利助おじさんの探検絵日記

【その63】ちょっと南十字星を見に 水草編+α

◆オーストラリアの水草◆


最初にお断りですが、種に付いては一切の文献を参照しておりません。一応ケアンズ市内の書店でもそれらしき本を探しましたが見当たりませんでした。道々横目で見る民家にもタイとは異なり睡蓮鉢で水生植物を育てている家はありませんでした。もともとこの手の趣味が根付いていないお国柄なのかも知れません。従って「科」の括りについても個人的な印象によるものであり、別科の可能性も排除できないことを予めご了承ください。
また、繰り返しになりますが、オーストラリアの法律で、雑草一株、貝殻ひとつに至るまで国外への持ち出しを禁止しておりますので採集もしておりません。あくまで「見た目」で判断しているだけですので「あぁそんなのもあるの」程度に読み流してください(^^;

現在オーストラリアは全地球的環境変動のためか大旱魃に見舞われています。特に南部のメルボルン、シドニー、キャンベラなどが酷く、庭の芝生に水を撒いて良い日、なんてのが決められているそうです。野池や大きな湖沼も干上がり水草どころではない状況も現出しているようです。幸いな事に訪問した北部、クイーンズランド州ケアンズ付近は亜熱帯性気候のせいか多雨で、何と水道代が無料であるほど水には恵まれています。
キュランダ鉄道やスカイレール、あるいは熱気球から大地を鳥瞰する機会が多くありましたが、いずれの場合も多くの湖沼やため池、クリークなどを見ることが出来ました。今回御紹介する水生植物はそうした環境で見られたものの一部です。

◆カヤツリグサ科◆


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・1は最初にケアンズ市内の池で見た、湖底に生えていた沈水状の植物です。(自生状況は【その58】ちょっと南十字星を見に 8/7,8参照)一株引き抜いてみると地下茎で繋がっておりマツバイのような印象(画像)でした。マツバイと確実に異なるのは葉の質感で、かなり硬質です。

・2はアクアリウムプランツの「アンブレラ・プラント(エレオカリス・ビビパラ)」と形状が同じ、主軸から傘の骨のように葉が放射します。これも沈水状態で自生していました。Eleochalis viviparaは流通量のわりに情報が少なく、国内外のサイトを検索してもオーストラリアに自生するかどうか不明です。少なくても近似種ではあると思われます。

・3はカンガレイのように叢生し、葉にも稜があって草姿が似ていましたが、花穂はまったく形状が異なるもの。湿地でも岸辺のような半乾地にあり抽水はしていませんでした。

日本の夏、水田周辺の環境ではカヤツリグサ科が最大勢力となることも珍しくありませんが、シーズンオフ?のためか水田が無いためか、明らかにカヤツリグサっぽい植物はこんなところでした。
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◆イネ科◆


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・小型のアシ。形状がチゴザサやウキシバのようですね。高さ30cm程度でした。開花期ではないのか、花穂を広げている株はありませんでした。
・スズメノヒエのような形状であるが、穂の色が明るいもの。花穂の数は8本。

イネ科も日本に比べればさほどの数が無い印象で、気候による科毎の繁茂状況も異なるようです。

◆スイレン科◆

・ケアンズ市内の水路などに多く見られました。季節的に冬ということもあってか発芽後の株が多く、一部は浮葉を展開。公園の池では開花している別の熱帯性スイレンも見ましたが、自生種かどうか不明ですので除外します。
ちなみにケアンズ市内の水路、クリークは概ねマッディーですが、下水道の整備は進んでいるようで、タイやマレーシアなど東南アジアの都市近郊の河川とは趣が違いました(^^;

・余談ながら・・郊外には日本のホームセンターのようなもの(名前もHomeCentre、ホーム・セントレ)があり、横目で覗いてみましたが「水生植物コーナー」なるものは無かった模様。この手の植物は園芸対象とはされていないようで逸出帰化した類ではないでしょう。外来植物の持ち込みには非常に厳しい制限もあることですし。

スイレンはガイドブックの写真から見るに前出のマリーバ・ウェットランドには大規模な自生がありそうですが、未訪ですので不明です。
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◆ホシクサ科◆

・ケアンズ郊外の池で見られたヒロハイヌノヒゲに似た感じのホシクサ。水辺に近づける機会が少なく、機会があってもワニや毒蛇に注意なんて場所だらけなのでろくに調査も出来ませんでしたが、意外と多くの種がありそうです。田舎の湖水など多くのウェットランドも「チラ見」しましたが、ホシクサ科の植物が複数個所に多数ありました。

