Field note of personal impression of wetland plant


【第一話】暖色系水草

公開 2005.3.19
追記 2005.4.2
追記 2008.4.5

◇水草四方山話開演◇

水草関係のWebサイトを閲覧するようになって、いくつか感銘を受けた言葉があります。もっとも「なるほど!」と思ったのはcarex校長「水草と水槽用植物」で、正直これは凄えなと思いました。
たしかに「aquarium plants」と「water plants」は、まったく別物のジャンルだと思います。ご指摘になっているように畑や道端にもあるフタバムグラは水槽でも育つようで、(私には無理っぽいですが^^;)では気軽に「水草」と言っている植物はどこからどこまでなんだ、と深く考えさせられたのでした。
こういったグレーゾーンの植物、とくにこのサイトで扱っている水田雑草の類など水が落ちても平気で育つのが大半です。ミズネコノオとかマツバイとか。オランダプラントとヘアグラスと読み替えてみて下さい。私的には同じもので、言わば「雑草」ですが、こういう抽水植物(言ってみれば半陸上植物)も完全な沈水植物も一緒に水槽で育つわけで、それが一括り「水草」では水質やら肥料やら尤もらしく語る以前の問題だな、と思うのでした。
さて、これは一例ですがリンクさせて頂いている宝石のようなサイト群には感銘を受けるコンテンツやフレーズがたくさんありまして、感銘はそちらで受けて頂こうと。ここは私らしく何の感慨も残らない雑文的水草四方山話を書いて行こうかなと考えています。
第一回は水槽で異彩を放つ暖色系の水草の数々について。

◇宮崎県産タデ不明種sonsi師便◇


sonsiさんから頂いた宮崎県産水上葉ですが、タデ科特有の葉に出る「斑」が赤いハート型でとても気に入りました。あのまま水中化したら「ポリゴヌムsp.ラブリーハート」と名付けて大々的に売り出して、女性アクアリストのハートを..んで儲けてEOS1D買って(以下略)
ところが水中化して、また驚き。グラデーションのかかったオレンジ色が出るのです!しかも多くのタデが水中化すると小型化するのに対してかなり大型化します。水中生活にも適しているようで、ピンチカットを続けるとブッシュになっていい感じ。久々に心ときめく素晴らしい水草でした。

この草はsonsiさんが干上がった池の端でホシクサの種子を期待して土ごと採集したところ偶然発芽したとの事で、フロラや文献あたられたところサイゴクヌカボ(別名ヌカボタデPersicaria taquetii (Lev.) Koidz.)かヤナギヌカボPersicaria foliosa (H.Lindb.) Kitag. var. paludicola (Makino) Hara.)ではないか、との事です。今のところ情報不足で何とも言えませんが、見ていると「ヤナギ」の文字を入れたいなと思わせる草姿なので「暫定ヤナギヌカボ」と勝手に呼んでいます。(^^;
その後もアオヒメタデではないか、とか東南アジア産のポリゴヌムsp.ピンクが似ているのではないか、とか色々な意見が出ましたがいまだに正体不明です。謎が謎のままなのもこれまた魅力。
そして意外な事に水槽ではピンチカットでも差し戻しでも増殖します。挙動を見るとシロバナサクラタデのような多年草に見えるのですがどんなものか・・・。屋外では「一年草」という頭があったので元株から発芽したのかどうか未確認です。(確認できたら追記します)
どちらにしても希少な植物であり、今後も水草として流通ルートに乗ることはまず考えられないので本当に良いものを頂いたなと感謝しています。しかし、土を採集して来てこんな植物が発芽するとは豊穣な土地ですね。私も別な目的で湿地の土を採集してきたことがありましたが、しばらくするとミズミミズが発芽したことはあります。(爆)

*その後の調査で渡良瀬遊水地産のアオヒメタデとの近似性が判明し、これまた暫定的ですがアオヒメタデ(Persicaria erecto-minor forma viridiflora I. Ito)ではないか、と半ば確信しています。わりとポピュラーなタデ科ですら「水槽育成」という観点では未知の種があることに驚かされます。

◇ホソバノウナギツカミ◇


こちらは藻草さんに頂いたホソバノウナギツカミPersicaria praetermissa Hara)です。近似種のナガバノウナギツカミPersicaria hastato-sagittatum (Makino) Nakai.)と共に私が活動するウェットランドではお目にかかったことがありません。こちらも希少な植物であるようです。
ウナギツカミと名乗るタデで多いのはアキノウナギツカミPersicaria sieboldii (Meisn.) Ohki.)でこちらは家の近所にも普通に自生しています。これは残念ながら水中育成が困難なようです。似たようなタデの仲間でもこの違いは興味深いところですね。
「ウナギツカミ」というのは、茎に生える棘が、鰻でも掴めそうな様を表現して命名されたとの事ですが、「何でもやってみよう」という私のお子様部分が発動しまして(^^;実験してみました。生きている鰻はそうそうお目にかかれるものでもないので田んぼに居る泥鰌君で。見事に掴めませんでした。キツく縛ると泥鰌君が「キュウ〜」と泣くので気の毒でそれ以上できませんでした。(汗)「ウナギツカミではドジョウも掴めない」ということで50ヘーゲット!
こちらは色もさることながら葉の形状が面白く、耳があります。ただし光が弱いと出ないようで水槽の底から出てくる新芽は可愛らしい丸葉となります。これはこれで好きですが。耳のある水草はそんなに種類が無いので貴重品ですね。水中ではやや斜め上方に育って行くのでレイアウト的には今一ですが面白い草です。

ただこの草には弱点があって、一年草であるために水槽水中では2〜3年を限界として育たなくなってしまいます。屋外の睡蓮鉢では実生するので株の更新が必要となります。別記事でも触れましたが一年草の限界は「個としての寿命」にあるような気がします。

◇タチモ◇


こちらも藻草さんに頂いたタチモMyriophyllum ussuriense (Regel) Maxim.)です。フサモ系は実はあまり好きではありませんが、タチモは繊細で気難しく、上手く育成出来た時の美しさはすべてのミリオフィラムを凌ぐと言っても過言ではなく、とても好きな草なのです。私の行動範囲では野生を見た事がありません。以前HOUさんに水上葉を頂いたことがありました。これは水槽で非常に美しい赤が出てうっとりしていましたが(笑)弱って枯れてしまいました。(すいません^^;)
今回頂いたものは水中葉で藻草さんが殖やされたものですが、何とか水槽に馴染んで色が出てまいりました。またしばらく「うっとり」する時間を味わえそうです。
この草も多くの国産水草同様「これだ!」という育成環境が分かりません。現状は「美しいものほど儚い」というパターンに嵌っていますので、一部屋外育成に切り替えて種の存続を図ろうと思います。花も見たいですしね。
花と言えば意外な植物の花が綺麗な事を最近教えて頂きました。ミズスギナRotala hippuris Makino.)の花です。これも水中のみの育成経験ですが、しんぺーさんの年賀状に開花画像があり、一発で気に入ってしまいました。丁度手元にsonsiさんに頂いた宮崎県産があるのでこれも開花させてみたいと考えています。

タチモは長らく自生を発見できませんでしたが福島県浜通りの池で見ることが出来ました。水面から立ち上がる姿はまさに「立藻」に相応しい姿でしたが、最初は同様の草姿のスギナモかと思いました。

Field note of personal impression of wetland plant
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送