利助おじさんの探検絵日記

【その4】裏磐梯五色沼【新版】


◆家族旅行◆


2004年8月、家族揃って裏磐梯五色沼に観光に行ってまいりました。五色沼ってのは一つの沼で、光の具合によって色が変化する沼のことだと思っていましたが、どちらも間違いでした。(^^ゞ
五色沼という沼は無くて大小湖沼群の総称であること、そのうちの「みどろ沼」は有機物やその他の要因によって季節によっては一度に五色が出ること、などを知ることが出来ました。

さて、当日常磐高速から磐越道に入り猪苗代インターまで快調に来ました。高速を降りてから近場のスーパーに入り昼飯の買出し。うちは旅行でも概ねこんなもんです。子供達の好物がお握りですから(汗)。
お握り食いながら田舎道、山道をしばらく行くと「五色沼」の看板がありました。駐車場に車を止めて一発目の「毘沙門沼」。せっかくなのでボートを借りて繰り出します。水草観察の絶好のチャンスです。
水草よりもこの色にびっくり。ボートから水に手を入れると冷たさのせいか酸性のせいかピリピリします。水中には珍種フトヒルムシロがびっしり。フサモらしき破片もありました。特殊な環境なので植物相も限られているようです。

ここは「採集禁止」と繰り返し放送もありますが、観光客が手漕ぎボートのオールでフトヒルムシロの浮葉を次々と千切ってしまうので如何なものか、と思いました。こんな事なら破片だけでも拾わせてくれれば良いのにね。それも駄目なのが掟なので仕方ありませんが。
ボートを降りて毘沙門沼沿いの道を歩くと渓流の流れ込みにはフトヒルムシロの水中葉が見えます。次の沼にはヒメタヌキモらしきものが。こうなるとさらに奥には「大きな栗が落ちているに違いない」とばかりに奥へ奥へと歩いて行く一家四人。


◆行きは良い良い◆


私の頭の中
「こりゃー行けば行くほど面白い植物が見られるな」

口から出る言葉
「気持ち良いし健康にも良いから少し歩くか」

てなわけで森の中の遊歩道をあちらの池、ここの湖と見物しつつ深く入って行きました。奥に入れば入るほど大きな栗が・・(違っ)
そこで気が付いたのは車の事でした。丁度Dの字の直線が歩いて来た道、湾曲しているほうが国道という感じで、左下の角が現在地、左上の角が駐車場というイメージです。
少し休んだら戻るか、と提案しましたが、返ってきたお言葉は、

「私達ここでアイスクリーム食べてるから車とってきて」

という有難いお言葉でした。その日はお握りのエネルギーをすべて消費し、赤字が出ました。

フトヒルムシロを見て感じたことは、特殊な環境で自生している水草は、例え採集出来たとしても育成は出来んな、ということ。やはり野に置け、ってところですかね。手ぶらで帰るのも何なので、帰りの水田脇でヒメタヌキモその他を採集して帰途につきました。なにしろこの頃は「水辺に来て手ぶらで帰るのは探検者として失格」と思っていましたし(^^;今は・・どうなんだろ?心の余裕と言えば格好良いですが興味が薄れたというダラケの方が合っているような(汗)。あまり採取する機会も無くなりました。


◆このあたりのスポット◆


福島県の猪苗代湖一帯は冬場はスキー場として有名ですが、秋は紅葉、夏は諸々遊べます。湿地探検的には全国屈指の水質を誇る磐梯五色沼湖沼群を踏破するだけでも数年かかる程のスポットに溢れた地域です。
残念ながら大部分が磐梯朝日国立公園にかかっており、特別保護地区も混在するために動植物の採集禁止地区も多くなっています。事の是非の問題ではなく法律の問題なので遵守する必要があります。
周辺のため池や水田もそれなりに濃く、好きな方なら何日居ても楽しめると思います。この地区への太平洋側の玄関、浜通り一帯の植生も面白く、文献によれば希少種となったタチモが自生する池もあるそうです。(激しく行ってみたい^^;)

会津まで足を延ばせば露天の温泉が多数あり、春には新緑につつまれ清流のせせらぎを聞きながら、秋には紅葉の落葉と一緒に温泉に入る贅沢を味わえます。
最南部とは言え東北地方であり冬は寒いのですが、これが幸いしてエゾノミズタデなど北方系の水草も見ることが出来ます。首都圏からも近く自然を楽しめるお奨めのフィールドです。


◆酸性水質と水草◆

本文にも書きましたが、五色沼の湖沼群は程度の差はあれ、おしなべて酸性傾向です。それも湖によってpH4.5とかpH5.1などと、俄かには信じられない数値が並んでいます。
ここまで極端だと生育できる水草の種類は限られてしまいますが、水草の入門書には「弱酸性の環境で育つ」という水草が数多く紹介されていますし、南米産の水草にいたってはイオン交換で水質を弱酸性にキープするソイルを使用しないとうまく育てることができません。(この点については「一般論」です。個人的に大いに異がありますがそれはまた別途)

水質が酸性傾向なのと塩基性傾向なのと、植物にとって何が違うのでしょうか。ここに水草が育つか育たないかの水質面のポイントがあるはずと考え、いろいろと調べてきましたし、記事にも書かせて頂きました。
別な記事で書いていますので重複は避けますが、pHによって異なるのが明確なのはアンモニアの分離比率と浸食性遊離炭酸の溶存量です。ただ、記事中で触れたフトヒルムシロについて考えてみると、これもあまり関係ないような気がします。
フトヒルムシロは成長してしまえばほぼ浮葉だけであり、水中は葉柄のみでとても水中の養分に依存しているようには見えません。また浮葉を持つということは、光合成に必要な光とCO2を気中に求めているということであり、これまた水中の溶存二酸化炭素に頼っているようにも見えません。
なにしろコウホネの沈水葉、つまり発芽直後の状態では光合成を行っていない、という話もあるほどです。二酸化炭素や有機物に拘ると永久に正解には辿りつかないと思います。

南米産の自生地は見ていませんが、完全な沈水植物であれば適応する理屈も、浮葉や抽水が常態であれば話は変わってきます。自生地を探訪する際にこんなことも考えながら歩けば面白いと思います。





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