Carl Zeiss T* Planar1.4/85MM(J)

◇Profile◇
銘玉か迷玉か

比較的世評と実力が一致するCONTAX Zeissのなかでは評価が真っ二つ、扱い難さ天下一品のモンスターレンズである。
かいつまんで言えば、ピントの山が掴みにくく、ピンボケ写真を量産するが決まった時の出来は「レンズの帝王級」ということで、この評価通りだと思っている。ちなみに「決まった時」の確率は私の場合数%程度で、世間の平均に近いと思う。

撮っては確認、消去が出来るデジカメでもイラつく事もある程に「その時が来ない」ので、一枚ずつコストをかけて撮る銀塩では死活問題だと思う。この「ピンの山」は誤解の無いように言っておくと絞り開放時のみの話である。ただし絞り開放時と絞った際の描写はまるで別なレンズであって、レンズの帝王級の写りは開放時の話。
私は今までに1回だけこの「帝王級」を味わったことがあるが、緑の葉がフォーカス面からアウトフォーカスに向かい徐々に溶けて行く、うっとりするものだった。この一発を経験すると病み付きになる。いずれご覧いただく機会もあると思う。


Carl Zeiss T* Planar1.4/85
焦点距離 85mm
開放F値 1:1.4
レンズ構成 5群6枚
最短撮影距離 100cm

◇Impression◇

【作例】
Camera EOS 30D
F1.4,1/1600,ISO100,WB Auto

怪物は松坂しかり江川しかり、色々言われてしまうのが宿命であるが、主にネット上で言われている意見を拾って整理してみたのが以下である。

開放時の描写が溶けるようなボケで凄いが、ピントの山が半端ではなく掴み難い
来た、と思っても確認してみるとさほどではない。これはピンが光の量や入射角などによって迷いやすい?ことによるのかも。(レンズか人間、どちらかが迷っているはず)大口径レンズの宿命が増幅されているような気がする。

開放時のピントからアウトフォーカスへの流れ方が独特でフォーカスポイントを錯覚しやすい
上と似て非なる話である。ファインダーで見たピントの山がアウトフォーカスに引っ張られるような気がして正しいフォーカス以外のところでシャッターを押してしまう。

絞り値により描写はまったく異なる
絞れば画質が良い、という上っ面の常識は通用しない。そのぐらいなら安価なSonnar85を使え、とCONTAXの無言の主張が聞こえて来るようである。

平均値は真剣に100枚撮って6〜7枚が「バッチリ」。そのバッチリはレンズの帝王級の写りである
Profileで書いた通り

歩留まりが悪すぎてプロは使用しない
道具には何でも「習熟」というパラメータがあるが、一朝一夕に習熟を許さないところがモンスター。プロは作品を売る人なので原価を意識しなければならず、売るだけであれば別なレンズで十分なのは納得できる。

あまりのじゃじゃ馬ぶりに手離す人が多く、中古市場にタマが多い
適当に中古店のWebサイトを見てもほとんどの場合ラインナップされている。しかし手離す人と私のようなチャレンジャーがバランスしているようでなかなか価格が下がらない。


一々ごもっとも、まったく同意である。これは失敗しても何回でもチャレンジが許されるアマチュアの趣味に向いているレンズだと思う。他のツァイスレンズで培ったマニュアル撮影の知識や技術とは別次元の、難問に挑戦する喜びを感じさせてくれる1本である。言うまでもなく「結果よりもプロセスが大事」と嘯くのはアマチュアの戯言である。プロは努力、根性、汗を見せないものである。

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