湿 地 の 基 礎 知 識


探検のお道具総合版


〜湿地探検道具のご紹介〜



精神論編


序文に代えて


湿地に踏み込んで動植物を採集するズブズブ。この呼称はどこから始まったのでしょうか。おそらくニフティーの水辺フォーラムあたりからではなかったかと思います。当時は私の興味はひたすらダッチアクアリウムだったので参加もしておらず、記憶が定かではありませんが。「湿地や泥濘に獲物を求めて踏み込んだ際の擬音」説が有力ですね。
ただし何でもかんでもズブズブという音がすれば良いというものではありません。そうなると湿地や泥濘に踏み込む方がすべてズブラーとなってしまいます。かの高名な加藤芳郎..もとい野口英世のご母堂が家計を支えるために猪苗代湖でエビを採っていたことも、ムツゴロウ漁の方々も全部ズブズブになってしまいます。
単なる遊び、趣味でズブズブする我々は、遊ぶという権利の裏に遊びで自然に踏み込むが故の義務があるのです。(話が難しくなってきたぞ)その辺を踏まえてズブズブを定義すると次のように表現できると思います。

【ズブズブの定義】
湿地や泥濘で魚類、両生類、爬虫類、昆虫類、甲殻類、軟体動物その他生物や植物を捕獲する趣味。踏み込んだ際に足元がのめり込む様、発する音から命名された。もう一つの意味は、残された僅かな自然を楽しませて頂くために、自分がどう振舞えるか、僅かな群落しか無い希少な植物を採集するかどうかの判断、ゴミを放棄していないか、踏み固めなど環境に影響を与える場所に入っていないか、色々な価値観が心にズブズブ入ってくる様を表現する。

最重要の持ち物、持って行く心


自然を慈しむ心を「持って行く」、こんな事はここで改めて言うまでもないことですが、動植物を家に「持って行く」、これは微妙ですね。
国立公園や採集禁止の場所なら話は簡単ですが、縛りの無い場所での行動は自分自身の良心に任されてしまいます。私はと言えば、欲しい動植物については、ショボい群落や個体数なら採集しない、と決めていますがこれは多分に感覚的なものですね。
縛りの無い場所(もちろん採集についてのみ)、例えば近所の水田・ため池・用水路を考えてみるとすでに何度か他の記事で触れたように「二次的自然」として認識されます。自然再生の理論的支柱、東大の鷲谷先生によれば「立派なウェットランド」です。美しい棚田を世界遺産に、という声もありますが決して突飛な発想ではなく、イギリスの湖水地方など本来農業地帯の自然環境でも景観を維持する努力が成されれば立派に人類の共有財産となります。
鷲谷先生は著書で、日本から海外への観光客が海外から日本に来る観光客の3倍という事実を上げておられ、ロンドンは観光に値するが東京は仕方なく仕事で訪れる外国人が多い、とも仰っておられますが全く同感です。人間が作ったものであろうと保全され手入れされているものは見る価値があります。私自身もバルセロナで見たガウディ設計のグエル公園は再訪したいと思いますが、新宿公園は行きたくもありません。日本人のみならず現状を見れば外国人も同様に考えるでしょう。
どんな場所でも保全について意識を持たなければならない、採集については深く考える必要があると思います。もちろん蔓延っている水田雑草等は別として。

置いて行く心


「置いて行く心」これも様々な側面があります。第一に自然環境にゴミを置いて行く貧しい心。水鳥がテグスに絡まれ命を落す場面などが象徴的に語られますが、水辺には実に様々なゴミがあります。
私から見た不思議な現象として、尾瀬や戦場ヶ原など有名な湿地、観光地では訪れる人数が圧倒的に多いにもかかわらずゴミが落ちていません。もちろん例外はあって場所をわきまえずゴミを投棄する馬鹿者もいます。しかし、身近な湿地環境である近所のため池や自然湖沼では「こんなものまで」と思うゴミが落ちています。近所で見られる例では盗難車と思われる乗り捨てた自転車、エアコンの室外機など・・・。林のなかには放棄された乗用車も見られます。「禁止」というタガが外れると何でも出来てしまう国民なのでしょう。悲しい事です。
第二に自然に生きる動植物を「置いて行く心」。趣旨の大半は前項で書きましたが、もう一点「枯れた心」の域に達しなければならない、ということですね。要するに持って帰っても育成や飼育で苦労したり枯らしたり死なせたりして心を痛めるよりも見たければまた来れば良い、という心です。私は写真という趣味があり、画像に収めれば目的の大半は達成してしまうのでそう思うのかも知れません。

