Field note of personal impression of wetland plant水 草 四 方 山 話【第十九話】ヒルムシロ科交雑種考 |
◇区別か差別か◇ |
画像解説 上画像はヒロハノセンニンモ(Potamogeton leptocephalus Koidz. )と思われる株ですが、由来は不明です。状況から霞ヶ浦近辺で採集して来たヒロハノエビモの一群に紛れ込んでいたものと思われますが、以前頂いた琵琶湖産ヒロハノセンニンモ(右画像)とは葉のウェーブの入り方など、かなり印象が異なります。 交雑種ですから遺伝子の発現は読めない部分があり、形質から種を特定できない場合も多々あることは承知の上ですが、別種の可能性も否定できません。霞ヶ浦水系には正体不明かつ、ほぼ現存しないと考えられるイサリモ(Potamogeton nakamurai. )という種がありますが、この株がそうである可能性もありますね。もちろん種の特定はDNA解析など素人には不可能なステップが必要ですが。 ちなみに、ですが現在の霞ヶ浦水系ではセンニンモはほぼ見ることが出来ず、ヒロハノエビモもごく限られた自生状況となっています。イサリモが交雑種であるとすると将来環境が改善したとしてもシードバンクからの発芽はなく、幻は幻のまま、という可能性が高いですね。 |
◇ヒルムシロ科交雑種◇ |
標準和名 | 学名 | 備考 |
アイノコセンニンモ | Potamogeton kyushuensis Kadono et Wiegleb | ヤナギモとセンニンモの交雑種とされる |
アイノコヒルムシロ | Potamogeton malainoides Miki. | 不詳 |
イサリモ | Potamogeton nakamurai. | 不詳 |
インバモ | Potamogeton x inbaensis Kadono | ガシャモクとササバモの交雑種 |
オオササエビモ | Potamogeton anguillanus Koidz. | ササバモとヒロハノエビモの交雑種とされる |
ササエビモ | Potamogeton nipponicus Makino | エゾヒルムシロとヒロハノエビモの交雑種とされる |
サンネンモ | Potamogeton biwaensis Miki. | センニンモとササエビモの交雑種とされる |
ヒロハノセンニンモ | Potamogeton leptocephalusKoidz. | ヒロハノエビモとセンニンモの交雑種 |
◇結実と発芽◇ |
画像解説 水面で開花するオヒルムシロの花。ヒルムシロ科の花は種を問わず非常に地味な土筆状のものです。こうした花穂が複数種のヒルムシロ科によって水面を埋め尽くす程存在しないと交雑種の形成は難しいのではないでしょうか。 ちなみに自分で育成している交雑種以外のヒルムシロ科、エビモ、ヒロハノエビモ、ヤナギモ、センニンモ、ササバモ、ヒルムシロ、オヒルムシロも発芽は地下茎からのものだけで実生株は無いようです。この部分(結実と発芽)は長年気になっているので毎年発芽する時期に確認していますが前述の通りです。 こうして考えてみると、ヒルムシロの生残り戦略は無性生殖、「種子」という表現よりも「散布体」が相応しい性格を持っているような気がします。おそらく昔日の繁茂を再現するためには環境の改善→埋土種子の発芽→大規模な繁茂→交雑の発生というステップが必要であって、50年かけて壊して来た環境は復旧に何百年必要なのか、それ以前に道筋があるのか、暗然とします・・ |
◇大型種の表現形◇ |
Field note of personal impression of wetland plant |
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