aus Jena T 2.8/50

◇Profile◇
EagleEyeの系譜

あまり興味の無い方がタイトル(製品名)を見てもどこのレンズなのか分からないと思うが、カール・ツァイスのテッサーというレンズである。なぜCarl ZeissやTessarと書いてないのかと言うと、第二次大戦後分割された東西ドイツでツァイスも分割、東はイエナ、西はオーバーコッフェンにそれぞれツァイスがあり社名や商標を裁判で争っている最中の製品だから、である。

aus Jena(イエナ製)DDR(ドイツ民主共和国)T(Tessar)

このレンズはJenaであるので東ドイツ製である。東側(共産圏)の工業製品というとチープな印象があり、昔北海道に亡命してきた旧ソ連のMiG-25戦闘機を調べたところ電子部品に真空管を使っていた、という話もあった。ただ、腐っても鯛、東側でもツァイスであってドイツ人マイスターの仕事であるこのレンズは数十年を経た現在でもヘリコイド、絞りリングとも確実に動作し、「鷹の目」と呼ばれたテッサーの描写力も健在である。
余談ながらJenaからソ連に連れて行かれたドイツ人技術者が技術を伝えたか、あるいは作らされたのか、ロシア製レンズでも人気となっているJupiter-9(85mmF2)というレンズがあり、設計はツァイスのSonnarそのものだそうで、完全なコピー製品らしい。しかし基本設計が優れたSonnarはコピーしても優れているようで、現在(2008年)国内ではSonnarは入手できるがJupiter-9は入手難という逆転現象も起きている。安いしね。



aus Jena T 2.8/50
焦点距離 50mm
開放F値 1:2.8
レンズ構成 3群4枚
最短撮影距離 35cm

◇Impression◇
【作例】
Camera EOS30D F5.6,1/1000,ISO100,WB Auto

3群4枚というレンズ構成はシンプルにして最大の効果を発揮する構成と言っても良いと思う。20世紀初頭にパウル・ルドルフエルンスト・ヴァンデルスレブ
(ツァイスの技術者)によって開発され、現代に至るまで色あせていない型である。
上記したようにテッサーは「鷹の目」と呼ばれた描写力を持っているが、もちろんそれは40〜50年前の技術水準であって、現代のテクノロジーによって作られた高級レンズとは比べられない。
ただ、収差が写真の味とする方も多く、ライカがいまだに人気で高値で取引されるのは「ライカで撮った写真」にそうした味があって好まれているから、だと思う。

灯台に当たる光の向きを見て頂ければ分かる通り「やや順光」に寄っているが、正直このレンズではこの角度ぐらいまでが限界だと思う。
逆光に反射する海面も撮ってみたがフレアや反射部分の飽和でほぼ見られない写真となった。以前同じようなポジションでキスデジに付いていたキットレンズ(EF-S18-55 F3.5-5.6USM)で撮ったことがあるが非常に満足できる写真が撮れた。
要するに現行のキットレンズでも昔の「銘玉」より性能は上、なのだ。「味」を求めなければ傷だらけのポンコツを買って使う必要性は皆無である。

私が使う理由は「味」もあるが、色々なレンズを使ってみたいという興味と財布の中身のバランスにある。簡単に言えばキヤノンのLレンズなど高級なレンズを色々使ってみたいが普通のサラリーマンには無理なのである。これはもはや自分が想定する「趣味」の出費の範疇を超えてしまうのである。一方ツァイスの古レンズは1〜2万のものが大半なので昼飯の質を落とす、とかバス代をケチって駅まで往復歩くとか努力の範囲で何とかなるのだ。努力の結晶なら御蔵入りなんぞとんでもない話で、大事に使おうという気にもなるというもの。


肝心の描写の話が飛んでしまったが(汗)、写真を「見る」人が見ればこのサイズでも分かるはずなので省略の方向で。ちなみにRAWで現像ではなくJPEG撮り、である。



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