利助おじさんの探検絵日記

【その7】悪食探検隊冬の陣


◆寒いのを我慢して歩くには訳がある◆


夏の水生植物の賑わいはどこへやら、水が落とされ耕起された冬の水田には植物の姿は見当たりません。でも畦道に目を転じれば意外に可憐な雑草の花が開花し、この時期も魅力的なフィールドであることに気が付きます。
水色のオオイヌノフグリ、紫色のホトケノザ、白いタネツケバナが霜に痛めつけられながら開花しています。早くもノジスミレも新芽を伸ばしてきました。春の七草も少し探せば揃えることが出来ます。
私は雑草も好きなので草の花の色別にアルバムを作ってみたいですね。前作ブログ「お庭の草むしり」は限界を感じてやめてしまいましたが、余裕が出来たら雑草の花サイトでも立ち上げてみたいものです。(作って挫折^^;2006年)
冬には電線の無い水田地帯は凧揚げの格好の場所になりますし、1月には近所の「どんど焼き」もここで行われます。ゲンゲを播く水田もあります。

今回は冬の水田探検で見つけた食べられる野草の話です。栗拾いやキノコ狩はポピュラーですし、目を付けていたアケビが熟れるのが早いか、競争者に取られるのが早いかというスリルも好きですが、誰も目を向けない野草にも意外に美味しいものがあります。


◆春の七草を全部言えるかな◆


さて、どこかで書かせて頂いた通り私は相当な悪食です。出家する機会があったら悪食上人と名乗りたいぐらいです(^^;
とりあえず春の七草から。セリ、ナズナ(ペンペングサ)、ゴギョウ(ハハコグサ)、ハコベ、ホトケノザ(注)、スズナ(カブ)、スズシロ(ダイコン)が一般的ですな。もちろん異説もあって一定しませんが、最近園芸コーナーで売っている、誰が買うのか不明な「春の七草の寄せ植え」にはこのメンバーが植えられています。
悪食上人的な結論を言うとセリ、スズナ、スズシロは旨いです。(野菜なので当然)他の草はあえて食うには値しないですね。はっきり言うと不味いです。
それよりも意外なのはタネツケバナ。生食できます。アブラナ科ですがアブラナのしつこさが無く、オランダガラシの後味に近い野趣があります。近所の農家のお婆さんの話では、現代のように冷凍技術やハウスなどの育成技術が無かった頃、いよいよ野菜が無くなる時期には日常的に食用にされていたらしいです。野菜が不足すれば壊血病などの病気を引き起こしますが、まさに先人の知恵だったわけですね。

(注)七草のホトケノザは写真のものではなく、タビラコという別種を指します。


◆利助風野草食レシピ◆


さてレシピです。まずは一般の人でも食せる七草粥から。
1.土鍋に米をといで入れます。水の量はお好みで。私は固めというか普通の炊き込み風が好きなので普通に炊飯する量です。
2.ナズナ、スズナ、スズシロなど硬いものは下茹でをします。
3.中火で加熱、沸騰したら弱火でトロトロ、約45分程。
4.火を止め、七草を投入。味付けに塩を少々。15分程蒸らします。
5.お好みで永谷園のお茶漬けや鮭フレーク、ミツバ、しらすなどを乗せていただきます。

次、タネツケバナの美味しい頂き方。気のせいか料理サイトのコンテンツのようになってきたような...まぁ水田雑草つながりと言う事で(^^;
1.油炒め
油揚げと一緒に炒めます。味が異常に濃いのでご飯が進みます。
2.納豆その1
みじんに切って納豆に混ぜ込みます。
3.納豆その2
納豆を水洗いし、粘り気を取ります。同じくみじんに切ったタネツケバナと混ぜて天ぷらに揚げます。これは絶品、酒の肴にも良しです。

ついでに納豆についてひとくさり。(いや元々腐ってますけどね)
納豆の起源は八幡太郎義家が前九年の役か後三年の役で奥州遠征の際、茨城県通過中に食料の大豆が自然発酵したので喰ってみたら旨かった=定着という説と弥生時代にすでに自然発生的に存在していたという説があります。
どちらにしても我が茨城県では欠かすことの出来ない食材となっています。イタリア人のパスタ、韓国人のキムチ並みです。県民は子供の頃から喰わされていますのでまったく抵抗なく食べています。よく関西の方が苦手だという話を聞きますが、こんな健康に良いものが食べられないとは何とももったいないお話ですね。(優越感)


◆納豆本拠地◆

納豆メーカーは全国に700社前後あり、意外なことに「食わない」と言われている近畿地方各府県や沖縄にまであります。もちろん我が茨城県は本拠地ですので60社以上がひしめいております。
本場本拠地伝統の地で有名なのは、
おかめ納豆 タカノフフーズ株式会社 本社所在地 小美玉市
元祖天狗納豆 有限会社天狗納豆 本社所在地 水戸市
くめ納豆 くめクオリティプロダクツ株式会社 本社所在地 常陸太田市
有機納豆 アイザワ食品株式会社 本社所在地 取手市
水戸天狗納豆 株式会社笹沼五郎商店 本社所在地 水戸市
ってところです。他にも有名メーカー目白押し。各社微妙に味が異なる納豆天国です。

単なる納豆に留まらず、我が郷土にはそぼろ納豆、干し納豆などの逸品バリエーションがあります。そぼろは切干大根が入っているのが食感が良くて美味しいですね。以前大阪出張の際に寿司屋に連れて行かれて納豆巻を食いましたが納豆が完全に古くなっていました。いかに悪食でもビンテージ納豆は困るなぁと、親父に言ったところ、

「お客さん、納豆は元々腐ってまっしゃろ」

とご教授賜りました。タコ焼きやお好み焼きをご飯のおかずにする野蛮人に言われたかねぇなと思いましたが大人なので黙って食いました(汗)。念のため言っておきますが、ワインやチーズなど文化のかほりが漂う食品は発酵食品が多いのだよ。文化人は黙って納豆を食うのだ!ってことで。

◆風雲録◆


出来ればこんなことは書きたくありませんでしたが、結果的に我らが郷土の名産品をコケにされた状況なので少し鞭打っておきます。
2007年1月7日に放映されたTV番組で納豆がダイエットに効くという内容のお話があり、一時的にスーパー店頭から納豆が姿を消しました。その後この話は真っ赤な偽物というかガセだったことが分かったわけですが・・・。
地元市内にも何社かありますが、納豆のメーカーは中小なのです。この番組の効果で受注が急増し一時的にお祭り状態になりましたが、捏造だったおかげですぐに沈静化しました。問題は受注を受けて増産した製品は「在庫」できないということなのです。
「お約束ですから仕入れて頂けますよね」これは通用しません。力関係です。中小の製造業が大手のスーパーに食い込むのは想像以上の苦労があります。この台詞を言えばすぐに他社に切り替えられてしまいます。かくして受注キャンセルの電話一本、FAX一枚で徹夜で作った製品の山は廃棄です。

茨城県人の気風は概して「信じやすい」。地味な食品のブームが来て嬉しくなった生産者は多数居たはずです。永久に続かなくても何ヶ月かブームが続けば新車のローンの頭金ができるかも、と考えた方もいたと思います。それがこんな形で裏切られるとは、下手に喜ばされた後、生産を増やした後だけに尚更悲惨です。ダイエットなんざしなくても私のように病気すれば痩せますぜ。それに元々納豆は健康食品なんだからブームなんざ関係なしに一家で食いますとも。がんばれ地元業者。



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