利助おじさんの探検絵日記

【その58】ちょっと南十字星を見に 8/7,8

◆実質最後の海外家族旅行ではないかと◆


受験端境期、教育費用端境期、つまり私立中高一貫志向の我が家では下の子の受験が始まる来年までつかの間の「時間とお金がやや自由」な最後のシーズンとなりました。
と来れば夏のお楽しみは海外ですが、今回こそかねがね個人的第一希望であったカリマンタン、第二希望でベトナムと行きたいところです。しかしそれぞれ中学生、小学校高学年ともなると一人前に希望を述べるようになります。そして何も無さそうなジャングルの島やインドシナ半島はあえなく却下。我が家は立憲君主制なので「君臨すれども統治せず」。象徴たる君主が「水草が見つからねぇじゃねえか」と言っても検討の余地もありません。
次善の策、バリ島の棚田あたりも魅力的でしたが嫁さんが「オーストラリアと大して値段が変わらない」と余計なことを言ったため子供達は「オーストラリア!」の大合唱。かくて民主主義の悪しき原則、多数決によって行先が決定しました。
そのような事情で湿地植物もたいして登場しない単なる旅行記ですが、ラムサール条約によれば干潟も環礁も立派な「湿地」。どうせ既出のタイ、マレーシアの記事も似たようなレベルなのでここに載せておきます。

湿地植物好きから写真好きに頭をシフトするとオーストラリアも悪くないのですが、その場合には当然の如く夕日に輝くエアーズロックでしょう。巨大な岩にぎりぎり近寄って超広角で、想像するだけで素晴らしいですねえ。しかしこれも「海が無い」というリゾートな理由で却下、グレートバリアリーフに決定です。エアーズロックはとりあえず老後の楽しみにして荒船山で我慢。
海で泳ぐだけなら沖縄でもグァムでも良いじゃん、と思いますが・・いや、大竹海岸でも阿字ヶ浦でも(茨城県の水が綺麗な海水浴場)良いと思うのですが、思ったことをそのまま口にしないのが家庭の平和を守る道。

◆原油高による予想外の痛手が◆


マレーシアやタイの旅行時は、格安ツアーにありがちですが香港やらバンコックやらでのトランジットが将棋名人戦の持ち時間程もあってうんざりしましたが、さすが他に寄りようもないオーストラリア、非常にストレスの無いカンタス航空ケアンズへの直行便です。
前回のタイはタイ航空でANAのマイレージが溜まる(スターアライアンス)ことに驚きましたが、さらに同じ飛行機なのにカンタス航空とJALが座席を分ける(コードシェア便)という奇妙なものもあるそうです。そのカンタスは2008年12月にジェットスターという子会社に統合するそうで、競争と競合が入り乱れた大変な時代になったもんですね。
大変な時代と言えば旅行代金に含まれない空港使用料やオイルサーチャージ(燃油特別付加運賃)にも困ったもので、家族旅行ともなると一人ずつ取られますので意外な所でダメージを喰らいます。「両方頂きません!」と力強く宣言する旅行社の料金をみればその分高いやんけ、とどちらにしても逃れることは出来ません。
今回も旅行契約後に連絡があり「オイルサーチャージは56,000円に決まりました」と聞いたときには真剣にキャンセルも検討しました。4人分で224,000円ですよ、旅行代金以外に。原油代だけならまだしもバイオ燃料だか何だかの影響で穀物から連鎖的にすべての物価が上昇、家計圧迫下ではとてもニコニコと払えるものではありません。(かと言って払わないと行けませんが^^;)

唯一の救いは申請に費用がかかると聞いていたVISAがネットで格安に取れたこと。(→ご参考)次善の防衛策、カップラーメンやレトルトの持ち込み業は「食料持込に異常に厳しい」お国柄との事で断念。この上はイタリアやマレーシアでやったように地元のスーパーでも使うしかないですね。

◆ケアンズ到着◆


成田から7.5時間、時間的に寝る以外にすることもなく目覚めれば早朝のケアンズ国際空港に到着です。日本はもちろん「真っ赤な夏」ですが南半球とは言え亜熱帯、さして変わらぬ熱気では・・・寒いじゃないの!
おまけに入国審査は聞きしに勝る厳しさ。入国審査、荷物受取の後に手荷物検査をする国も珍しい。入国カードに食べ物やら農産物加工品の持ち込みを記入する欄がありますが、ここで「うまくごまかそう」なんて気を起こすととんでもない目に合うそうです。最高罰金500万円!入国時荷物検査台でX線を見ている、下半身がお化け南瓜のようなおばさんの目は「お前は違反者だろっ」と言わんばかりにきつい目線でした。
後々話を聞くと基本は農業国なので狂牛病やら作物(特にサトウキビ)の病気持込に異様なまでに神経質なのだそうです。入国カードには「土の付いたスポーツ用品」なんてのもチェック項目にありました。交通ルール、喫煙マナー、治安、動植物保護、ラテン系の血が一切通用しない厳格さで国が運営されているようです。