フィールドを歩いて見れば自然環境の荒廃によって湿地の生き物が本当に追い詰められた状態であることが理解出来ると思います。この事を念頭に湿地探検を楽しんで頂ければこれに勝る喜びはありません。


探検のお道具本編



フットギア


足元定かならぬ湿地泥濘の地に踏み込みますので長靴が標準装備ですが、ライトにサンダル、ヘビーにウェイダーなどの選択肢もあります。それぞれ一長一短ありますので、目的に合わせて選びます。

お道具 メリット デメリット
長靴 泥濘、湿地、浅水域に活躍する万能選手 重いので持ち運びにやや難あり
サンダル 運搬、装着、清掃すべて手軽に出来る軽量級王者 水中泥濘中のガラス片、金属片、吸血虫類に対して無防備
ウェイダー 完全防備、水深部に踏み込める強力なツール とにかく重い。電車+徒歩のズブズブでは利用困難



ファーストエイド・携帯電話


何があるか分からないのが自然。切り傷、擦り傷、虫その他諸々。ファーストエイドは必ず常備しましょう。お奨めは防虫スプレー、バンドエイド、消毒剤(マキロンなどのスプレータイプ)。小さな傷でも必ず消毒。アウトドアには破傷風菌など大きな病気につながる菌がうようよいます。濡れないように一式ジプロック付きのビニール袋に収納します。余談ですがアブや水生昆虫のマツモムシに刺されると意外と痛く、痛みが長引きますのでご注意を。

スズメバチに刺されたりヤマカガシ、マムシなど毒蛇に噛まれてしまったら迷わず救急車を呼びます。その意味で携帯電話は必須です。台風の度に河川の中洲に取り残された方の救出の模様がTVで取り上げられていますが、ここまで極端でなくても湿地、水辺は危険が常在することをお忘れなく。
水辺に限らず山でも原野でも探検に出る際には家族や友人に行先を残す、というリスクマネジメントが求められます。どこに行っても管理されたクソつまらん世の中で自由を求めるには、それなりのルールと自分の身を自分で守る慎重さが必要だってことです。


ルーペ


小さな植物を観察するために必要です。歳とともに小さなものが見づらくなって大変。写真撮って拡大して初めて気が付くものもありますから。この前なんぞキクモの写真見てて片隅にアブノメが写っているのを発見してあわてて採りに行ったぐらいですから。(それは意味がやや違うか)
折りたたみ式の3倍程度のものなら百円ショップにあります。愛用品はライト付30倍の商品名「顕微鏡」(爆)とダイソーの3倍のもの。コカナダモかクロモか、なんて時に小さな葉の鋸歯の有無を確認したり、小さなトリゲモを見つけたら種子が並んでいないか、など出番は意外に多いですぞ。
田んぼのアオミドロなども30倍程度のルーペで全く違う姿を見せてくれます。それと子供の理科の教育に行くと言った手前それらしき道具は持たないと..ねぇ。(汗)


地図


田舎には道がそんなに無いので基本的には迷うようなところはありません。
しかし、時には多数の雑木林、藪、小高い丘などに囲まれた隠れ里のような古い沼や湿地などを目標にすることがあります。国土地理院の地図があれば「ほぼ完璧」。カーナビは持っていません。地図の地形と実際の地形を車を走らせながら感覚的に確認することで、何らかの能力が鍛えられるような気がしますね、負け惜しみですけど。
女房もカーナビが嫌いです。「そんなに使用頻度が高くないのでもったいない」との理由ですが、彼女が運転する時は「馴染んだ道」だけなので説得力がありません。何しろ一度走った道でもすぐに忘れてくれますので。他にも色々と忘れてくれます。麦茶を入れたポットがダイニングテーブルで留守番、なんてのはそれこそ茶飯事。昼飯のおにぎりに具を忘れられると、さすがのアウトドア調達の達人の私にも如何ともし難いものがあります。焼鮭や明太子はその辺には泳いでいませんからねぇ。
そんなときに一言「なびは無くても江戸紫」

白地図以外に地形が実写で分かるGoogleEarthが非常に便利です。特に河川湖沼を探すのに最適です。(以下リンクから無料でダウンロードできます。自分の家も上空から写真撮られて載ってました^^;)


コンパス


地形を熟知した湖沼河川湿地ではまず必要ありませんが、知らない湿地の葦原のなかで植物を探して回るような際に方向を失うことがあります。
パーソナルナビまでは必要ないと思いますが、簡単に方向が分かるコンパスがあれば便利です。ただし、滅多に使わないコンパスを単独で持っていてもイザという時にバックの底にあって取り出せないでしょう。腕時計で兼用できれば荷物も減らせて一石二鳥です。私はこんなのを使っています。
カシオのPROTREKという時計ですが、方位以外に温度、高度、気圧が測定できます。水槽に入れてもpH、GH、KH、導電率などは分かりません(汗)。
気圧が測定出来るのは便利で、天候が崩れる前には気圧の変化で察知できます。まぁ湿地歩きでは余程未開の谷地などに踏み込まなければ滅多なことで遭難はしませんが。