・乾期で水位変動が少ない環境下、水中に自生しているのは興味深い現象で、この現象に対する仮説は本サイト「ホシクサの科学 Part1」及び「同 Part2」で書かせて頂いた通りです。実証できた、と断言はしませんが真冬の時期にこの自生です。

・かなり乱暴に括れば「水中で自生可能な熱帯・亜熱帯の多年性ホシクサはアクアリウム・プランツとして育成できる」ということです。ただこれまた残念なことにオーストラリア国外への持ち出しは禁止されています。

付近のオーストラリア人(と言ってもバスの運転手や散歩していた方程度ですが)に名前を聞きましたが誰も知りませんでした(^^;
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◆アカウキクサ科、サンショウモ科◆

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・三角形の草体が日本のアカウキクサに非常に良く似ています。マリーバ近郊の湖水では紅葉している姿も見ました。似ていますが・・微妙にパターン(模様)が異なるようです。
・形状がサンショウモですが、葉の大きさ、形状、模様はかなり違い小型です。これはホテル内の池で遠距離から撮ったものなので出来の悪さはご容赦(汗)下さい。自生では見ていないので怪しい種かも知れません。

◆ミツガシワ科◆

・ガガブタそのものに見えますが、花の形状がハナガガブタ(バナナプラント)に似ています。ハナガガブタは北米フロリダ州が原産と言われており地理的懸隔がありますが、移入もしくは帰化したものかも知れません。自然環境に自生していました。

・浮葉の形状はハナガガブタに非常に似ていますが、特徴的な殖芽は見ることが出来ませんでした。次に御紹介する水草も併せて、水際徹底防御にも意外と隙間があるのかも知れませんね。

このガガブタは1箇所の池でのみ確認しています。普遍的なものでは無かったのでグレーですがハナガガブタと断定しても良いかも知れません。
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◆トチカガミ科◆

・草姿、輪生、鋸歯、すべての特徴がコカナダモを指していますが、おそらく・・そうなのでしょう。開花はしておらず雄株か雌株は確認出来ませんでした。

・日本にもクロモがありますのでオーストラリアで独自の進化を遂げ「収斂進化」した固有種の可能性も否定できませんが、残念ながら同定に必要な情報はありません。

・マレーシアやタイにもオオカナダモがありましたが、すでに世界制覇(汗)しているのかも。

帰化種だとすれば水辺園芸やアクアリウムがほぼ見られない地域で帰化しているのが不思議な話ですが、入国時の制限「土の付いたスポーツ用品」などが思い浮かびますね。東南アジア→ニューギニア→オーストラリアルートの渡り鳥も有力な「キャリアー」でしょう。こういうのを見ると防除の徹底は不可能、いかに現実に即した対応を行うか、と日本の外来生物法のあり方が思われてなりませんでした。
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◆シソ科◆

・ハーブの1種だと思いますが、何だかよく分かりません。人影も稀な(見物客以外は)バロン川上流のカモノハシ出没地点脇の川岸に群生していました。

・ポゴステモン何某なんてのは意外とこんな花が咲くのかも。葉の香りは青臭くて「普通の雑草」でした。

明らかにシソ科!という植物は他に見当たりませんでした。真冬とは言っても17度〜27度は十分植物の生長範囲だと思いますが、僅かな「季節」に合わせた生活環が確立されているのかも知れません。
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◆タデ科◆


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・12は岸辺から水中に繁茂している未開花の群落。14ないし15と同種の可能性があります。自生形態は日本のタデ科植物と同じ。水中化する可能性もありますね(^^;

・花穂が多数分岐する美しいタデ。蕾がピンクで花は白。葉も綺麗でヤナギタデをさらにスマートにしたような美しい葉が付いていました。今回最も「持って帰りたい」植物でした(汗)。もちろん基本コンプライアンス。

・同様の草姿で花穂全体が白いもの。シロバナサクラタデとサクラタデの関係か?ちょっと遠いのですが、撮影地点から急な斜面となっておりこれ以上接近できませんでした。

タデ科は平野部では見ることが出来ず、この3枚はすべてアサートンテーブルランド、高地での画像です。精査したわけではないので偉そうに「タデ科!」と断言出来ませんが、托葉鞘の形状などがイヌタデ属にそっくりでした。こういう花穂の形状はサクラソウ科にも見られますけどね。
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◆デンジソウ科◆