さてケアンズというと近代的な観光都市で目前にグレートバリアリーフが広がり典型的なリゾート、というイメージでしたがリゾート以外はすべてはずれでした。ケアンズは人口18万程度の田舎町、中心部は1時間散歩するとほぼ全容が分かります。道路は平安京状態なので迷う余地もなし。高い建物もほとんど無い「空の広い町」でした。おまけに町の海浜は珊瑚礁ではなくほぼ全域が干潟で海水浴は不可能です。
有名なグレートバリアリーフは町から船で30kmないし50km沖合いに船で行くことになります。リゾートなのに泳げないのはまずいだろ、ってことで画像のプールが出来たそうですが利用はしない方が良い、という話でした。主な利用客はアボリジニで、用途は水浴と排泄だそうです(汗)

◆物価高っ!◆


亜熱帯とは言え、真冬のケアンズ。日中は27,8度程度にはなりますがまったく湿気が無く汗が出ません。水分補給も頻繁には必要ありませんが、ペットボトルの価格を見てびっくり、1本3ドル以上です。(滞在時1ドル103〜6円)
ホテルはコンドミニアムでオーブンも付いていたのでスーパーに噂のオージービーフを見に行ってさらに驚き。日本の倍以上です。(日本というか近所のスーパーの「オージービーフ」が本物と仮定して)現在オーストラリアはインフレバブル真っ最中で銀行金利も定期で8%以上だそうです。外貨預金には最適かも。

早朝の到着後、市内観光まで時間があったのでマクドナルドで朝食をとりましたが、日本の朝マックとほぼ同一内容にも関わらずここも約1.5倍見当でした。これまでタイやマレーシアなど東南アジアが続いていたせいか、そこはかとない閉塞感、具体的に言うと「手も足も出ない感」を感じました。
ガイドには日本人が多く、日本語表示も多いので英語が苦手な人でも安心ですが、言葉以前に経済状態が心配になりますね。最近は何でも高いなぁと思っていた国から来て物価高に驚かされるとは思いませんでした。

もう一つ「へっ?」と思ったのは信号で、歩行者側はすべて押しボタン、つまり車道が青になっても、誰もボタンを押さなければ同一方向の歩道は赤のままなのです。かなりでかい大雑把なボタンを押すと「ポン!ポコポコ・・」と音がして青になりますが、半分も渡らないうちに赤点滅になります。この赤点滅は結構時間が長いのでそのまま渡れますが、最初は焦りました。運転マナーが良い国なので、日本のようにクラクションを鳴らしたり罵声を浴びせたりということはありませんので焦る必要はないのですが、でかい国なのに思わぬ所がせっかちで驚かされます。
とは言え。信号付交差点は基本的に歩行者の多い市内中心部だけです。郊外の交差点はラウンドアバウトというロータリーで、各方面からの道路が中心の円に交わるような形です。基本左向き進入、ラウンドアバウトに先に入っている車が優先です。左側通行右ハンドル、日本の運転免許でOKなのでレンタカーでもリーズナブルですが、日本人の運転が滅茶苦茶に思えるほどマナーが良いので止めといた方が無難ですね。

◆水草とのファーストコンタクト◆


ケアンズ市内観光中、とある湖水の公園で休憩となりましたが、湖底にはマツバイに似て非なる水生植物が生えていました。水草との出会いは今回意外とあって、ホシクサやデンジソウも見ることが出来ました。今更ですがサイトの主旨に合わせて(笑)どこかで独立させて語りたいと思います。
当然のようにこの湖水にもフレッシュウォータークロコダイルが居るそうで、2m程度がMAXのこやつは人を襲うことはまず無いそうなので安心でしたが、結構気になりました。水草を観察していてワニが気になったのは初めてでしたが貴重な経験でしたね(汗)。
ちなみにオーストラリアは動植物は生死に関わらず一切持ち出しが出来ません。魅力的な水草も多かったのですがそのようなわけで今回も土産はなし、です。成田ははっきり言えば麻薬や武器以外はザルなのでオーストラリアを出国すれば何とかなるでしょうが、見つかれば500万、厳罰が待っています。
輸出も簡単に許可が降りるような雰囲気でもなし、現在日本に出回っている何たらsp.オーストラリアなんてのは相当きな臭いですねぇ。君子危うきに近寄らず、という言葉もありますので心当たりがある方は自重して下さい。