デジカメ


Webサイトにアップしたり画像掲示板に投稿する事を考えると、現像に出す手間が無い分、銀塩カメラより機動力があります。その場でモニターで確認して気に入らなければ撮り直し、なんて芸当も可能。
メディアも1GBあれば私のカメラで約280枚撮影出来ますので(JPEG)24枚撮りフィルム換算で約12本分。フィルムケース12個持って行く事を考えればやはり機動力でアドバンテージがあります。多少の逆光やホワイトバランスの違い程度であれば失敗写真もレタッチ可能なので、使い勝手も良いと思います。
デジカメってのはレンズ関係なし、CCDの性能だ!と長らくコンデジを愛用してきましたがマクロ撮影に限界を感じ、マクロレンズが使用出来るレンズ交換式一眼レフに移行しました。軽量機種ですが、それでも交換レンズや予備バッテリーなど結構な荷物になってしまうので、そこが弱点ですね。



カメラ関連機材 フィルター


植物が密生する湿地をかきわけて撮影を行いますので、レンズ保護の観点からもフィルターは必須です。単なる保護フィルターや紫外線カットだけのものもありますが、湿地ならではのアドバンテージが発揮できる製品もありますので目的に合せて用意しておくと良いと思います。
湿地での撮影で私が良く使用するのは、青空をより青く撮影するフィルターとして有名なPLフィルター、光量を落して水の流れを幻想的に撮影できるNDフィルター、紅葉や夕焼けなど赤を強調できるレッド・エンハンサーです。

フィルター 効果 価格帯 備考
PL 水面反射を抑え、水中の水草も撮影しやすくなる 3,500〜10,000円 AF用にはCPL(円偏光)
ND 光量を落しスローシャッターで水の流れを美しく捉えられる 1,300〜3,000円 光量を落す段階別に製品有り
レッドエンハンサー 紅葉、夕焼け、朝焼けなど自然界の赤を美しく強調 1,800〜5,000円 緑、青を強調する製品も有り


一脚


三脚は効果も大きくポピュラーですが、いくつかの理由から私は湿地・水辺ではあまり使用しません。
【機動性が低い】
撮影しようとする際に脚3本を伸ばさなければなりません。撮影が終わればまた3本たたむことに。角度の調整など以外に手間をくいます。
【重量】
移動する場所が場所なので重量は少しでも軽い方が望ましいですね。
【効果】
手ブレの大きな原因の一つにシャッター押下時の微小な上下動がありますが、一脚で十分防止できます。4〜5千円の価格帯で機能的なものが入手できます。

一脚を使用する際には丈夫なビニール袋と輪ゴムを用意しておくと便利です。脚に装着すれば足場が泥濘や水中でも汚れることがありません。また、雲台を自由度の高いものに換装すればより機動力が高くなります。
折りたたみ時に30〜40cmになるようなコンパクトタイプが1本あると本当に便利です。コンデジ派にもお勧め。


ミニ三脚


とは言え、という場合が植物撮影シーンでは多々あります。小さな植物を接写する場合には手ブレが致命的となりますし、何よりローアングルが要求されます。
各社からバレリーナや力士のように股割り出来る三脚も発売されていますが、本質的には普通の三脚なので重量がネックとなります。このようなミニタイプであれば重量のネックと足を延ばす必要もないので手間も省けてナイスです。
弱点もありまして、私の機材で言うとEOS30DにTokinaの100mmマクロを装着した状態では前にコケます(汗)。そういう意味ではEOS Kiss Digital N+EF-S60mmマクロは絶好の組み合わせですね。
この機材を使用する際にはピント合わせのためにかなり窮屈に屈む必要がありますが、上から覗けるアングルファインダーがあれば尚便利です。けっして安価なパーツではないので二の足を踏んでいますけど・・・。
とりあえず泥に膝をついて屈むために段ボールの切れ端を用意すればOKです。レジャーシートという手もありますが後で洗うのが面倒なので(^^ゞ


