Field note of personal impression of wetland plant水 草 四 方 山 話【第十八話】河骨の話 |
◇アクアリウム用コウホネにこだわった時代◇ |
◇コウホネの自生環境◇ |
注釈 (*1)高導電率環境でのコウホネの沈水葉 鷲谷いずみ先生・飯島博氏編「よみがえれアサザ咲く水辺」(文一総合出版)のP81〜P82に高浜入り(茨城県石岡市)に残るコウホネに言及した考察があります。同書より引用します。 (引用)「コウホネは抽水葉と沈水葉の両方をもつ水草である。霞ヶ浦の高浜入りにわずかに残存するコウホネでは、沈水葉には光も届かず炭素源も不足がちなため沈水葉は光合成をほとんどしていないという研究報告がある」(引用以上) この話は現場を見たことがある人間なら等しく納得できる話です。水槽に置き換えてみると、光量や溶存二酸化炭素量はなんとか行けるとしても貧栄養で有機物が決定的に足りない状況をリカバリー出来ていないためではないか、と考えています。あの立派な抽水葉を形成するためには想像以上のエネルギーが必要なはずで水槽内の光合成のみでは調達不可能ではないか、と。そして湧水のコウホネのように「沈水葉のみで行ける」という判断は水槽内ではしていないということでしょう。 |
◇コウホネの分類◇ |
標準和名 | 学名 | 備考 | |
コウホネ ★ | Nuphar japonicum DC. | 普通種のコウホネ。水槽水中での育成は難がある。浮葉は稀で発芽直後の沈水葉からいきなり立派な気中葉(抽水葉)を展開する場合を多く見かける | |
ヒメコウホネ ★ | Nuphar subintegerrimum (Casp.) Makino | 葉が丸い東海型と卵型の西日本型があるらしい。上画像は西日本での採集物を頂いたものなので西日本型なのであろう。育成環境に拠るのか、沈水葉と抽水葉のみ付ける | |
オグラコウホネ ★ | Nuphar oguraense Miki | 葉柄が細長く、葉柄断面がサンカクイのように三角形であるという特徴を持つ。巨椋池で発見されたのが和前の由来らしいが同池はすでに干拓により存在しない。自生は少ない | |
ベニオグラコウホネ ★ | Nuphar oguraense Miki var. akiense Shimoda | オグラコウホネ同様の特徴を持つが花の柱頭盤が赤くなる。抽水葉を出さず浮葉と沈水葉のみである(下画像)。広島県の一部にのみ自生する | |
オゼコウホネ ★ | Nuphar pumilum (Timm) DC. var. ozeense (Miki) Hara | こちらは北日本型で尾瀬、山形県の一部、北海道などの自生地が知られている。ベニオグラコウホネ同様に花の柱頭盤が赤くなる | |
ネムロコウホネ | Nuphar pumilum (Timm) DC. | 和名の通り北海道と本州北部にも自生する。オゼコウホネは本種の変種という説が有力。学名もそうなっている。抽水葉は出さず柱頭盤は淡黄色となる | |
サイジョウコウホネ | Nuphar japonicum var. saijoense Shimoda | コウホネとベニオグラコウホネの交雑種であるという説が有力。抽水葉を出すらしいが未確認、ベニオグラコウホネ同様に花の柱頭盤が赤くなる | |
シモツケコウホネ | Nuphar submerusa Shiga et Kadono | 栃木県で発見された新種。未確認情報であるが、浮葉や抽水葉を形成せず沈水葉のみで花を水面上に突き出して咲くらしい。柱頭盤は赤くなるそうである | |
ベニコウホネ ★ | Nuphar japonicum DC. f. rubrotinctum (Casp.) Kitam. | コウホネ、ヒメコウホネの変種説、園芸作出種説あり。当初は黄色い花が咲き、2〜3日すると紅色に変わる。アクアリウム用としてしか育成経験がない |
注釈 (*2)新種シモツケコウホネの発見 世界で栃木県にしか無いシモツケコウホネが新種記載されたのは2003年のことなのでまさに「新種」です。もちろんそこに「黄色い花が咲く水草」があることは地元の方ならご存知でしたでしょうし、現に浮葉を出さない海藻のような沈水葉から「カワワカメ」と呼ばれていたそうです。 たぶん多少水草をご存知の方が見ても「少し変わったコウホネがあるな」程度で見過ごされていたのでしょうが、水草の世界は研究者、ウオッチャーが少ないこともあって日本全国津々浦々精査されている、という事はないので時々こういう嬉しいハプニングがありますね。自分自身の数少ないフィールドワークでも「あの時のヒルムシロ科は・・」という経験があります。概して後日再訪しても発見出来ないのが水草。 シモツケコウホネも農業用水路という環境面から言えば脆弱な基盤ですが「守る会」も立ち上がったとの事なのでぜひ頑張って欲しいものです。 コウホネは本種やベニオグラコウホネのように限られた地域に孤立する種もあるので、身近に見慣れたコウホネが自生していても「よく見れば」ってことがあるかも知れません。「一度あることは二度ある」 |
◇素人の育成覚書◇ |
Field note of personal impression of wetland plant |
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