでもヨーロッパでもホテルやデパートなどを除き、買い物には価格交渉が当然。100RM(リンギット)のものを買うのならRMを省略し、指を立てて「40!」とか「50!」とかふっかけます。
概ね60か70ぐらいで決着しますが、例えば60で決着したのなら「OK!60・・・ペソ?」とボケてみて下さい。色々な人種に試しましたがすべて受けました。
ただし、屋台のような一日の売上=命のようなところでは「NO!NO!RM!」と真剣に怒られてしまいますのでご注意を。あっ、あと当然ですがフィリピンでは通じませんからね(笑)。


◆ぼったくり?◆


さて最後に今回一番印象に残った人物、マレー人のA君です。先にちょっと書かせて頂いたように彼の職業はビーチボーイです。何やってるのかと言うと・・・いろいろです(笑)。道具はボート、ジェットスキー、バナナボート、パラセイリングなどです。そう、観光客を誘い込んで結構な値段で遊ばせる「ぼったくり」です。こちらのホテルにはプライベートビーチが無いのでホテル前の砂浜で獲物を待ち構えています。
ガイドのユーさんは吐き捨てるように「砂浜のサメだから気をつけて下さい」と言っていました。それよりも見かけからしてイタリアでブツブツ言いながら近づいてくるジプシー然としていますので警戒レベルAでした。
子供がどうしてもパラセイリングで飛びたいというので自他共に認めるワタクシの怪しさ全開の風貌を武器に「中央アジアから来た貧しい旅行者」の設定で価格交渉を始めました。すると彼はニヤニヤ笑いながら「日本人でしょ」と。どうやら常にホテルのガーデンに目を配り、リサーチを欠かしていなかったようです。庭で飛行機が一緒だった「いかにも日本人」と話をしていましたからね(汗)。
開き直って「元プロの営業マン」の交渉力を見せ付けてやる!と交渉を始めたところ、予定金額を下回る価格まで落ちました。「よし分かった、俺もやるから3人でその値段な」と言ったところ「勘弁してよ〜それは普通じゃないヨ〜」と泣きが入りました。それが面白くて気に入ったので少し叩いてパラセイリングを楽しませて貰いました。報復か、私だけ一度海面に着水させられました。降りた後「落としたな、金払わねえぞ」と笑いながら言ったところ「あなた重くてボートがんばったヨ」と返ってきました。このやりとりでA君がとても気に入ってしまいました。
彼は一日中灼熱の砂浜にいます。職業柄観光客に追い払われたり、私のように趣味で値引きするようなたちの悪い客の相手もしなければなりません。仕事としてはかなりキツいと思います。そんな彼は母国語以外に英語、アラブ語、日本語で会話が出来るのです。客観的に考えてみると数ヶ国語で交渉が出来て精神的にめげない人材は身の周りにはそうそういません。

2日後に同じ手口でバナナボートを格安で楽しませて貰ったり、夜食事に出たところ道でばったり会ったりもしました。「おぉ〜」「おぉ〜ごはん食べた?ここおいしいヨ」と言いながらいつも履いているビーチサンダルでペタペタと、彼のねぐららしき暗い綺麗とは言えない一角に消えて行く後姿を見つつ「がんばってんだよな〜」とますます好きになりました。
いよいよ翌早朝には日本に帰るという日の夕方、ビーチに出ると無意識にA君の姿を探していました。愛用のサンダルを履いた彼の姿がありました。アラブ人をジェットスキーに案内した後近づいて来ました。

「おぉ〜ジェットスキーやる?パラセイリングもう一回?」
「いや、もう終わり。明日日本に帰るよ」
「じゃちょっと待っててネ」

というやり取りの後、A君が持ってきたのはタッパーに入った特産の錫細工のブレスレットでした。
仲良くなったからお別れにくれるのかな?と思いましたが「小さいほう20RM、大きいの30RMダヨ」と。ぎゃはは、最後までそれかよ!と思い、なんだかとても嬉しくなりました。女房と娘が欲しがっていたので、ではお別れもこっちの流儀で行くかと思い「分かった、小さいの2つ、大きいの2つで40な」と(笑)。

帰国すればこちらのスピードで時間が流れ全てはすぐに思い出の彼方ですが、最後の彼の言葉はいまだにはっきり覚えています。

楽しかった?また来てネ。オレはいつもここにいるから・・・

知的で勤勉でタフで大好きなマレー人のA君は今もビーチで観光客に話しかけているに違いありません「パラセイリングたのしいヨ」

−おしまい−



Penang,Malaysia 2005.8.15(Mon)〜8.20(Sat)
photo Canon EOS KissDigital /Canon EF-S18-55mmF3.5-5.6 USM/SIGMA MACRO50mmF2.8 EX DG



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