ワンタッチ雲台・自由雲台


フィールドではどうしても一脚や三脚を使用しなければならない場合もあります。取り付けに意外と手間を喰いますので、こういう器具があれば便利です。
ただし、案外高価な上にアタッチメント側はカメラ基部に取り付けておく必要がありますのでバッテリーの交換の際に外さなければならず、費用対効果でどんなものか、と思います。水平器も付いていますが、測量写真を撮るわけではないので必要ないですし。(付いていないものでも価格は似たようなもの)
ワンタッチ雲台以外で機動力が高いのは自由雲台。高価かつ高精度、複雑な操作のものは不要ですが、ある程度重量がありレバーひとつでカチッとホールドできるものがあるとかなり使えます。
長らくスリック社のライトなものを使っていましたが、少しヘタってきたので風景、スナップ用の一脚・三脚メーカーと同じマンフロットの486を購入しました。ホールド感は抜群でEOS30D+バッテリーグリップに135mmを付けてもビクともしません。
三脚・雲台メーカーではジッツオ(仏)、ベルボン、スリック(日)などが有名ですが、このマンフロットもイタリア製品のイメージを覆す(^^;失礼)堅牢さがあって良いと思います。余談ながら友人に何人かイタリア製の車に乗っているのが居て、メンテナンスの大変さは想像以上らしいです。その印象があったので以下略ですが、この三脚メーカーはお勧めできますね。
基本は手持ち撮影ながら、どうしても失敗したくない撮影にはこういった機材が必要です。最近では手振れ補正の機能を持つカメラやレンズも出て来ましたが、自分で使っているキヤノンのIS(レンズ)や店頭で触ってみたソニーやオリンパスのカメラの印象では過信は禁物かと思われます。特に植物のマクロ撮影では微小な風で揺れ動く被写体という壁もありますしね。

裏技ですが、水辺を中心としたフィールド写真を撮る上で便利なのが傘。水面の反射を無くし水中の水草の写真を鮮明に撮ったり、傘のネジ山が国際規格で三脚のネジと共通のため一脚、三脚代わりにも使用できます。この雲台を付けておけば自由度と機動力に優れた機材として利用できますね。もちろん雨が降ったら本来の機能を発揮(笑)。折りたたみならバックパックにも入りますし、格好にこだわらないのならお奨めです。


オールウェザーバック


基本的にはアウトドアでの使用となりますので天候の急変はもちろん、水や泥しぶきなど精密機械の大敵、水分に晒されます。使用しない場合は防水効果のある収納が必須です。私が愛用しているのは多々ありますが(カメラバックの法則、けっして満足できる品に巡りあうことはない)それぞれの特徴に合せて使い分けています。
【ミニマム級】
KDNにレンズ一本(135mmクラスまで)を装着してすっぽり入るミニショルダー。最近のお散歩の愛用品です。lowepro製、小さくてもオールウェザー。
【ライト級】
無銘の品ですが撥水機能は持っています。(ただし本格的な雨には無力)レンズを装着したカメラ1台と交換レンズ1本が入ります。近所の水辺に徒歩で行く際に利用します。お散歩用2。
【ウェルター級】
同じく無銘のものですが、基本機能は同じ。100mmクラスのレンズを装着したカメラが2台収納できます。マクロとズームを交換なしに使い分けしたい時などに利用します。風景&植物目的。
【ヘビー級】
完全防水仕様で内部の仕切りもカスタマイズ自由。カメラ2台、50mクラス2本、100mmクラス2本と、ほぼ私の全財産が収納できます。対衝撃性もある素材ですがバック自体が非常に重いのが弱点。Lowepro製(写真上)。デザイン違いがもう一つあります。

【クルーザー級(番外編)】
実はワタクシ、ご近所でも探検隊でもファッショナブルなおじさんとして有名でして、着る物は嫁さんが色やデザインは度外視、価格優先でその辺のバーゲンで買ってきたものを黙って着ております。
あまりこだわりが無いのですが、このバックは見た瞬間に気に入ってしまいました。色形がカメラバックではありません。黙っていれば中にカメラやレンズが入っているとは思えないでしょう。滅多なことでは衝動買いはしない人なのですが即座に行きました。
クランプラーというオーストラリアのメーカーですが、元は自転車メッセンジャーが自分で使うバックを作り始めたのがきっかけだそうです。流石に体にフィットします。本当は色違い(赤でインナーがライトブルー)が欲しかったのですが、オヤジが赤いバックを持っていると職務質問されそうなのでこの色にしました(汗)。
KATAというイスラエル製のバックもデザインがとんがっていてナイスです。



小型スコップ


小型のロゼットや根張りの良い植物を採集するのに便利です。これが無いと「ひきぬきにくい..グキッ」と舌を噛んで血だらけ大惨事になります。(大ウソ)大型のスプーンでも代用可能です。
ホシクサやコケオトギリなどは手で根から引き抜こうとすると草体がバラバラになってしまいます。周りの土ごと採集しないと上手く行きません。また、ヌマトラノオやミソハギなど大型の草はそれなりに根が張っていますので、周囲をある程度掘る必要もあります。
手で掘ると・・・汚れるのは洗えば落ちるので構わないのですが、指に謎の生物などが付いて来ることがあってなかなかラブリーなので避けた方が賢明ですね。
100円ショップのものでも十分ですが、住宅展示場や車の販売店のフェアで「ミニ園芸セット」が貰えます。これが意外にグッド。ついでに家や車も買えますしね(買えればネ)。