ケアンズは元々巨大なマングローブ林を切り開いた港で、現在も空港周辺はマングローブが中心の大湿地となっています。時々ニュースでワニがタクシーに激突した、なんてのが流れるそうです。
ワニだけではなく市内には野生動物が豊富で、熱帯の色鮮やかな鳥達、爬虫類、コウモリが普通に見られます。噂のソルトウォータークロコダイルの野生は見ることが出来ませんでしたが、市の中心街前の干潟で翼を休めるペリカン、街路樹にぶら下がるフルーツバットなどは普通に見ることが出来ました。(下画像)


◆引き回しツアー◆


朝食後、再集合したツアーのセンターからちょっとメル・ギブソンに似た感じのオーストラリア人のドライバーが運転するバスで市内半日観光に引き回されました(笑)。
はじめてのケアンズなので色々案内して下さるツアーコースは反対ではありませんが、それぞれ滞在時間が短く、とりあえず見てください、そして最後は提携土産物店で買い物して下さいね、というツアーにありがちな落ちなのが分かっているだけにあえて「引き回し」と呼ばせていただきました。

引き回しの刑でも見所はあって写真は桟橋からのリゾートですが、これで海がマッディーじゃなければなぁ、と思うほどのロケーションでした。同じケアンズでもこうした岬に近い場所は「本物のリゾート」で端の方にはキャンピングカーのスペースなどもありますが、基本は欧米人の本物の金持ちが別荘やコンドミニアムでリゾートする場所です。安っぽい土産物店はありませんし、旅行に来て海岸に近い木陰で読書する方々向けです。我が家の嫁さんが娘に「折角旅行に来たのに何で本なんか読んでいるの!」と叱るギリギリの経済状態の発想とは根本的に違うのです。
市内中心部では日本人、欧米人でもどことなく素朴なニュージーランド人、そして少数の韓国人、中国人(台湾)が旅行者の構成ですが、どこに行っても格差はありますねぇ。

◆コアラを抱っこ(笑)◆


ありがちツアーのメインは「コアラを抱っこ、記念写真」。もちろん個人的にはどうでも良いのですが、子供には嬉しい・・・んでしょうねぇ。
どこにでも居るカンガルーやワラビーと違って野生のコアラはまず見ることが出来ない希少生物です。抱っこする価値があるような無いような(笑)
コアラは1日20時間以上は寝ているそうですが、寝ている理由は「無駄な体力を使わない」。しかしいざ走るとなると時速20〜30kmは出せるようなので、早い話怠け者ですね。餌のユーカリの葉にはアルコール分が含まれており起きている時間も酔っ払いだそうです。
雄のコアラを抱っこして「可愛い」と騒いでいるお姉さん方は、人間に例えてみれば酔っ払いのおっさんを抱っこしているようなもの。見かけに騙されてはいけない、ってことですね。

意外な事に、というか予想通りというか、ロッテの「コアラのマーチ」はコアラ保護の基金を出しているそうで、森永チョコボールが続けているベルマークと並んで目立たない快挙ですね。

◆お約束◆


オーストラリアの新国旗の候補にも上がり、カンタス航空のマークにも使われているシンボル、カンガルーです。オーストラリアと言えばこいつでしょう。
とにかくちょっと田舎に行けばどこにでも居ます。それもそのはず、この国では人口2000万、牛5000万頭に対し1億以上居るそうです。一説には一番必要のない生き物だそうです。なにしろ果樹園、畑、芝生、どこでも入り込み食い荒らします。
それじゃ逆に食ってやれ、ということで肉も出回っていますが食感がビーフやポークに比べてやや落ちるということで人気薄のようです。どこかの国の歪んだ「可愛そう」とか「残酷」という素っ頓狂な理由ではないようですが。

ちなみに私は食いました。悪くなかったのですが、一緒に出てきたクロコダイルが旨くて印象に残りませんでした(笑)。滞在中に蟻も2種類獲って食いましたがなかなか旨かったですね。マレーシアの屋台やタイのナンプラーも好きですが、しょせん普通の食い物、ワニやアリを食ってはじめて悪食上人の面目なわけですな。
カンガルーは獣肉、先住民アボリジニも狩猟用ブーメランで獲って食っていたわけで、猪や鹿みたいなもの、オーストラリアに旅行される方にはお奨めです。だってオージービーフが高いですしね(悲)。

