利助おじさんの探検絵日記

【その3】近所の水田 【新版】


◆田んぼの水草◆


水草と言うと澄みきった湖の水中に生えている、というイメージがあり、私も長年そのようなイメージを持っていました。
ところが、水槽で育成できる種類、と言うよりも専門ショップで販売している水草のなかにもご近所の水田に自生しているものがあります。実は水田は水草の宝庫なんですね。

家の周囲は水田と畑の比率が多く、簡単に言えば農村地帯です。市の中心部から住宅街が侵食するように拡大しつつある先端部(土地が安いあたり)に住んでいるおかげで水田の探索は楽です。
しかし、2002年ぐらいまではヘリによる除草剤の空中散布を行っていたために、普通種であるアゼナさえ見ることが稀でした。この空散は驚くべきことに小学校の通学路にかかっており、僅か1時間程度の時間差で子供達が歩く通学路にも散布されておりました。いくらなんでも、ということで住民運動が起こり、時を同じくして米の自由化が始まり、厳しいコスト競争に直面したこともあって農薬の使用量が激減、空散も中止となりました。

空中散布中止の2年目、2004年の夏は素晴らしい体験をしました。


◆豊作の年◆


家から徒歩圏で見られた水草の種類です。
アゼナ、アメリカアゼナ、タケトアゼナ、コナギ、オモダカ、イボクサ、ハリイ、マツバイ、ムシクサ、カヅノゴケ、ミゾハコベ、キクモ、チョウジタデ、シソクサ、サワトウガラシ、ミズワラビ、イチョウウキゴケ、ウキクサ、フタバムグラ、アブノメ、イヌタデ、キカシグサ、シロバナサクラタデ、サクラタデ、ヒメミソハギ、ミズネコノオ、ホシクサ、ヒロハイヌノヒゲ、ウリカワ、ヤナギタデ、ヤノネグサ、タネツケバナ、クサネム、ヒメクグ...などなどまさにお宝ザクザク状態。
ざっとカウントしただけで30種類以上!水槽や水鉢がいくらあっても足りません。そこにsonsiさんから、近所では見られないマルバノサワトウガラシ、ミズマツバなどを頂いたので、代表的な田んぼ水草はあらかた見ることが出来ました。

また自分でも「あるはずの無い」スズメハコベや暫定ヒメキカシグサなどを発見し、これ以上無い充実した1年間でした。その他にも自生記録があるミズトラノオ、ミズニラ、タコノアシ、ヒルムシロなど埋土種子、胞子が出番を待っているに違いありません。本当に楽しみです。

*画像は稲刈後の水田で最後の成長を見せるキクモ、シソクサの両リムノフィラ、スズメハコベ、キカシグサなど


◆不安定な湿地◆


水田は放置していても勝手に米が育って金が儲かる場所ではありません。農家が工夫と苦労によって維持している生活手段の場所です。工夫と苦労にはこれまで無かった海外との競争という要素も入ってきました。水草を採集する際に畦道を崩したり、水田への踏み込みなどの行為は慎むべきで、節度を持った観察・採集が必要です。
より深く水田を知りたい、水草以外にも水生昆虫などの生き物も観察したいという場合には、里山系のNPOなどに参加されるのが良いと思います。最近は「子供の自然教育」とセットになったイベントも多く、丁寧で正確な解説もつく場合も多く、採集もほとんどの場合OKです。古代米の育成などでNPOそのものが水田を持っている場合もあります。
私もこのような団体で水田のシードバンクや植生について様々なことを教えて頂きました。特に乾田化の進展によって、珍しい植物が見つかる可能性の高い休耕田も遷移によって2〜3年で陸地に戻ってしまうこと、陸地に戻り20年後に復田しても埋土種子から発芽が見られる場合があること、などです。
見た目には何も変わらない水田地帯も減反や自由化によって非常に不安定な湿地となっているのが現状のようです。

もし近隣にお住まいの方でより深く観察したい、というご希望がおありでしたら私にメールを下さればご案内いたします。(茨城県南部、千葉県北部がエリアとなります)


◆絶滅危惧種と水田◆

自分のサイトなので少し好きなことを書かせて頂きます。
このように自分でも幾多の水田を観察し、そこに住む生物について深い見識に触れるにつれ、里山に対する共通の価値観とも言うべき思想があることに気が付きました。思想と言っても難しいことではありません。

・二次的自然、人間による撹乱を容認しながらも不必要な影響は与えない
・身近な自然として次世代に引き継ぐことを優先する

というものです。これを踏まえて思う事があります。

水田「雑草」のなかにも絶滅危惧種があります。ミズアオイなどは代表的な例でしょう。スズメハコベやミズネコノオも絶滅危惧種です。
一方、農家にとっては水田「雑草」ですから駆除の対象となります。絶滅危惧種であっても何ら保護の対象にはなりません。
二次的自然に依存する動植物はこのように圧倒的に私有地に在り、有効な保護は受けられず保護しようにも法的な権源が無いのが実情です。使い道の無い湿地にも地権者がおり、埋め立てて駐車場にしても正当な経済活動であり何ら非難すべきものではありません。
この解決策に、例えばNPOや研究機関で分かりやすく問題提起し、周辺の学校や住民に認知して頂き、最終的に地権者から自治体が買い上げて保護するというスキームがあります。この場合「一部の研究者やNPOが騒いでいる、学者馬鹿は仕方ねぇな」と思われないように、残す事の意義を明確に平易にし賛同者を増やして大きな声にして行く必要があります。
このことを日本生態学会は自然保護の最優先テーマとして「合意形成」と呼んでいます。





SEO [PR]  紅葉めぐり 転職支援 わけあり商品 無料レンタルサーバー ブログ SEO