巨大なスコップを持っているとかなり怪しく見えます。「さぁ希少な植物を根こそぎ掘ったろ!」と見えますし持ち運びがしんどいので避けましょう。

発泡トレー


とても便利です。土を付けたまま採集した植物は、袋にどんどん入れると下になった草が重みで潰れてしまう場合もあります。アブノメやシソクサなどは茎が折れやすいので特に厳禁。そんな時にバイキングの要領でトレーにどんどん乗せて行き、最後に保冷バックに格納すれば完璧です。
別にコンビニ弁当のフタでもイタリア製の木製手彫高級トレーでも何でもいいのですが、只で手軽に入手、泥で汚れてもサッと洗える、軽い、と良い事だらけです。同じ規格のものなら重ねて持って行けますのでかさばらないし。
洗ってから持って行かないと「餃子味のホシクサ」や「生鮭味のウリカワ」などになってしまいます。でも・・・「焼き鳥のタレ味のシソクサ」は食ってみたい(爆)。


筆記用具・ノート


フィールドノートとして活用します。どこに何が生えていたか程度を略図と植物名称でメモしておけば後々役立ちます。フィールド出ると写真撮ってメモ取って植物採って、と忙しいです。順番間違えるとカメラやノートが泥だらけ(汗)、写真とメモOKで植物採ってくるの忘れた!なんて事もよくあります(爆)。
最近はメモを整理する替わりにWebサイトのコンテンツとしてHTMLで書いてしまいます。またデジカメを使い出すようになってからは写真がメモ替わりになる場合も多々あり、徐々に使わなくなって来ていますが、万が一職務質問された時に「植物研究です!」と証拠物件になりますのでね(汗)。カメラとビニール袋だけでは盗撮&下着泥棒と思われてしまいます。何と言っても日本の警察は日本一ですから。┐(-。ー;)┌


ジプロック付ビニール袋


採集した獲物の持ち帰りに不可欠です。最近は各サイズ揃って百円ショップで売っています。水を入れてメダカやタナゴも持ち帰れますし水草の発送にも使っています。水草は乾燥に弱いので極少量の水と一緒に収納します。夏場は保冷バックに保冷材とともに収納、車に放置すると茹で上がります。
私はかなり悪食で、クレソンやハッカなどは現地でそのまま食したりも致しますが、茹でササバモや茹でクロモなどは食いたくないです。待てよ、ヨコエビなんか付いていて意外と歯ごたえが...(自爆)

あと、こういうところでは書きにくいのですが、どうも品質にバラツキがあるようで、水漏れするものもあるようです。多めに持って行ったほうが良さそうです。


水草採集器


縁から水面まで距離があるような用水路で水草を掴んで引き抜きます。私はアクア人らしくEHEIMのマジックハンドを使用。何かのおまけですが、本来は水草植え付け用。ドイツ人の水槽は雄大なスケールらしく、私の日本人的箱庭水槽では残念ながら出番なし。
大滝末男さんの「水草の観察と研究」には大滝式水草採集機の作り方が載っていますし、どこに情報が落ちていたか失念しましたが、niobu@ご隠居さんのワイヤーハンガー式niobu型水草採集機などもあります。「熊手」作って紐で投げる感じ。(文章で書くと難しいですが)ササバモやエビモなど大型のポタモゲトンなら十分通用しそうですね。
それは良いのですが、マジックハンドや用途定かならざる道具を持って水田地帯をうろついているのは客観的にかなり怪しいです。私なんざさらに見かけも怪しいので「怪しさ爆発」です・・・ほっとけ!

【ご参考】使い方(絵:利助画伯)  

タオル


春〜秋シーズンに水辺を歩くわけですから必需品ですね。汗もかきますし濡れもします。時には水中に落ちることも(^^;
夏の暑い時期には帽子が必要ですが、風で飛ばされたり微妙に撮影の邪魔になったりしますので、帽子がわりに使うというのが気に入っています。
白や縞模様を使うと大掃除か海賊の手下になりますが。(^^;
いつも通り余談ですが、なぜか我が家にはタオルがたくさんあります。
なんだかんだ祝い事のお返しや新興住宅地なので(田舎とも言う)引っ越して来られる方に頂いたり、使っても使っても増える一方です。
我が家の現金の動向と反対になって欲しいと切に希望します。(-_-;


