利助おじさんの探検絵日記

【その60】ちょっと南十字星を見に 8/10

◆キュランダへ◆


海はケアンズのメインではない、という理由が熱帯雨林とアサートンテーブルランド周辺の自然にあります。マリーバには大規模な湖沼帯を中核とするマリーバウェットランドもあります。今でこそ熱気球や野生動物のツアーなどマリーバ周辺のツアーもありますが、ケアンズに行ってもマリーバまで行く人は少数で(うちは7日間で2回行きましたが^^;)知らない人も多いと思います。
しかし、マリーバを知らなくてもここを知らない人はいない、と言うほどの観光地がキュランダです。大きな理由の一つはこのキュランダ鉄道にあります。山あり谷あり滝あり壮大な景観ありの山岳鉄道ですが、日本人には「世界の車窓から」で10数年間オープニングに使われた風景でおなじみでしょう。最近ではファイト一発のCMで使われた橋も沿線にあります。

客車は日本のイベント列車と異なり本物のクラシックです。冷暖房もなし。(あっても暖房は使わないと思いますが)革張り片側4人掛の椅子があるイギリス風の車内です。一等車はテーブルと椅子がある金持風ですが、ナニ、到着時間は変わりません。二等で十分。
見たところレールの幅は日本と同じような感じで、大陸にある鉄道や京王電鉄のような広いものではありませんでした。これを2両のカラフラなディーゼル機関車が引っ張ります。景観の良い地点では止まってくれて写真を撮る時間を取ってくれるのも観光鉄道風。

◆世界の車窓から◆


世界の車窓から地点。橋の山側には滝があって絶好の写真ポイントですね。チャランチャチャチャチャ〜ン♪と聞こえてきそうな風景。機関士も心得たものでここでは歩くスピード以下の速度となります。
鉄ちゃんのあこがれ撮影ポイントですが、水草人のワタクシも見様見真似で何枚か撮ってみました。左側の手は視野率100%ではないファインダーの弱点ですね。というかこういう時しか困らないので別にどうでも良いわけですが。

この鉄道の「危うさ」ですが、ケアンズ市内滞在ホテルの側の踏み切りは道路と段差がなく、車も一時停止しないのです。そもそもオーストラリアでは踏み切り一時停止の義務がなく、それは双方注意しましょう、ということらしいです。
それよりも道路面に線路があるのでゴミや小石などが線路に入り込んで脱線の原因になるのでは?という危険の方が心配ですね。こうした幹線(と言っても一日2往復)はともかく、季節で動くサトウキビ列車の線路など道路と一体化して土砂に埋没している箇所が相当ありました。鉄道や安全性という考え方は日本とは大きく異なるようです。

運行面はともかく、世界の車窓に相応しく絶景です。この地点はすでに相当標高が上がっていますので、眼下に広がるケアンズの町、小さく模型のように見える空港の向こう側にグレートバリアリーフに続く海が見えます。今まで見た景色のなかでは間違いなく世界一です。

◆キュランダ村は清里◆


終着駅キュランダは小さな谷にあり、キュランダ村には坂道を登って行くことになります。小さな村ですが観光地であるため、舗装道路と歩道が分離した歩きやすい道路でした。
村の中心には駅から5分で到着しますが、どうもどこかで見た光景のような気がしました。清里です。小さな山の駅、道路の両側にはおしゃれな店が並び、どことなく欧州風(こっちは本場と言えば本場ですが)、観光客が喜びそうな雰囲気に「作られて」います。
キュランダの奥には原生林と牧歌的雰囲気に溢れたマリーバがありますが、ちょうど清里と野辺山の関係のようですね。土産を物色するよりも自然の風物を楽しみたいタイプの私はマリーバや野辺山の方が好きですが、ここで名物となっているアイスクリームを賞味したい家族のために(これもなにか清里の「マミー」のような^^;)さして広くもないキュランダ村の奥に進みました。
目指すアイスクリーム屋(屋台)は赤い派手な車ですぐに見つかりました。奥に髭のおじさんがおり、何だかんだ言いながら長蛇の列の客を捌いておりました。
相手が日本人と見るや「アイーン」などしょうもないギャグを連発する、気難しい外見とは裏腹の親父ですが、アルコール度数の高いラムレーズンアイスクリームなど、まさに一級品。これはキュランダで数少ないお奨めの逸品ですね。