◆クロコダイル◆


で、その美味なワニ君。クロコダイル・ダンディー(映画)の印象から、水辺を覗けばガブリとやられる、というイメージでしたが「居る」というわりにはお目にかかれません。これは動物園のワニですが、かなり長距離の両岸マングローブの川下りでも見ることが出来ませんでした。
クロコダイルは2種類いて、淡水性のフレシュウォーター・クロコダイルと汽水性のソルトウォーター・クロコダイル、前者が2m程度なのに対し、後者は5mにまで育ち人食いになるそうです。前述のケアンズ国際空港周辺はマングローブ林、つまり塩湿地ですので後者が居ります。周辺を絶対に歩かないように、と注意もありましたが普通は歩く用事も必要もないでしょう。マングローブは市内各所、ホテル脇の水路にもありましたので珍しい植物というわけでもありませんし。

恐れられ、食用にもされているわりにワニ製品に付いては非常に厳しい制限がかけられています。免税店で買ったのでOK!というわけにはいきません。ワニ皮のバックなんぞ買おうものなら出国時に税関でひと悶着ありそうです。
DutyFreeがFreeではないのもこの国の特徴で、免税品は封印し販売店のタグを付けておかなければなりません。このタグを税関で回収してはじめて(要するに出国してはじめて)買い物を眺められるというわけ。とにかく持ち込み持ち出しが厳しく、これも罰金が最高額500万円。居住する日本人の言葉を借りれば「何でも罰金の国」がオーストラリアのもう一つの顔です。

ちょっと余計なことを書いておきますが、この国の自然物に対する規制や考え方を見るにつけ、日本のやり方はよく言えば性善説、悪く言えばザルで水を掬うような方法に思えます。これは自然保護のみならず喫煙や交通ルールなど社会全般に及んでいる思想ですが、ガイドラインを決めたら逸脱に対して高額の罰金、というシンプルな方式がいかに効果をあげるかという好例ではないかと思います。

◆人が降る注意◆


この頃から「引き回しの刑」に相当飽き、どうでも良くなって来ましたがこれで最後だと言うので我慢して名物のバンジージャンプへ向いました。
この標識はたぶんギャグだと思いますが同行の方々には結構受けていました。遠目には山ヒルでも降ってくるように見えましたが、ギャグセンスに乏しい国で見つけた僅かな微笑み。

ここで料金を払えば体験できる、と説明がありぜひやってみようという気持ちと35ドルの料金の狭間で・・というか嫁さんの決済が降りるかどうか悩んでいるうちに他の方が手を上げてしまいました。
普通こんなのやるか?!」ということは大好きなのですが二番煎じはイヤなのですっぱり諦めました。手をあげた方が足がすくんで出来なかったらおもむろに、と格好良く考えていましたが見事に飛びやがりました。
似たようなアトラクションの経験がありますが、腰からサポートするハーネスで意外と衝撃が少なく爽快感>恐怖感、です。保線状態や錆びの浮き具合など日本の基準では「こりゃダメだろ」と思われるスカイレールやキュランダ鉄道の方が余程恐いような気もします。

前夜カンタス早朝着便での睡眠不足と引き回し観光での疲れもピークとなり、ようやく解散、昼飯後チェックインとなりました。
昼飯は何が旨いか旅行社の方に聞いたところ、さすが元連邦、イギリス流のフィッシュ&ティップスが「ケアンズの普通の昼飯」との事で試してみることにしました。
もちろんこうした料理は観光客向けではなく地元向けの店の方が安価かつ旨いのが定石なので地元の方に聞いて店を選びランチメニューを頂きました。「地元の店は英語しか通じませんよ」というアドバイスを聞き流し、というかこの程度の料理を注文するのに英語もへったくれも無いわけですが、それよりも周囲に日本人がいない方が「旅行に来ている感」が増すというもの。

出てきたフィッシュ&ティップスは下画像の通り。巨大な白身魚フライが2本、大量のポテトの下敷きに鎮座しサラダが付け合わされた洗面器のような大きさの皿で、物価高に驚かされたケアンズ滞在中唯一割安感を感じられたものでした。約7ドル、お奨めです。カロリーも巨大だと思いますが。
こうして実質1日の初日、2日目が終了。この頃から忘れたはずの花粉症の症状が出てきました。ケアンズでは半端な数ではないサトウキビの開花時期であり、悩まされる人も少なくない、という話でした。これもご当地の味のうちか。




Cairns,Queensland,Australia 2008.8.7(Thu)〜8.13(Wed)
photo Canon EOS40D SIGMA 17-70mmF2.8-4.5 MACRO/Canon EF-S10-22mm3.5-4.5USM


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