図鑑


実はワタクシ、自他共に認める変態..じゃなくてズブラーですが、何とも判別のつかない植物をよく見かけます。知識が無いだけとも言いますが。
そんな時に手元に図鑑があれば役に立ちます。日本水草図鑑、日本水生植物図鑑などは内容充実豪華絢爛ですが、重量の方も豪華絢爛。
持ち歩くにはちょっとつらいものがあります。もっぱら現地では山渓の「野に咲く花」を愛用しています。
また、小型のノートPCと通信カードがあればインターネットで調べられます。
が、少し奥地に入るとPHSの電波が届かないので、単なる「体を鍛えるウェイト」となってしまいます。(←経験者)
さらにこいつ、バッテリーがもちませぬ。フル充電で立ち上げると、「残り時間35分」とか平気で表示します。
しかもその時間が私の時計よりも早く経過するんです。googleってる時にいきなりサスペンド。(*_*;そう言われても田んぼにゃコンセント無いしなぁ。



【書評的図鑑考】


野外歩きで見つかる植物は数知れずありまして、こんなサイトを開設しており、多少植物に詳しいと「思われている」私も知らない植物の方が多いのが現実です。「湿地植物ならそんな事ないだろう」と思われる方も居るかも知れませんが実はそんなことはなく、シソ科の似たような植物が湿地とも陸地ともつかない場所に生えていたりすればお手上げです。それでも「シソ科」と見当が付けば大したもんですが、科さえ見当も付かない植物はどうしようもありません。
さらに悪いことに植物には「表現型」というものがあり、生育条件、遺伝子発現によって同種であっても印象が変わったりします。「形は似ているけどエビモってこんなショボくねえよな」ってことも湧水起源の河川では起こりえます。平野部用水路のものとは別種であると言っても知らない方は信じるでしょう。エビモに関して言えば見られる時期も両環境では異なります。

要するに特徴(同定ポイント)が分かりやすく、解明に繋がるようなコメントが書いてある図鑑があれば理想的なのですが、野歩き探検隊的にはあと二つ、野外で使って汚れてもOKな価格帯、携帯に負担にならない重量、ってのがあり、なかなか理想の一冊には巡りあうことができません。
図鑑としてはWebサイトに掲載されているものもあり(かく言う私も公開していますが)携帯電話、ノートPC1台あればどこでも確認が出来ます。しかし、私が言うのもナニですが、誤認や誤解が即信憑性、売上に繋がる書籍は慎重の上にも慎重に、使う立場を検討して作られており、金を出して買う価値のあるものですが、ネット上の情報は素人でも気軽にアップできる上に無料閲覧ですし写真も何だか良く分からないものが多く、一種の植物を調べるにも複数のサイトを閲覧しなければ全貌が掴めない場合が多いのです。しかもご丁寧に「同定が間違っているかも知れません」と但し書きが付いていたりして(もちろん私も書いています^^ゞ)信憑性という点で劣ると言わざるをえません。

信頼に足る、使いやすい図鑑を持て、これは植物に限らず昆虫でも鳥類でも両生類でもナチュラリストとしては鉄則であると思います。そんなわけで私が所有している、あるいは図書館でよく閲覧する図鑑を書評的に考えてみたいと思います。


