利助おじさんの探検絵日記

【その１５】春の小川

◆原風景◆

「心の原風景」はどなたにもあると思います。私は田舎育ちのせいか、四季それぞれにあります。春は何と言っても「春の小川」です。この季節の思い出は実家近所の小川でタイコウチ、ミズカマキリ、マツモムシなどの水生昆虫や小鮒、クチボソ等の小魚、これらを飼育する際に採ってきた朧げな記憶のセンニンモ。
一方的な思い込みかも知れませんが、こういう体験が後々心を豊かにする一助になると信じ、子供を連れて近所の小川に出かけます。本当は自分が遊びたい気持ちの方が大きいのも事実ですが。
とは言え、私が子供の頃とは環境の様相が変わっているのは仕方がなく、多くの水生昆虫や水草は姿を消し、変わって獲物となるべき僅かな生き物が居るに過ぎません。少し寂しさを感じますが、今時家から子供達と一緒に歩いてこんなところに行けるのは贅沢ですね。
水田、用水路地帯に抜けるには農家が集まった住宅地の小道を通ります。生垣に囲まれた狭い路地と彼方に広がる水田地帯。これで道が舗装されていなければ完全に「となりのトトロ」の世界ですが、ノスタルジーもこちらの一方的な思いであることは百も承知。
周囲の生垣や根本に植栽された花々を愛でつつ、子供達と土曜日の授業参観の話などをしながら網やバケツを持って小道を歩きます。人生の至福の瞬間。現在癌に罹病し人生最後の戦いをしている父の自転車の荷台に乗って田舎のため池に連れて行ってもらった事を思い出します。格好良いかも知れませんが、親子の「瞬間」は我が子にも受け継ぎたいし、彼らの人生がどのようなものになってもこの瞬間を思い出して貰えればそれだけで満足です。

◆用水路の生き物たち◆

用水路で常時水があるところはすべて三面護岸（Ｕ字溝）されて排水路も兼ねています。まだまだ下水道の普及率が低い地域ですので汚染度も高く、強い生物しか残っていません。今回は庭の水鉢群に投入するタニシとドブシジミ、まともに育てた事が無かったコカナダモが主な狙いです。
タニシやマシジミはいたるところにころがっています。有機物があればどんどん殖える連中なので、このような環境はぴったりなのでしょう。手を入れるのもイヤなので（笑）こういう時こそEHEIMのマジックハンドの出番です。（「探検のお道具」見て下さいね）シジミは掴むと二つに割れてしまうものが多く（中はもぬけの空）生きているものは少ない様子でしたが、タニシは動き回っているものが多く、我が家の水鉢の浄化にご協力頂くメンバーを数個選びました。
コカナダモは新芽を伸ばしていたるところに群落を作っていました。概ねこういう場所で採集するとミズミミズやヒルなどの巣になっている場合が多いのですが、透明なゼリーのスネールの卵以外は綺麗なもので、良さそうなところを数本採ってきました。バケツで様子を見たところモノアラガイ以外は見当たらず、ワームどもが跳梁跋扈するには気温が低い時期なのかも知れませんね。この水路ではうちの奥さんも「背中にスジのあるヒル」を目撃していますので居る事は確実。ぜひお目にかかって写真を撮りたいという密かな希望があったりして（笑）。
他にはアメリカザリガニ、タネツケバナだけで魚類の姿が見当たらず、場所を移動して探索を続けることにしました。ザリガニは長女がぜひ飼育したいと言うので赤みが強い奴を一匹連れて帰りました。名前は「アカベー」だそうです．．．（^^；

◆小河川へ◆

移動したのはこんな感じの自然度の高い小河川です。護岸が無いかわりに岸辺に近づくのも一苦労。さっそく2年生の長男が落ちました。こいつは機会があれば必ず落ちるという変わった奴です。（「地獄のクリスマスツリー」参照）今回は膝から下のみで助かったのでクリスマスツリーにはなりませんでしたが（爆）。
家の水鉢には昨年捕獲した小鮒が居て、メダカとは違った野趣があってなかなか良いのですが、2匹しか居ないし水草の影に隠れていることが多く、見るのが難しいのです。先日水鉢の掃除をした際に確認したところ捕獲時の倍の大きさになっていて、今年は少し仲間を増やしてあげようかな、と。
この河川では鮒やタモロコらしき魚影も見えるし、メダカも群れを作って泳いでいましたが、なにしろ網の届く範囲には近づいてきません。敵もさるものです。子供たちが対岸に移動し、水をガシャガシャやっても魚は深く潜ってしまうだけ。やっとの事ではぐれたメダカを一匹捕まえただけ。今年の記念すべき初獲物でした。
やや上流で岸辺からかなりの重量物がドボンと水に落ちる音がしましたが、見ると中型のクサガメが泳いでいました。子供が欲しがってパニックになりましたがもちろん捕まるような相手ではなく、悠然と深みに入って行きました。やはりこういう連中が水田脇用水路など狭いところに入って来ないと捕獲は難しいようです。水が入るまで我慢、です。少し経てばミゾハコベやウリカワも芽が出ることでしょう。

SEO		[PR] 爆速!無料ブログ無料ホームページ開設無料ライブ放送