利助おじさんの探検絵日記

【その44】微笑みの国紀行
第二部 バンコク編3【最終回】



◆王宮へ◆

バンコク最後の大物観光地、王宮です。王宮と言いつつ王族は住んでおらず式典や保養などに使うというお話でしたが、そうは言っても王家への尊敬篤いお国柄、入場にあたっては当然ながら非常に厳しい掟があります。
肌の露出が多い服装はアウトです。私は半ズボンしか持って来ておらず探検スタイルだったので前夜サイアム東急でジーンズを買ってきました。この気候でジーンズは辛いのですが掟とあらば仕方がない。入口付近にはスカートやズボンを貸し出す屋台のレンタル屋さんも大繁盛。
入口には兵士が着剣したライフルを持って警備しています。こんなに間近に武器を持った兵士を見たのは初めてです。しかしこれだけ毎日観光客が押し寄せるので慣れているのでしょう、アメリカ人らしき子供が二人、両脇にピタリと寄り添って記念写真を撮っても微動だにしませんでした。
タイ陸軍の制服はありがちなもので自衛隊も大差ないと思いますが、警察の制服は黒っぽくて格好良かったです。王宮の正面ゲート前には道路があるのですが、タイ式にびゅんびゅん飛ばす車やバイクを止めて観光客を横断させる警察官は兵隊さんより凛々しく見えました。日本ではこういう公的な施設の警備は警察が担当し、自衛隊が出張ることは無いので兵隊さんも新鮮な感じがしました。


◆エメラルドを守る金銀財宝◆

エメラルド寺院は王宮内にある王族の寺ですが、さすが王族の寺だけあって作りは豪華です。豪華な写真はあちこちに公開されていると思いますので見て頂くとして、撮影禁止のエメラルド仏(ご本尊)について。
この仏像はエメラルドで出来ていると思われがちですが、実際はヒスイで出来ているそうです。結構な大きさなのでエメラルドの巨大かつ均質な原石があったんだろうなと考えていましたが違っていました。
来歴は諸説あるようですが、ここに来た経緯というか出元はラオスから戦争で奪ったものであることははっきりしており、ラオスはタイに返還を求めているそうです。しかし大きな観光資源でもありシーズン毎の衣装換えが王室の重要な行事になるまで根付いているものは簡単には返還できないですね。さすがの微笑みの国もいざという時はやるようで、隣国とは色々あるようです。
この「エメラルド」仏が鎮座する建物は土足禁止、脱帽、跪かなければなりません。前述のイスラム圏の方々は入口に佇んで見ています。当然ながら今の私は藁にもすがる心境ですので念入りに心から健康回復を祈念して来ました(^^;
しかしこの煌びやかさはどうでしょう。ご本尊よりも周囲の建築、仏像、貴金属のほうがはるかに価値がありそうですが、金には換算できないものを守っているわけで、発想の次元が違うのでしょう。


◆仏教の素顔◆

エメラルド寺院は広大な規模と多くの煌びやかな建造物で構成されており、とても文章や写真で全貌をお伝えすることが出来ません。仏教文化にご興味がおありの方はぜひご自分でご覧になることをお勧めします。
限られた時間で私が感じたのは、発祥の地に近いほど仏像が戦闘モードに近くなるということでした。京都や奈良で公開されている仏像の顔は慈悲の心を精緻な技術で表現したもので、阿修羅でさえ優雅さを感じさせます。こちらはこの通り。
この仏が何という名前か知りませんが、荒々しい、まさに門番という表情です。剣に手をかける姿も力強く、原色を多用した姿と相まってとてもエキゾチックな印象を受けます。
最近のモロモロで生と死を深く考える事も多々ありますが、意外に生と死の境目の無いアッケラカンとした姿が仏教の素顔ではないか、と思うようになりました。全然意味が伝わらないと思いますが、生きているものすべて仏、死ねば本物の仏で、ただそれだけの事。
機会があればぜひインドにも行ってみたいと思います。その前に即身仏になりそうな気もしますが、水草調べるよりガンジスに流される生の終わりを一目見たほうが得るものが多いような気がしてきました。今回も周辺の湖沼に調査に行けない日程でもなかったのですが(バンコク観光を犠牲にすれば)心から「お寺を見たい」と思ったほどなので、大病潜り抜けて価値観が変わったのかも知れません。単に植物に飽きただけかも知れませんが(爆)。


◆最後の1枚◆

もっと滞在したかったバンコクもこれで終わり。明朝4:30というゴルフか釣り並みの時間に起きて日本に帰らなければなりません。
マレーシア、イタリア、スペイン、アメリカそれぞれ魅力的な国で多くの出会いもありましたが、タイほど心に沁みた国はありませんでした。弱っているところに多くの方が親切にしてくれたという事もありますが、たぶんこの国の様々な場所で見せてくれた人々の笑顔がそう思わせてくれるのでしょう。
今回は小型バックにレンズ2本と一緒にブチ込めるように軽量小型のKissDigital Nに1GのカラのCFを入れて持って行きましたが、最後の1枚まで撮りきりました。その最後の1枚は顔を覚えてくれて体調を気遣ってくれ様々な無理をきいてくれたバンコクのホテルのベルボーイと子供達を一緒に写しました。もちろん公開しません。
タイ人特有の引き込まれるような笑顔の彼と、ややはにかんだ子供達が一緒に写った写真は数少ない私の宝として、先日父島から頂いた心のこもったお手紙と一緒にそっとしまっておきます。

(第二部バンコク編完結)
−シリーズ完結−


Bangkok,THAILAND 2006.8.17(Thu)〜8.19(Sat)
photo Canon EOS KissDigital N /Canon EF28-135mmF3.5-5.6IS USM/SIGMA17-70mmF2.8-4.5DC MACRO



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