【湿地植物図鑑リスト】


書名 著者 出版社(Link) 書評 価格 重量
日本水草図鑑 角野康郎 文一総合出版 現時点で水草に関する図鑑としてこれ以上のものはない。写真も鮮明かつ詳細、第一人者による解説も完璧。ネックとなるのは価格と重量で、基本的に野外に持ち出すものではない。重さは我慢出来ても万が一汚れてしまったら悲しい価格帯の図鑑。内容はもちろん価格以上の価値がある。
日本水生植物図鑑 大滝末男・石戸忠共 北隆館 ズブラー元祖、大滝末男先生の代表著作であるが絶版中である。近隣では市立図書館には蔵書が無く柏市某所で閲覧可能。同定ポイントが詳細な線画で分かりやすく解説文が秀逸である。日本水草図鑑同様、持ち運ぶものではない点が残念。復刊.comでは非常な人気であるがどうなることやら。(2007年復刊されました。ただし価格は倍以上)
水辺の植物 堀田満 保育社 価格、携帯性ではNo.1である(文庫サイズ)が、掲載数、イラストにやや難があり実用的かどうか、という点では疑問。初心者に水辺の植物を紹介する、と割り切れば良書だと思う。そのわりにタデ科の葉の発生について詳細な記述があったり、内容レベルが一貫しないような気もするが?
野草図鑑1〜8 長田 武正 代表的な形態ごとに8分冊された図鑑。何に出会うか分からない野外探索で全冊を携行するのは少し厳しい。使用頻度は高いが野外に持って行くことはない。ご夫妻(写真は奥様)で作られた図鑑で非常に好感が持てる。写真のスキルも高く、同定部分についてのイラスト解説もあるので分かりやすい。
野に咲く花 平野隆久他 山と渓谷社 現在最も使用頻度が高い図鑑で、野外探査にもバックパックに入れて持ち出している。超マクロの詳細写真で同定ポイントが分かり、科別に分類されている点も分かりやすい。惜しむらくは掲載数のばらつきで、沈水植物は極端に少ない。私にとっては沈水系は調べるまでも無いのでまったく問題はないが。
日本の野草 林弥栄 1600種類の野草が写真で掲載された図鑑。なにしろ厚い、当然重い。数にこだわった図鑑なので同定や専門性の観点からは同社の「野に咲く花」に軍配が上がると思うが、図鑑とは言っても目的が一律ではないので批判は的外れ。このシリーズは他に淡水魚や日本の自然風景などを持っているが、一生楽しめる。
田んぼの生き物図鑑 内山りゅう 動植物を問わず、生息環境を「田んぼ」で区分した図鑑で非常な良書であると思う。農業従事者以外で田んぼを愛する私のような人間も居ることは居るが、非常にニッチな趣味で販売数も見込めないと思うが、よくも奇跡的にこんな本が出たものであると思う。自信を持ってお勧めできる図鑑である。
里山図鑑 おくやまひさし ポプラ社 里山観察会などに参加する「若いお母さん」が持参する確率の高い本。専門性は無いが、里山で見られる生き物が少ないながら広いジャンルに渡って掲載されており、入門編としては良質な内容を持つ。何よりナチュラリストのおくやま氏によって書かれており焦点を外していない点が評価できる。
ため池と水田の生き物図鑑
植物編
浜島 繁隆・須賀 瑛文 トンボ出版 誤認しやすいカヤツリグサ科やイグサ科植物の同定ポイントが解説されており利用価値が高い。惜しむらくは写真の出来があまり良くない。とは言え、このタイトルで本が出るのは「田んぼの生き物図鑑」同様に奇跡に近く、価値ある本である。各植物についての解説は充実しており不足はない。
ミニ雑草図鑑 広田 伸七 全国農村教育協会 「ミニ」とは言え内容の充実ぶりは素晴らしく、特に誤認しやすい水田雑草の発芽期と成熟期両者の写真が載っているのが素晴らしい。一部に疑問の写真もあるが、もともと農業系の「雑草」を扱った本なので割り引いて考えよう。水田探索には最適の図鑑であり、他に類を見ない内容である。必携。

本棚を見れば持ち主の知的水準が分かる」と言いますが、釣り(主にフライ関係)と園芸、水生植物の本に占拠された私の本棚を見れば持ち主の私は野人系、アウトドア系の人間に思われることでしょう。現実は今や晴読雨読の病人ですが(^^;「夢は枯野を〜」という句もあります。精神は常に野外で動植物に感動するエクスプローラーでありたい、そのための蔵書だと思いたいものです。今でも近場で古本市があると上表中唯一所有していない「日本水生植物図鑑」を無意識に探してしまう日々です。

それはさておき、インターネットを中心にしたマルチメディア(これも死語に近い)の影響で出版不況、活字離れなんて事が言われています。言ってみればインターネットはこれまで限られた層であった情報提供者が幅広い層に広がったということで、情報精度も玉石混交だと言えなくもありません。TV番組でさえ捏造する時代ですから尚更です。情報の本質と危険性を理解していれば問題ないのですが、受けてを選ばない(選べない)情報を鵜呑みにしてしまう層が存在することも事実です。
かたや繰り返しになりますが出版物は一度出版してしまえば訂正が効きにくい、それだけに出版前に念入りな内容確認と校正が成された精度の高い情報ソースであると思います。植物に限らず興味を持たれたものについて、安易にネットで検索して理解したつもりにならず、その分野の本を買って(ここ重要)読まれる事をお勧めします。私のサイトももちろんですが、Webサイトはそのための入口であり、時にはインタラクティブに楽しめるメディアとして考えたほうが宜しいかと。

ネット図鑑の悪口を散々言いましたが、信頼に足りるネット図鑑も少数ながら存在します。ご参考までに一覧にします。ネット図鑑の信頼性は自分で閲覧してみて正しい写真と適切な解説が成されているかどうか判断する、ということが重要な基準ですが、参加者が複数で誤認に対する抑止力や訂正のスピードが早いという点も見逃せません。
以前書いたことですが、ネット図鑑が一般的になるためには画像掲載のガイドライン、何をどう掲載するかという基準が無いと難しい面があります。言ってみれば「電子標本」としての形ですね。写真は機材やスキルに左右されるので簡単には行きませんが、花の拡大写真だけ、群落の全体写真だけ見せられても何だか分からない=図鑑としての価値が無い、ということになりますから。

