利助おじさんの探検絵日記

【その62】ちょっと南十字星を見に 8/12,13

◆再びマリーバへ◆


いよいよ実質最終日。夜行性動物ツアーということで午後の出発です。午前中はゆっくり起き出し、シャトルバスで市内に土産を買いに行ったりホテル内を散策したりでまったりしました。

この日のオプショナルツアーは日本系の「どきどきツアーズ」でしたが、今回の様々なツアーのなかで最も満足できるものでした。
明るい日本人スタッフが多い、という理由以外に「良く考えられている」という点が大きいと思います。演出やトークも絶妙でしたが、それはまた後半。この日のドライバーはオーストラリア人のブレット、彼がまたシャレの分かる気配りが出来るナイスガイで、これまた後半に出てくるフクロウなどを発見し撮影のためにバスを止めてくれたりしました。

バスがマリーバに近づくにつれ画像のような標識が度々出てきます。このあたりは一般道ですが制限速度は80kmと100km。向かう道々カンガルーの轢死体を3〜4匹見ましたが、このスピードでいきなり飛び出されたら避けようがないですね。
オーストラリアのドライバーはきっちり制限速度を守るようで、日本の感覚で80km制限なら軽く120〜130kmは出してしまいますが(高速道路がまさにこれですね)、違反の罰金が高額なのと取り立てが厳しいという事情が理由になっているのかも知れません。ある方の旅行記で読んだ話では、レンタカーでスピード違反をしたのがカメラで記録されており、忘れた頃に相当高額な罰金の納付命令が来た、という話がありました。対向車も少なく渋滞の無い快適な道路なのでつい、という気は分かりますがレンタカーで移動する場合には注意、ですね。
ちなみにスピードのみならず、細い路から幹線に左折合流する際なども、右から車が来れば100mほど距離があっても待っています。少しの間隔があればさっくり入る日本の常識は通用しないようです。

途中の名所、巨大蟻塚で休憩。予想に反し意外と硬く岩石のようでした。で「アボリジニはこの蟻も食う」という話を聞けば食ってみたくなるのが人情(俺だけ?^^;)。ブレットが棒に取ってくれた数匹を試してみましたが、グリーンアントのジュシーな味わいとは異なりビターでした。食べた後にガイドのMakikoから「蟻よりもゴキブリに近いんですよね」とボソッと一言ありましたが、ゴキでもタガメでも抵抗の無い史前帰化種のワタクシはまったく平気なのでした。


◆ロックワラビー◆


お次は「気まぐれロックワラビー」。これも珍獣ですが保護されて若干数を増やしつつあるそうです。気まぐれなのは気候天候によって姿を見せないことがある、という理由で何と前日の同ツアーでは観光客30人に対し出現が2匹だったそうです。ここでは餌付けされており、餌をやったり一緒に記念写真も撮れますが、2匹では如何ともし難いなぁと考えていると、この日はいたるところに居りました。
お陰さまでお腹の袋から顔を出した赤ちゃんともども子供達の記念写真も撮れて大満足、一緒に参加された別家族の方が「グリーン島に3日いて全部雨だった」という話を聞くにつれ、我が家行く先々では好天はもちろん、普段見られない動物も次々と現れ、さらにアンラッキーがより大きなラッキー(Hot Airの双眼鏡とか)になって返ってくる幸運の連続を普段信じていない神に感謝するのでありました。

この近辺にはかなり前に日本でブームになったエリマキトカゲも居るという話でしたが、主催者サイドに「探そう」という姿勢が希薄だったので滅多に見られるものでは無かったのでしょう(笑)。こんなものまで見られてしまう幸運に恵まれたら帰りの飛行機が心配になるところでした。どこかでお釣を払わなければならないかも知れませんしね。

