利助おじさんの探検絵日記

【その42】微笑みの国紀行
第二部 バンコク編1



◆王都◆

バンコクでは、プミポン・アドゥンヤデート国王(ラーマ9世)の在位60周年の祝賀ムードが盛り上がっていました。バンコク国際空港から市内に向かう高速道路沿いのビルも国王の肖像を掲げていました。
タイは立憲君主制ですので日本の天皇制と似た国家ですが、王室に対する尊敬は並々ならぬものがあり、街を歩いていても驚かされました。街で黄色いポロシャツを着ている人が目立ちましたが、胸に国王の紋章が入ったロイヤルカラーの祝賀ポロシャツなのだそうです。王室への篤い尊敬を感じます。
日本でも反対勢力もありつつ皇室が愛され、緑の日、天皇誕生日など皇室ゆかりの祝日もありますが、タイでは紙幣、貨幣が現国王の図柄、TVでも映画館でも国王の映像が流れれば全員起立するほど愛され敬われています。現国王のお人柄もありますが、激動のラオス、ベトナム、カンボジアと近隣諸国の歴史を見ればそのなかで平和な国体を護持し悲惨な経験をせずに済んだという感謝の念もあるような気がします。
正確に言えばインドシナ戦争、ベトナム戦争のなかでタイの果たした役割も小さくありませんが、日本やアメリカと同盟を結びつつ、時には領土の割譲などの条件を飲みながら独立を護持した絶妙のバランス感覚は、ミサイルが飛んできても一向に国民を守る気が無いどこかの国に見習って欲しいものですね。


◆バンコクの電車を経験◆

それはともかく。バンコクには昼に到着したので昼食やら買い物やらしてみようと、繁華街のサイアムに向かうことにしました。
市内の移動はメータータクシーもトゥクトゥクもバスもありますが、20分変わらない信号もあるし大渋滞が名物なので便利なスカイトレイン(BTS)を使うことにしました。ホテル最寄のバヤータイからサイアムまで2駅、約10分で到着です。料金も15バーツ(50円弱)と安いし安全快適なので迷う必要はありませんね。
さっそく駅に行き切符を買いましたが、かなり独特のシステムでした。切符は日本の地下鉄やJRで見慣れたペラペラの小さなものではなく、カードサイズの立派なもの。自動販売機は10バーツと5バーツの2種類のコインしか入らず(距離により10〜40バーツの5バーツきざみなのでこれでもOK)駅の改札近くに両替のための有人窓口もありました。素直にお釣を出せば良いと思うのは日本的発想なのかな?
自動改札が曲者で日本のような観音開きタイプではなくカニ鋏みタイプで、しかも異様に開閉時間が短いものでした。さっそくトロい嫁さんが挟まれていました。どこに行っても田舎者丸出しです(汗)。
電車は天井が低く横幅は新幹線並みの見慣れないタイプのものでしたが、製造会社を見るとSiemensとあり、やはり日本の会社ではありませんでした。直射日光を避けるためか外見は窓は無く、機関車か貨車のようなイメージでした。内側からはマジックミラー状になっており景色が見られます。
タイの冷房全般に言えることですが、電車もかなり冷房がきつく外気との温度差があり過ぎます。熱帯と言えどもカーディガンかなにか羽織るものが必要ですね。


◆サイアムの悲劇◆

バンコク市内は下水道が未整備なようで、サイアムのような近代的な街でも裏道ではかなり匂います。また地盤が良くないのか石畳の歩道も所々陥没していたり盛り上がっていたりでかなり歩きにくい場所が多いですね。
勝手が分からず目指すショッピングモールMBKセンターと反対側に出てしまい、道を聞くためにかなり美人の女子大生らしき若い女性をつかまえました。もちろんワタクシ美人の女子大生は大好きですが(^^ゞ、この時はそういう理由ではなく英語にクセがないから聞きやすいからという理由でした。なにしろ年配のタイ人の方の英語は凄いのです。
プーケットで乗ったモーターボートは観光客に安全のためライフジャケットを着用させますが、ボートを降りる際に「チケットをボートに置いて行って下さい」と言われました。「あれ?なんかチケット受け取ったっけ?」とかなり悩みましたが、チケットはジャケットのことでした(汗)。そういう訳で発音の綺麗な若い女性に道を聞くのがベストです。くどいようですが、もちろん好きです(^^ゞ
さて、サイアムのMBKセンターは入口に「東急」があり、日本の東急と変わらない陳列やPOPがありました。1Fにマクドナルドがあるのもお約束。いまさらこんなの見ても仕方がないのですが、嫁さんは「50%OFF」の表示を見逃しませんでした。なにもこんな所に来て、と思いましたが主婦という人種は思考回路が異なるようです。仕方が無いのでエスカレータ横のベンチに子供と坐って待っていましたが、横に坐った輪島功一氏似のタイのおっちゃんがニコニコ話しかけて来ました。ムエタイの選手だということで、輪島氏の雰囲気もなるほどな、と。タイはまさに「袖摺りあうも」の国で、他人同士でもすぐ話に花が咲くのが良いですね。それを可能にするのがタイ人のほとんどが持っている引き込まれそうな笑顔で、まさに微笑みの国と、尊敬の念を新たにしました。
東急からつながるMBKの内部は終わりが見えないアメ横センタービルという雰囲気で、フロア毎に衣料品、エレクトロニクス関連、食料品関連などが並び、色々な人種がごった返す、巨大なパワーに圧倒されるモールでした。ちょうど携帯電話がブームにあるようで多くの店舗が目に付きましたが、こちらは「新規0円」は無く、FOMAと同じ本体を買い増す方式のようです。端末はNOKIAとMotorolaが圧倒的なシェアを持っているようでした。
ここでTシャツ(家族でお揃いのご当地Tシャツが我が家のしきたりです)やアイスクリームを買ったりして楽しみましたが、途中にTOPS(スーパー)があり、嫁さんが美味そうな月餅を見つけて買おうとしました。ところが価格が2通り記載されており、どちらの価格なんだ?と話をしていたところ、前に並んでいた年配の女性が「安い方は会員カードで買う価格です」と流暢な日本語で教えて下さいました。さらに自分も買い物するので一緒に会員価格で買って下さる、とお申し出頂きました。こういうご親切もタイが好きになった大きな理由ですが、日本語が完璧なのに驚きました。その女性が買われた月餅が「ドリアン味」なのにさらに驚きました。

