利助おじさんの探検絵日記

【その31】進めネイチャーウォーキング!Part2


◆希少植物発見◆


後半戦はとりあえず対岸出発点方向へ同じルートを帰ります。橋の周り一帯も観察ゾーン(出題エリア)となっており、往路はパスした周辺観察も少し力を入れることにしました。かく言う私も「周辺観察」と大手を振ってタデ科植物を調べていました。(テーマからかなり外れていますが^^;)
すると、多くのタデ科植物が繁茂する一角にやや他と異なる群落を発見。近づいてみると長いイヌタデタイプの葉に耳、花はミゾソバ同様金平糖型でした。「これはついにホソバノウナギツカミ発見か!」と、さっき喰った豚汁と同量のアドレナリンが分泌されました。ダッシュで近づき観察するとホソバノウナギツカミより荒々しい逆棘と福福しい耳でやや異なる植物であることが分かりました。サデクサ!
サデクサ自体がこのあたり(茨城県南部)では非常に珍しい植物です。昨年別な場所で一度見たことがありますが今年は自生がありませんでした。採集するとヤバそうな群落というか、株だったので今年の拡大を期待していましたが果たせませんでした。ここで再開したのを幸いと...と行きたいところですが公園内であり、公園内で無くても消えそうな群落だったので採集はしませんでした。


◆秋の彩り◆


ブナ科の木々はまだ本格的な紅葉はしておらず、モミジも緑色でしたが秋の気配は濃く、様々な色彩が雑木林にあふれていました。低灌木のムラサキシキブは素晴らしい紫色の実を各枝に付け、割れないアケビ(ムベ)も実が色付いていました。
「燃える秋」と言いますが、秋の開花植物は暖色を身に纏うことが多いようです。野草歳時記でも書きましたが野を染めるヒガンバナやサルスベリの花。我が家に最初からあった山茶花も開花中。こういうのに野山で出会うと本当に季節感を感じる事が出来ます。
さて、一応湿地探検のなかの記事なので無理やり話を誘導しますが、水草で紅葉と来ればアカウキクサとオオアカウキクサ。この博物館敷地内でも水面の色が変わるほどオオアカウキクサ(出所不明で未精査なので、謎アゾラと呼ぶべきか)が繁茂しています。これは殖えるとは聞いていましたが、恐ろしい増え方をします。1個が2個に、2個が4個にという殖えかたなのであっという間に水面を覆ってしまいます。睡蓮鉢程度の水面なら本当に瞬時。
我が家でも繁茂している金魚、鮒、クチボソ用プランターから風で飛ばされて隣接の鉢にまでエリアを拡大しています。掬って地面に捨てていますが良い肥料が出来そうです。名付けてアゾラ園芸(爆)。


◆メダカの大群◆


いつも通り大幅に脱線しましたが、寄り道休憩したい放題のネイチャーウォーキングラリーもゴールし、後続を待つ間日陰でティータイム。野歩き専門家の私はまだやや体力が残っていたので周辺の池を調査に赴きました。各種湿地植物を観察しながら陽だまりの水面を見ると、なんとメダカの大群が群れていました。我が家でメダカを調達する用水路はとうの昔に水が枯れ、タニシやザリガニも見当たらなくなりましたが、当然ながら水のあるところには普通に居るものです。
ここの環境であれば水生昆虫の幼虫やらミジンコやら食い物には困らないし、博物館内で採集禁止なので自然の捕食者以外の敵はいません。それが理由かどうか分かりませんが、ざっと見たところ数千匹の群れがいました。
捕まえて眺めた訳ではないのでメダカかカダヤシか分かりませんが、茨城県南部は不思議なほどカダヤシが少なくクロメダカの自生が多いので、メダカの可能性が大ですね。こういう群れを見ると網を入れて掬いたい衝動がある私と長男は顔を見合わせて悔しがりました。やや水深のある部分にはウグイらしき中型の魚、開けた場所には大型の鯉が悠然と泳いでおり、なかなか壮観でした。メダカは別としてもウグイや鯉はかなり汚染に強い魚で、ドブのようになった河川にも生息していますが、やはり魚類が見られる水域は良いものです。


◆さらに水域の話◆


これはエントランス付近のメインの池を鳥瞰した画像ですが、多くの水草群落が見えます。水面反射を抑えるためにPLフィルターを使用したのが効いたのでしょうか、水中の鯉も写っています。この鯉が40〜50cm程度なので水草群落ひとつひとつがかなりの大きさである事が分かります。
ところが残念なことに群落はすべてオオカナダモです。これがヒルムシロやイバラモ、ヒツジグサ、センニンモなどの混生群落であったら体が震えるほどの感動だったことでしょう。事実手賀沼同様、菅生沼と周辺の河川では藻上げした水草を緑肥として利用していたとの記述を資料に見ることが出来ます。水質悪化によって多くの水草が失われてしまった後に帰化種が入り込むパターンですね。
非常に大胆な仮説ですが、固有種の水草が多く見られる中国地方や南紀、九州地方は河川の流域が山地に多く、人為的な影響のある平野部は比較的短時間で通過するため河川起源のため池や湖沼に植生が濃いのではないでしょうか。ここを見ていると平野部に於いて特定の湿地を保全することの困難さが思われてなりませんでした。

◆人並みの感想◆


以上踏まえて今回のウォークラリーの感想です。二つあります。
一つは改めて思った自然博物館のレベルの高さ。山林や湿地のあるがままの姿が非常によく保全されています。欲を言えば「現在のあるがまま」ではなく、一昔前の湿地を再現して欲しいですね。流入水を浄化したり、シードバンクを使って植生を呼び戻すのは多くのノウハウがあるし、何より「博物館」なので自由度があると思います。里山のため池の外来魚駆除やシードバンク調査は、段取りとして地権者との交渉から始まりますので(汗)。
二つ目は家族で自然のなかを歩く価値。嫁さんとは十数年の付き合いですが、「ムラサキシキブ、ギボウシ、ホトトギス・・・」意外なことにわりと植物の名前を知っていました。子供達もそれぞれ興味の対象にお好みがある事が分かってきました。たまには自然のなかで見た物を対象として会話するのも新たな発見がありますね。

前半戦



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