◆高原の風景◆


テーブルランドの土壌は赤土、山林と畑、所々点在する農家と低山という牧歌的な風景が延々と続きます。旱魃で有名なオーストラリアでもこのクイーンズランド州は降雨が多く、いまだに水道代は無料だそうです。
畑の灌漑施設も大規模なもので、車輪の付いた長いスプリンクラーが畑全体に水を撒けるようになっています。北海道や長野県の高地のような大規模農業地帯で気持ちが良いのですが、日本と異なるのは毒蛇大蛇がうようよ居ること(汗)。話によれば5mほどの業物も出没するようで蛇の苦手な私には農家は出来そうもありません^^;

国土に比べて人口の少ないオーストラリアは移民の受入に熱心で、ホテルのポーターはサモアかニューギニアか、明らかに非英語圏の人種が多く、この程度の英語で移民許可が出るなら(簡単な英語力のテストはあるそうです)行けるな、と思いました。
ただマレーシアやタイのように年金だけで生活できるほど甘い物価水準ではないのが弱点ですね。私的により大きな弱点はこれだけ水場や水草に恵まれているのにワニやら大蛇やら爬虫類系のシケインがあること、ですねぇ。

付近には縦横に巡らされたサトウキビ列車の線路、カラフルな蒸気機関車もありました。(すべてバス車窓から)


◆ウェットランド風景◆


メインの夜行性動物観察ポイントに近づきつつありましたが、とある湖水の辺で休憩。アサートンテーブルランドにはこうした湖水やクリークが無数にあり、そのうち大規模な湿地帯がマリーバ・ウェットランドです。今回は残念ながら訪問できませんでしたが、名も無い野池や細流での水草の豊富さから推すに、天国のような環境なのでしょうね。
こうした小規模な湖沼にもそこそこ水草があり、珍しいところでは日本のアカウキクサに似た、三角形のウキクサがありました。ニムファはどこにでもあって一々言及するのがアホらしいほど。

傍らに立っていたブレットに「ここにクロコダイルはいるかい?」と聞いてみたところ、「足を出して確かめてみたら」と言われたので「お先にどうぞ」と返してやりました。(やりとりは英語)
ブレットは日本語が達者ですが、英語で話しかければ英語で返してくれます。格好付けたわけではなく、滞在中は極力英語を使うようにしていたのです。なにしろ英語力という奴は錆びる、錆びる。今回勘が戻ってきたのは到着後2〜3日経ってからで、年々遅くなるような気がします。(まっ歳のせいでしょうね)
考えて見ればレストランのオーダーや税関など事務的なやりとりは別として、ずっと非英語圏の方々と話していたような気もします。ネィティブのブレットと会話したのはひょっとしてペナンのホテルでアメリカ人と会話して以来かも。

◆珍獣中の珍獣登場◆


ラッキー続きの極め付き。オーストラリア人でも8割以上は実物を見たことが無いとされる、珍獣中の珍獣、カモノハシです。複数匹の水面遊泳を見ることが出来ました。
さすがに今回携帯の最長焦点距離70mmでは歯が立たず、切り出し画像です。しかもISO1600。このシチュエーションではテレ端300mmズームでもF6.3がネックでどうしようも無かったと思いますが、嫁さんが撮っていたビデオでは綺麗に写っていました。サンニッパなんてのがあればベストですが、そのレンズの値段で今回の旅行2〜3回分。迷うことなく後者を選びますね。
カモノハシは川面のあちこちで数秒間浮いて沈む、を繰り返していましたが、この日の密度は異例だったようで、ここでもツキに恵まれました。
今更ですが、ケアンズ中心街前干潟のペリカンと言い、このカモノハシと言い、懐の深さを感じる自然です。ただ広くて手付かずの環境が多い、という理由以上に共存が上手く行っているのでしょう。必要以上にも感じる規制や罰則は僅かに残った日本の自然にも必要かも、と考えさせられるのでした。

まぁとりあえず「それなりに」カモノハシも撮れたので植物を見ていると見たこともない湿地性のシソ科の植物や非常に綺麗なタデが見つかりました。これらは「水草編」で御紹介いたします。