【信頼に足るネット植物図鑑】
Webサイト名(リンク) 内容
病害虫雑草図鑑 雑草が発生する耕地別に纏められた農業従事者向けのオンライン図鑑。農地では選択性のある除草剤を使用して目的の雑草を駆除するために、雑草の同定は正確でなければならず、その意味で同定ポイントが分かりやすく、かつ専門的なコメントが付いている
oNLINE 植物アルバム 参加型のインタラクティブなオンライン植物図鑑。誰でも投稿できる一方、誤った同定に関しては参加者の厳しい指摘があり抑止力が働くことで正確性を維持している。しかし過度の指摘が論争を呼ぶインターネットの弱点も内包している点が参加の敷居を高くしている側面もある
日本の植物たち 4,000種近い植物が掲載された(2007年3月時点)大規模なサイト。愛用する人も多いようでアクセス数も凄い。幻となってしまった水生植物の自生写真などもあり精度もさることながら情報量という点ではトップクラスであると思う。検索システムも充実しており、Web図鑑としての形も秀逸
植物生態研究室 岡山理科大学波田研究室のWebサイト。生態学研究室のサイトながら植物の記載数も多く、専門家の視点による解説も素晴らしい。図鑑もさることながら数多い読み物が興味深く、ある程度の知識水準がある方にとっては非常に魅力的な植物サイトであると思う。写真の出来も良い
神戸の水生植物 兵庫県神戸市周辺の水生植物が数多く解説されているサイト。一般に水生植物の種類、量とも東日本よりも西日本の方が多いと言われているが、大都市周辺でこれだけの植物が見られるのは驚異的。ため池の分類、解説記事も楽しく閲覧できる。訂正の履歴を残しているのも好感が持てる



双眼鏡


岸辺から沖合いに浮かぶ浮葉植物などを観察したり、泥濘の遥か先に自生する気になる植物を見るのに便利です。とりあえず見て「何だガガブタか」「あぁミズトラノオね」と確認できればOK。命をかけて行くかどうするか、の判断材料になります。
とりあえず資金難によって無銘の「10倍双眼鏡950円」(汗)を使っておりますが、凝る気ならいくらでも青天井で。カメラと同じブランドで、と思えばニコン、キヤノン、オリンパス、ペンタックス。とにかく高い方が良いと思えばライカ、ツァイス、スワロフスキー。まぁバルチック艦隊を発見する必要はないのでツァイスまでは必要ないと思います。(敵役のロジェストヴェンスキー提督もツァイス双眼鏡を愛用していたようですが)ビクセンのオペラグラス(4〜5千円程度)でも充分物の役に立ちます。

愛用の「10倍双眼鏡950円」はコンデジとともに長男の愛用品となってしまいました。彼には「ケラレ」や暗さは関係なし、とにかく鳥が大きく写ることが重要なようです・・。

ペットボトル飲料


歩けば汗をかきますし、水分補給は必須です。「そんなの自販機で買えばいいじゃん」と思った都会人のあなた、大甘です。
少し田舎に行けば半径3km以内に自販機の無いところなんぞ普通です。脱水症状をなめてはいけません。関東平野の真ん中でも遭難しますぞ。コンビニを見つけたらすかさず補給しておく、鉄則です。それに3円安いとかお茶犬やパンダのマスコットが付いている場合もあるなどメリットも。それがどうした、と言われそうですが。
ペットボトル限定なのは、空いた後に色々使えるからです。私は良くミズカマキリとかメダカ、ドジョウ、スジエビなどを持ち帰るのに使っています。


バックパック


以上一式財産を持ち運ぶバックパックを用意しましょう。撮影やら採集やらで両手フリーは重要です。
以前は円高の力でL.L.Beanの通販を利用していましたが、最近は為替が落ち着いたのと国内にショップが出来たことであまり利用しなくなりました。
しかし、アウトドアの「心」のブランドなので、唯一私がこだわるブランドです。
バックパックの使い方、精神は私も愛読する「メイベル男爵のバックパッキング教書」をお薦めします。

さて、備えあれば何とやらと申します。道具を使うのが人間と猿の分岐点とも申します。実は準備万端整えている時も楽しかったりするわけで、明日は懐かしい友達と一緒にズブズブだ!というスパイスが効いていると尚更ですな。
実は探検で一番重要なものはモノではなくて気の合った友達ではないか、と思う最近です。(綺麗にまとまった?)


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