長くなってしまいましたが、やっと本題です。サイアムで夕食を済ませホテルに帰ろうとサイアムから電車でバヤータイに向かいました。気持ち的にバイクに屋根と2人並びの座席を付けたトゥクトゥクに乗りたかったのですが、道路の凄まじい排気ガスの匂いが健康に悪そうでしたので仕方なく。
ホテル最寄の駅バヤータイで降り、歩き出しましたがどうやらホテルと反対側に歩き出してしまったようなのです。最初に駅に居た警備員に「サイアムシティーホテル」と告げ方向を確認したのですが、指示通りの方向に行ってこの様です。さらに途中で違う方に確認したところ「この方向で良い」と言います。さらに歩いて行くとなんと先程までいたサイアムの繁華街が遠方に見えてきたではないですか!後で考えてみると「サイアム」だけが聞き手にインプットされてしまい、サイアムの方向を教えてくれたようでした。
例えば信濃町あたりに居て市ヶ谷の「新宿シティーホテル」という名前のホテルに行きたいと外国人に聞かれた場合、ホテルを知らなければ市ヶ谷ではなく新宿方向を示すようなものですね。南国の熱気と排気ガスのなか、すっかりお散歩してしまいました。正直今回の旅行で一番こたえました(汗)トゥクトゥクに乗ってりゃ良かった!

(*)写真はサイアムのSIAM SQUAREというショッピング・モールにあったダイソーです。日本と同じものが売っていましたが「60バーツ均一」です。約180円強なので日本より高いです。物価は全般的に安いのですが、日本製品はじめ輸入品は高いようです。前述の通り鉄道の初乗りが約30円、Tシャツ1枚300円弱、しかしダイソーが180円!です。


◆コンビニ探検◆

予想外の灼熱散歩をしてしまったため、正直この時は残りの日程をホテルか病院で寝て過ごすことを覚悟しました。やや回復傾向にあるとは言え、体調不良で意識が飛ぶほどの経験をしたのは僅か1ヶ月前です。この時ばかりはタイ人の英語力を呪いました。
とりあえず失った水分補給とホテル篭城に備えて軽く食料品を買おうとホテル近くのセブンイレブンに寄って行くことにしました。タイにはセブンイレブンがやたら多く、プーケットでは数10mおきにあるような場所もありました。自動販売機が無い、水道水が飲めない、という事情でこれだけあっても需要がそれなりにあるからでしょう。
飲物はいろいろありますが、私は基本的にお茶なので、日本にあるのと似たデザインのキリン「生茶」を数本買いました。1本18バーツ(約55円)で日本の3分の1の価格です。ミネラルウォーターも良いのですが硬水なので身体のpHが上がってしまいます。(もちろん冗談です)
という訳でホテルのフロントのソファーにへたり込み、渇きを癒やした瞬間・・・甘!なんじゃこら!・・・砂糖がタプーリ入っていました。これがこちらの流行なのでしょうか。恐ろしい飲物でした。お茶マニアの日本人が日本語で「生茶」と書いてあれば日本の生茶を想像してしまいます。これで身体がびっくりして回復してしまったに違いありません。
というわけで怪しい女性の写真を持って誘うタクシー運転手、ヤブ蚊、立ち込める排気ガスをかきわけ、サウナ並みの湿度のなかを1km以上歩いてしまった私は覚悟のわりに、口に残った甘み以外はほぼ何事も無くバンコクの夜のプールにドザエモンのように浮いていました。めでたし、めでたし・・・?

Next


Bangkok,THAILAND 2006.8.17(Thu)〜8.19(Sat)
photo Canon EOS KissDigital N /Canon EF28-135mmF3.5-5.6IS USM/SIGMA17-70mmF2.8-4.5DC MACRO



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送