◆ワニ肉やらカンガルー肉やら紅茶やら◆


ツアーのラスト、キャンプ場でのバーベキューですが、メインディッシュのオージービーフの前にオードブルで2種類の肉が出てきました。オードブルで肉かい!?と思いましたが、これが噂のカンガルー肉(赤身)とクロコダイル肉(白身)で、やや引き気味の日本人諸兄を尻目に美味しく頂きました。
特にクロコダイルは絶品で「クセの無い鶏肉」といった趣。あまりに旨く、食うのに夢中で写真を忘れました。バーベキューでワイワイやっていると匂いに釣られて傍らのジャングルからワラビーやらポッサムやら野生動物が驚くほど近くに接近してきます。スタッフが餌をやると逃げるそぶりもなく食っていました。

食事後、オーストラリア式の紅茶ということでガイドのFUSA氏がバケツに熱湯と茶葉をぶち込み、ぐるぐると回して淹れてくれました。
彼をはじめ、今回意外に多くの日本人がケアンズで働いていることを知りましたが、みんな若くポジティブである印象を受けました。就職難で国内でしょうもないことをするより、国際感覚や語学が磨けるこういう道も素敵ですね。
ガイドと言えば我々のバスに付いてくれたMakikoさんは、トロい家の娘がジャングルで「ちょっと待っての木」に捕獲されてしまったのを、「ちょっと待って」と言いながら素手で助けてくれ、棘で手を負傷してしまいました。ありがとうございました。

ケアンズへの帰途、ブレットが野ウサギやフクロウを見つけるたびにバスを止め、写真を撮ることが出来ました。FUSA氏やMakikoさん、ブレットのようなキャストによって居心地の良い印象深いツアーが出来たと思います。本当にお奨めですね。
帰路、すっかり暗闇となった蟻塚に駐車、南十字星を見ていない方々のためにプチ星空観察会を行いました。日本の夜空とはまったく異なる星々。やや南西、地平線寄りに5つの星があり、これが北半球では見ることが出来ないサザンクロス、南十字星です。

成田からひょいっと7時間、南十字星もそうですが、カンガルー、ワラビー、コアラ、カモノハシ、などなど。TVや写真でしか見たことがない自然がそこにありました。
そして水草、本格的シーズンに本格的な場所に行けば凄まじい種類が見られるはずです。写真も然り、未知の味覚も然り。機会があればぜひ再訪し、テーマを決めて楽しみたいと思います。

◆ファイナルビュー◆


ケアンズ国際空港を飛び立ち、しばらくするとグレートバリアリーフ(GBR)が見えてきます。様々な形の珊瑚礁、マリンブルー、白い波濤も見えます。短い滞在日程では1日しかGBRに割けませんでしたが、ここにも有名なハート形の環礁などがあり、ゆっくり楽しみたい場所です。
カンタス069が巡航高度に移り昼食が配られる頃にはパプアニューギニアの密林に蛇のようにのたうつ河川が見えて来ます。徐々に雲が濃密となり硫黄島や小笠原諸島は見えませんでした。昼食に付けたオーストラリアワインのためか、疲れのためか、一眠りして覚めれば「灼熱の国」日本。

さて、機中私が熟睡中に今回の旅行の最後の幸運が訪れていたようです。配られていたリンゴが寸前で品切れになってしまったそうで、リンゴが欲しかった嫁さんがFAに聞くと「最初から全員分ない」と怒ったような返事だったそうです。呆れて「もういい」と席に戻り暫くすると、何も言わないのにジュースや子供用の玩具やビジネスクラス用の結構なトラベルキットを持ってきてくれたり、そのたびに「ごめんなさい」と言っていたそうです。リンゴ1個の不運がより大きなラッキーで返ってくる、なんだか今回の旅行を象徴するかのような締め、でした。

てことで今後の我が家の家訓は「災い転じて福となす」で。


Cairns,Queensland,Australia 2008.8.7(Thu)〜8.13(Wed)
photo Canon EOS40D SIGMA 17-70mmF2.8-4.5 MACRO/Canon EF-S10-22mmF3.5-4.5USM


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