◆スカイレールからユリシス◆


ツアーはキュランダのもう一つの駅、スカイレールで麓のケアンズに降りて行くルートを辿ります。これがまた景色が良く、滅多に経験できない「熱帯雨林を上から見る」ことが出来るケーブルカーです。お奨め、というかケアンズに観光で行く方は必ず乗るでしょうね。
「行ってQ」かなにかでやっていた「見ると幸せになれるユリシス」はキュランダでも見られるとのことでしたが見当たらず、このスカイレールで上から探査することになりました。ユリシスは和名オオルリアゲハという、その名の通り瑠璃色に輝く大型の蝶です。TVでは散々苦労してやっと見た!という内容だったので「そんなに簡単に見られねぇんじゃねぇの」と思っていましたが、いる、いる(笑)

熱帯雨林の木の間を素晴らしいスピードで(時速30kmほど)飛び回る、上空からもはっきり認識できる瑠璃色の蝶を何度と無く見ることが出来ました。下ばかり見ていると見逃してしまいますが、最後のサミットを越えてケアンズに降る際の眺望もこの通り素晴らしいものがありました。

数日前まで天気が悪かったそうですが、旅行全日程を通じて天気には恵まれ、このようなビューの写真はほぼ肉眼で見た通りに再現出来ています。紫外線=コントラストなのかも知れませんが、水蒸気の影響って写真にも出るものなんですねぇ。

◆アボリジニ◆


スカイレールを降りると観光コースは「ジャプカイ・アボリジニ文化パーク」で、ショーの見物やブーメラン、ヤリ投げなどが待っています。(コースなので仕方なく)
ブーメランやヤリ投げはワタクシ史前帰化種なので得意技、インストラクターのアボリジニの若者には「お前はジャポリジニだ」と言われましたが、それはともかく、現在の先住民族の立場が非常に興味深いものでした。

彼らは元々現在のパプアニューギニアから移って来た民族で、要するにニューギニアの民、です。分化して様々な種族がいますが変な話、食人文化を持つ種族と根は同じ。色黒くしなやかな筋肉質の狩猟の民、です。
現在の彼らは真面目に働く人、飲んだくれて遊ぶ人に大別されますが、前者は残念ながら1割に満たないそうです。(写真の彼らはショービジネスで真面目に働いています)オーストラリア政府は居住地の確保や生活費の支給、教育費用免除など手厚い政策をとっていますが、アボリジニの根底には「土地を返せ」という怨嗟があるそうです。
要するに融和政策が失敗しているわけで、ケアンズ市内でも昼間から酔っ払ってご機嫌のアボちゃん達がいました。そのうちの一人が金を恵んでくれと話しかけて来ましたが、こういう時の魔法の呪文があります。「カンガルー!
オーストラリア全土に1億以上いるといわれているカンガルーは、入植したイギリス人が英語で「あの動物は何?」と聞いたところ、アボリジニが「お前は何言っているのか分からん」とアボリジニの言葉で答えたのが語源だそうです。「分からん」がアボリジニ語で「カンガルゥ」。酔っ払いのアボちゃんに絡まれたら「カンガルゥ?」「カンガルゥ!」と言っていれば呆れて離れていってしまいます。

下左画像は文中で触れた熱帯雨林の象徴的な植物、木本性のシダです。成長点はワラビのような山菜状でした。下右はスカイレールから見たバロン川と両岸の熱帯雨林。バロン川は平野部に下ると両岸マングローブの林に変わります。まさに自然の宝庫。水草や水生植物も豊富ですがワニも豊富だそうなのでうかつに近づけません。



Cairns,Queensland,Australia 2008.8.7(Thu)〜8.13(Wed)
photo Canon EOS40D SIGMA 17-70mmF2.8-4.5 MACRO/Canon EF-S10-22mmF3.5-4.5USM


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