・これはもう誰がどう見てもデンジソウですが、問題はデンジソウなのかナンゴクデンジソウなのか、はたまた未知の固有種なのか、ということです。もちろん分かりません!(きっぱり)明確な同定ポイントである胞子嚢果も形成されておらず。
もちろん胞子嚢果の位置が特定できても固有の種、亜種の可能性は排除できないわけで、確実なのはデンジソウ科、という括りだけですね。

・気になったのは浅水域でも浮葉となっていることで、私の育成環境ではデンジソウは浮葉を形成、ナンゴクデンジソウは抽水葉のみ、でしたがこれにしても温帯と亜熱帯の環境の違いがあり何とも言えません。

何とも言えないばかりで申し訳ないので「葉の開き」と「浮葉」を頼りに、デンジソウ!に1000カンガルー行っときます(汗)。
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◆不明◆

・まったく分かりません、どなたか!・・ではなく(^^ゞマングローブ帯にもクリークにも普通にあった鋸歯が目立つ抽水植物。(右から2株目はマングローブの幼株)もしかすると木本かも知れません。

・形状はシロネの茎と葉を更にダイナミックにしたもの(笑)。かと言ってもちろんシソ科には思えませんけど。

他にも「これは水草だよな」という植物が多数ありましたが、不明ばかりで載せるのもナニですのでこの辺で。有袋類やカモノハシなど独自の進化を遂げた動物が多い反面、植物は意外と「こりゃ何だ!」という変な草がありませんでした。
もちろん亜熱帯のケアンズ周辺だけの話なので、温帯のシドニーやキャンベラ、砂漠地帯、熱帯のダーウィンなどではまた違った植生が見られるはずです。広すぎる国に観光がてら1週間、というとこの程度でしょうね。パース編とかダーウィン編が書けるように頑張ります>仕事を。
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◆+α カメラ周りのお話◆

他の「こぼれ話」的な話も併せて記事にしようと思いましたが、それほどの内容でも無いのでここにエピローグ代わりに付けておきます。

まずはオーストラリアと言えば・・クランプラー!
日本では品薄になるほど人気が出て来たオーストラリア製のカメラバックですが、ケアンズでは専門店はおろか、DPE店でも見かけませんでした。今回は機動性優先で携行品(カメラ、レンズ2、充電器、予備CFなど)を絞ったのでやや小さなモデル(5 MILLION DOLLAR HOME)を使いましたが、ほぼ常時持っていたのに「おっ、オーストラリア製じゃん」と突っ込んでくるオーストラリア人は皆無でした。(それが普通か^^;)
フランクランドアイランド(GBR)で白人観光客が同モデルを、周辺観光で別な白人観光客が6 MILLION DOLLAR HOMEを持っているのを見かけただけ。地元の学生や若い衆も見かけましたがレギュラーモデルのメッセンジャーバックも持っていませんでした。

水生植物なんてマイナーな趣味がないのは分かりますが、カメラや写真という趣味もこの国ではそれほど盛り上がっていないのかも知れませんね。我が国の現状を見るに次々とニューモデルが出て買い替え需要がある高額な耐久消費財のブーム、世界的に見ればこの方が異常なのでしょう。
デジタル一眼レフも日本人観光客を含めさほど持っている人がおらず、正直アホのようにでかい40Dを使う度に恥ずかしかったです。キスデジにしようと思っていたのですが、予備バッテリーがあったこと、キヤノンのビデオカメラと充電器が共用できることでやむなく。
たまに持っている方がいると圧倒的にキヤノンで、これは外国人観光客に顕著でした。なかにはこんな人も。両肩に1D系とストロボ、Lレンズで100万は楽に超える(汗)お大尽。・・治安が良いですしね。

海外旅行には単三が使えるコンパクトが良いのですが、ある意味コンパクトは一眼レフより難しいのです。手に馴染んだ一眼レフなら「家族の思い出」や「印象的な風景」はほぼ瞬時に設定して概ね思い通りに撮影できますが、コンパクトはどこをどう設定してよいか分からず、オートでもピンの位置が分からなかったり、で苦手なのです。
その手の「マニュアル設定の余地」があるコンパクトもごく少数ありますが、価格的に難しいものばかりで、それなら多少重いのを我慢しよう、ということになっちゃいますね。次の海外にはそうしたコンパクト機を持って行けるように頑張ります>仕事(笑)


Cairns,Queensland,Australia 2008.8.7(Thu)〜8.13(Wed)
photo Canon EOS40D SIGMA 17-70mmF2.8-4.5 MACRO/Canon EF-S10-22mmF3.5-4.5USM


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