利助おじさんの探検絵日記

【その32】印象派風湿地点描


◆霞ヶ浦◆


霞ヶ浦といえば何を思い浮かべるでしょうか。実際にご覧になった事の無い方は咲き乱れるアサザの花やワカサギ漁の帆船など、美しい観光地の姿でしょうか?ルアーフィッシングをされる方はポイントだらけ、バスだらけで有名トーナメントも多い「釣場」でしょうか。はたまた汚染された生物相に乏しい日本第二位の面積を持つ湖の姿でしょうか。
実はどの見方も正しく、かつ正しくありません。これだけ色々な面があればその時の精神状態、興味の対象によって如何様にでも見えてしまうカオスの湖です。
目を楽しませてくれるアサザの花はアサザ基金の努力の賜物ですし、ワカサギ漁の帆船は網を入れれば無数のブラックバスやブルーギルに鯉が混じる、漁獲を期待しない単なる観光船です。ブラックバスについてはほぼ正確な感想だと思いますが実態はとてもこんなものではありません。
霞ヶ浦に生息する魚種を一部ご紹介いたします。ブラックバス、ブルーギル、草魚、ハクレン、タイリクバラタナゴ、チュウゴクオオタナゴ、カムルチー、ペペレイ・・・。世界中の温帯域の魚種が集まりつつあります。熱帯原産の魚も目撃情報があります。反面沈水植物を中心にした湿地植物は非常に貧困な状況となっています。元気の良いオオカナダモ、フサジュンサイ。これまた帰化種です。
様々な場所で何度か述べた意見ですが、水辺に於いては環境悪化と帰化を切り離す事が出来ない問題となってしまい、帰化種の駆除も二次的、三次的に醸成された生態系を破壊することになる、という八方塞の日本の自然の姿を凝縮したのが霞ヶ浦の現在の姿なのです。


◆霞ヶ浦総合公園◆


印象派風と冠しつつ話の内容が環境NPO風となってしまいました。水生植物がほぼシーズンを終える11月に霞ヶ浦総合公園を訪れる機会がありました。休日朝も早くから女房が得意技を活かした着物の着付のアルバイトを土浦市ですると言うので、車で送るついでに子供と一緒に公園で遊びつつ、私は植物やら何やら撮影(本当はこっちが主目的です^^;)。
朝8時前なので人影が少なく、尚且つシンボルの風車が逆光ポジション、さらにやや曇天と条件が揃いました(笑)。ここで無理やりPLフィルターを使います。さらに光量を落す事で、こんな写真に仕上がりました。どうでしょう、独特の空気の捉え方が出来ていると思いませんか?エントリーモデルの一眼デジでも、そこは一眼、自分の意思を持ってマニュアル撮影すると面白い写真が撮れますね。
これは某所で「印象派のような写真」とお褒めの言葉を賜りました。とっさの事でも無かったのでRAWで撮影する余裕は十分あったのですが、すっかり頭から抜けてJPEGです。いまさら後悔。
画質はともかく朝の公園は気持ちが良いですね。いつもなら駐車場溢れ出して路駐オンパレードの付近もまれに車が通る程度。早起きは三文の得です。


◆湿地写真◆


さてこちらは風車付近から霞ヶ浦方向を見た風景です。風車で汲み上げた水を浄化するための湿地です。アサザの池を中心に様々な水生植物が植栽された湿地が霞ヶ浦まで続きます。
実はここは台風のため幻に終わった2004年8月の「おじさん探検隊」のトリとして予定していた場所です。見たいと思う水生植物は何でも見られます。もちろん公園なので採集は禁止ですが、見るだけでも楽しめる域に達した愛好家なら必ず満足できる場所です。
霧で遠景がかすれている訳ではなく、逆光によるものです。で、光量を落して撮影すればこの通り。なにか湿度の低い場所の写真のような感じでしょ?
写真で遊ぶだけでは探検絵日記にならないので少しだけこの湿地の感想を。湖の水質浄化には湖岸湿地の役割が大きい事が知られていますが、護岸や開発で潰して来たために自然の湖岸湿地は霞ヶ浦ではあまり見ることが出来ません。僅かに稲敷市の浮島湿原が大規模な湖岸湿地として知られるばかりです。
護岸を崩して自然の湿地を回復しようという試みも見られますが、この大きな水たまりに対してはあまりに無力。この公園湿地も相当な規模ですが、その先に続く広大な水面を見ると果たして浄化に効果があるかどうか、という思いです。
ただし、風力によって水を汲み上げ植生の力で浄化するという思想、この思想を表明するという意味であるならば私は土浦市に拍手を贈ります。行政しか出来ない規模のビオトープ、まさに帰って来た植物、動物、魚類。全体への「効果」よりも、意思が感じられる税金の使い方。残念ながら居住地の行政にはまったく感じられない自然に対する姿勢を感じました。





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